惜しい負け 脳は「勝った」と誤解して 「次は次は」と ドツボにはまる

2009/02/24 07:50

ギャンブルイメージ競馬や競輪をはじめ、世の中には多種多様なギャンブルが存在し、誘惑の窓口を開けている。多くの人がその誘惑に負けてのめりこんでしまうものだが、【HealthDay】が紹介しているイギリスの研究者の研究によると、「ギャンブルにおける惜しい負け(near-win、僅差の負け)」は、勝負そのものは負けたとしても脳内で「勝利」と同じような刺激・反応が行われ、ギャンブルそのものに対する欲求が高まる可能性が明らかにされた。

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これは医学誌の【Neuron】の2009年2月12日号に掲載された、イギリス・ケンブリッジ大学の行動臨床神経学会(the Behavioral and Clinical Neuroscience Institute)のLuke Clark博士らの研究論文によるもの(【概要・英文はこちら】)。

博士らは「僅差の負け」における人間自身の情勢・理性のコントロールができるかどうかについて、論理的な解明をすめために、一連の実験を実施した。fMRI(磁気共鳴画像装置)を用い、情勢認識に関する「ゆがみ」と脳の働きに探りを入れた。

すると、「僅差の負け」においては脳内の領域「腹側線条体(ventral striatum)」「両側前島皮質(anterior insula)」が「勝利」の時同様に活性化することが判明した。要は「僅差の負け」なら「負け」でも脳内では「勝った」のと同じような興奮状態におちいるということ。

さらに「両側前島皮質(anterior insula)」においては、この領域の活性化と問題性のある(中毒性の高い)ギャンブルとの間に有意な関連性も認められた。元々両側前島皮質は常習性の高い行為と関連付けられていることがすでに報告されているが、ここでも「常習性」に関係付けられたわけだ。

「ちょっとの差で負け」は
脳内では「勝った!」と認識し
勝利の快楽を覚えてしまう
実験の被験者は「完全に負ける」よりも「僅差の負け」の方が不快感を強める一方で、「僅差の負け」の方がギャンブルそのものを続けたいという欲求が高まっていた。ただしこの結果はギャンブルを実施する際に、その人が「状況をコントロールできる場合」に限られていた。

今回の研究結果を受けてClark博士は「ギャンブルをする人は、『僅差の負け』を特殊イベントとして認識する場合が多い。もっともっとギャンブルを続けるよう、うながすためのイベントだと思うわけだ。実際、今回の研究では『僅差の負け』で、人は『本当は負けている』にも関わらず、脳内では『勝っているかのように反応する』ことが分かった。心理的解釈だけでなく、神経生物学的な解釈を関連付けることで、一般社会におけるギャンブルをする人の行動や、それが常習的なものとなる、いわば病みつきになる理由がかいま見れた」とコメントしている。

大差で負けるとあきらめもつくが、僅差で負けると「たまたま今回は。次回こそは!」という欲が出るのと共に「もしかしたらちょっとしたさじ加減で、自分は勝っていたかも……」と勝利をイメージした経験のある人は多いはずだ。その傾向が今回の実験で裏づけされたことになる。

この研究結果を受けて「脳がだまされるのだから仕方ないネ」とギャンブルにはまりこんでしまうのか、それとも「脳がだまされるのが分かっているのだから、それを認識した上できっぱりと手を切る」と決断するのかは、個々の決断力・意思次第。ただ、このような実験結果があることを頭に入れておけば「今の『惜しいかも、次は勝つかも』という想像は、単に脳がだまされているだけなんだッ!」という判断もできるに違いない。

またこの考え・論理は、投機活動(投資、ではない)にも当てはまることだろう。


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