【転送】株価や銀行への信頼・安定度、G8ほど低い傾向に

2009/01/24 12:45

このエントリーをはてなブックマークに追加
信頼イメージ日本リサーチセンターは1月23日、金融(工学)危機に関する国際比較世論調査の結果を発表した。それによると、日本をはじめとしたG8などの先進諸国は銀行や株価について安定度に問題があるとの認識が強いものの、BRICsなどの新興国の多くでは、安定度(信用度)への評価が高めであることが明らかになった。ただし例えばロシアではBRICsの構成国であっても銀行への評価が低いなど、国毎の特性も見てとれる(【発表リリース】)。


スポンサードリンク


今調査は2008年11月から12月にかけてG8各国((日本、米国、カナダ、フランス、英国、ドイツ、イタリア、ロシア)やBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)など主要国の国民に対して行われたもので、有効回答数は合計1万4600人ほど。調査方式は国によって異なり、インターネット・電話・面接方式に分けられている(詳細は元資料を参照のこと)。また集計結果には各国の人口数要因を反映させたウェイトをのせて集計を実施している。

昨今の金融(工学)危機で、もっとも動向が注目されている銀行。現金が価値のものさしとして欠かせない現在社会では欠かせない存在だが、その銀行に対する各国の安定度・信頼度はどのくらいの高さを示しているのだろうか。総計では10段階評価で5.3と、微妙な結果が出た。

金融危機に対する銀行の安定度(10=完全に信頼、0=まったく信頼していない)
金融危機に対する銀行の安定度(10=完全に信頼、0=まったく信頼していない)

欧米諸国ではオランダ、カナダが比較的高い値を示しているが、他はG8諸国を中心に低い傾向を見せている。一方で中国やインドなどBRICs諸国は比較的信頼度が高い。それぞれの国の銀行の破たん度合いや情報開示性などを反映しているのだろう。

また、元々銀行に対する信頼度が低いロシアが4.4ときわめて低い値を示すなど、国毎の特性もかいま見られる。ちなみにアメリカは5.4と、G8の中ではカナダに次いで高い値。あれだけ銀行の破たんや再編を見た上での数字なのだから、よほど元々の信頼性が高いのか、あるいは楽観主義的な考えを銀行に対しては持っているものと思われる。

銀行の動向同様に気になるのが、株式市場の安定度。株価の動向はそれ自身だけでなく、さまざまな方面へ影響を与え、経済そのものにも大きな変動要因となりうるので注意が必要になる。この値は銀行への安定度・信頼度と比べて低い数字を示している。

金融危機に対する株式市場の安定度(10=完全に信頼、0=まったく信頼していない)
金融危機に対する株式市場の安定度(10=完全に信頼、0=まったく信頼していない)

株式市場の安定度における全体的な傾向は、銀行へのそれと似たようなもので、「新興国が高め」「EUなどG8諸国などが低め」などが特徴。特に今後も成長が期待できるインドや中国、ブラジルなどが高い値を示している。一方でアメリカも5.4と高めの数字を見せており、株式市場への安定感・信頼度が高いのも分かる。

ちなみに日本は3.5。銀行同様下から数えた方が早い立ち位置を示している。銀行、株式市場双方において、一般市民レベルで不信感・疑心暗鬼が広まっているのが理解できよう。



疑心暗鬼イメージ今回は(個々の国の政治形態や国内情勢の差異が大きすぎるため)掲載を見合わせたが、政府の金融危機対策への信頼度に関する調査も行われており、中国やブラジル、インド、そしてアメリカでは高い値を示している。一方でイギリス、アイスランド、ドイツ、日本などは低い数字を出しており、特に日本は3.0ともっとも低い結果を出している。経済指標的な観点でみればワーストという数字が出る事はありえないのだが、多分にマインドの面で冷え込んでおり、これが株式市場や銀行に対する信頼性をも損なわせていることが分かる。

【マスコミ自らがあおる「風評」の被害を景気ウォッチャー調査から調べてみる】にもあるように、色々な条件が重なったことで情報伝達の面で現在の日本がややいびつな状態にあるのも、その一因といえる。【Telegraph.co.uk(イギリスの大衆紙)】

今は国家存亡をかけた重大事である。政争はひとまず横においておき、現政府に協力する。与野党が一致団結して金融危機を乗り越え、 金融市場や金融機関の安定へ努めることがもっとも重要。我が党(野党)は「責任ある野党(responsible Opposition)」として、イギリスを救うためなら何でも出来ることは行う。
(Important issues regarding the national interest. Put down the party politics and get on with the job of helping the Government. What matters most of all at the moment is that we work together to make sure we create stability in financial markets and financial institutions. (中略) we should be ready as a responsible Opposition to help in any way we can. )

とイギリスの野党党首が語ったような姿勢と、正しい報道が必要だろう。それらがあってこそ、多くの人が即効性の特効薬のない状況にあり、病気の治癒のように時間と努力と忍耐が必要なことを正しく認識できよう。そしてカードゲームの「大富豪」のように、一発ですべてがハッピーになるような魔法などないことも理解できるはずだ。


スポンサードリンク


関連記事


このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS