【転送】久々にプラスに転じたが……2009年1月景気動向指数は現状10か月ぶりの上昇、先行き4か月ぶりの上昇

2009/02/10 08:51

内閣府は2009年2月9日、2009年1月における景気動向の調査こと「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。それによると、各種DI(景気動向指数)は相変わらず水準の50を割り込んでいる状況には変化はないものの、現状・先行き共に久々の上昇傾向を見せた。基調判断は先月よりはやや緩やかではあるが、相変わらず厳しい表現の「景気の現状は極めて厳しい」であり、引き続き予断を許さない状況にある(【発表ページ】)。

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買い物には慎重な姿勢が続く消費者。ただし物価上昇が鈍り「これ以上は悪化しない」との考えも
文中・グラフ中にある調査要件、及びDI値についてはまとめページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】上ので解説済みなので、そちらで確認してほしい。

2009年1月分の調査結果は概要的には次の通り。

・現状判断DIは前月比プラス1.2ポイントの17.9。
 →10か月ぶりの上昇。「悪化」判断が減り、「変わらない」「やや悪化」が増えた。
 →家計は購買意欲は慎重で変わらず。ただし物価が落ち着いたため、これ以上の悪化は避けられるかもとの判断。企業・雇用とも「前月がとても悪かったからそれ以上は悪くならないだろう」との判断が強い。
・先行き判断DIは先月比プラス4.5ポイントの22.1。
 →4か月ぶりのプラス。
 →景気や雇用の先行き不安、所得の減少見込みなどは続くが、商品の価格下落や、減税期待がある。企業の思惑も「昨月のような状況よりさらに下落することはないだろう」との判断が強い。
2001年パターン踏襲ならここで反転? それともだまし!?
それでは次に、それぞれの指数について簡単にチェックをしてみよう。まずは現状判断DI。

景気の現状判断DI
景気の現状判断DI

上でも触れているように、景気全体の後退や雇用不安により消費マインドが急速に冷え込んだ先月と比べ、「これ以上は悪くならないだろう」との「底での安心感」からか、いくつかの項目でプラスに転じているのが分かる。ただし本格的な上昇ではなく、あくまでも「下げ止まった」という消極的なレベルの誤差の範囲。むしろ「飲食」「サービス」で下げを見せているのが気になる。

続いて景気の現状判断DIを長期チャートにしたもので確認。

2000年以降の現状判断DIの推移(赤線は当方で付加)
2000年以降の現状判断DIの推移(赤線は当方で付加)

「現時点ですでにITバブル崩壊後の不景気時期にあたる2002年-2003年(日経平均株価が7000円台を記録)の時期の水準に近い状態が続いている」とは兼ねてからの観測。昨年末にはそのラインを底抜けし、2008年12月では大底の状態にあった。ここからさらに下げるようでは心境的には「恐慌」のレベルに達する感すらあったが、やはり前回で指摘したように「限界に達し」つつある模様(理論的にはDIが0未満になることはない)。大まかな枠組みの「家計」「企業」「雇用」すべての項目でわずかながら上昇しているのが嬉しいところではある。

・加速度的下落傾向は
一時小休止か。
・「雇用と全体の下落逆転」は
継続中。
・合計のDIは2002-03年の
不景気時代水準を突き抜けたままで
維持されている。
→確実に前回不況時より悪化。
雇用関連の下げは
下方限界に近づき、
今月はわずかだが反発。
注意すべきは以前から繰り返し指摘しているように「前回(2001年-2002年)の急落時には、家計や企業、雇用動向DIにぶれがあったのに対し、今回の下落では一様に、しかも急速に落ち込んでいる」こと。景気状況が世界規模で、息をもつかせぬスピードで悪化したことを表しているが、これは2007年後半の「サブプライムローンショック」「8.17.ショック」と呼ばれるサブプライムローン問題関連、資源高、リーマンブラザーズショックなどの連鎖的市場不況がそれぞれのポイントにおける引き金。

ただし資源高そのものはそれ以前から兆候が見られていたことが確認されている(そのスピードはゆるやかなものだが)。やはり需給のバランス崩壊に伴う(商品・素材先物)市場の大幅下落が、景気後退の引き金の一因となったのだろう。たとえその商品価格の下落が「当初は」実体経済を伴っていないものだったとしても、実体経済とのリンクがされており、その部面でのお金の周りが悪くなるのだから当然だ。

現状は資源高は沈静化を見せ、一年ほど前と比べるとかなり定位置で推移している。そして景気そのものの後退で各種消費・需要マインドは低下の一途をたどっている。「資源高値で景気が悪化し需要が減り」その後資源が反転して安値をつけても、「景気は回復せずに需給バランスは崩れたまま」という、おかしな状況が続いている。要は「物が高いから買わない」「売れないから値が下がる」「値が下がるので景気も後退する」「値が下がっても景気後退のためやっぱり買われない」という状態だ。恐らくは投資ファンド群が、需給バランスを調整すべき「資金」を市場から根こそぎ引き抜いてしまったため、需給の調整役を果たすバランサーがなくなったからだろう。過去に事例が無い事象・要素が複雑に絡んでいるため、インフレ・デフレ・スタグフレーションいずれの道を歩むことになるのか、今後の予想も意見が分かれている。

一方これまでの傾向として見られた「直近の最底値の際には雇用関連の指数が全体指数より下側に大きくクロスして落ち込む傾向」が2008年4月以降継続していることを注目したい。2009年1月では全体指数も上げを見せたが、それ以上に雇用関連指数の上昇が見られる。昨月分のデータが「全体」「雇用」間の「反転のための」十分な乖離と表現してもよさそうなレベルに離れていた感はあったが、今月のデータはそれを(ほんのちょっぴりだが)裏付けた形だ。ただしあくまでもモメンタム的な考え方のため、継続しての横ばい、あるいは上昇を見極めるまでは「底打ち」と判断するには早急と思われる。

景気の先行き判断DIについても、先月と比べて上昇した。

景気の先行き判断DI
景気の先行き判断DI

先月大きく下落した「サービス」「製造」が反動で大きく上げているのをはじめ、どの部門でも少なからぬ上げ幅を見せている。過剰なまでのマスコミ報道で大きな注目を集めた雇用関係以外は、「現状」よりも「先行き」の方が上げ幅が大きい。

2000年以降の先行き判断DIの推移
2000年以降の先行き判断DIの推移(赤線は当方で付加)

総合先行きDIはすでに昨年後半の時点で、2001年後半時期における最下方の値に達している。それ以降はやや横ばいかほんの少しだけの上げで推移していたが、2008年10月で大きく底値を突き抜けてしまった。この傾向は「現状判断指数」と変わらない。昨年10月におきた株安や景気の悪化(「リーマンブラザーズ・ショック」)がいかに大きなインパクトを家計や企業のマインドに与えたのかが分かる。

今月は現状同様に「この先、これ以上悪くなる事はないだろう」という思惑からか多少なりとも挙げているが、「これだけひどいのだから、今が底に違いない。そしてこれからは少しずつでも良くなる」という想いは現状よりも先行きの方が強いようで、同じDI値の上昇でも「現状」<「先行き」の結果をもたらしている。

残念ながら2003年以降よく見受けられるようになった上昇・安定時の傾向「雇用指数が全体指数を大きく上回る」がまだ確認できず、クロス・逆転も起きていないことから、前回の不景気と同じパターンを踏襲するのなら、「まだ今は底から上昇開始時期ではない」ことは確認できる。

発表資料には現状の景気判断・先行きの景気判断それぞれについて理由が詳細に語られたデータも記載されている。簡単に、一番身近な家計(現状・全国)に関して事例を挙げてみると、

・水産品、米、酒、パン類、冷凍食品は、価格の低迷や上昇鈍化の影響で、客は買い求めやすくなり、買上点数が増加している(スーパー)
・低価格の弁当店や回転寿司店などの取引先には、販売状況に大きな変化はみられない(その他専門店[食品])
・国内航空券の動きが悪くなり前年割れとなった。企業が業務出張を抑え、海外航空券も企業からの依頼が大幅に減少している。しかし、韓国へのツアーは活況を呈しており席が取れない状況が続いている。韓国のウォン安で旅行代金も安く、割安感で人気が出ている(旅行代理店)
・燃料油の小売価格は前月に比べ下がっているので、客の購入マインドは変化がないが、カーケア商品の購入については慎重である。また、客との会話において、雇用への不安があるとの声が聞かれた(その他専門店[ガソリンスタンド])
・初売りの売上は、天候に恵まれたにもかかわらず、これまで経験がないほど悪く、前年に比べ30%の減少となっている。周辺の商店街も同様に人通りが少なくなっている(衣料品専門店)
・大企業の赤字決算、従業員の解雇等の報道が続き、新車への乗り換えを予定していた人も二の足を踏んでいる(乗用車販売店)
など、資源高からの価格安定回復や為替レート変動の活用で、庶民生活の一部に復調・低下停止傾向が見られるものの、年始商戦が不調に終わったこと、相次ぐ報道で消費者のマインドが低下していることが確認できる。

掲載は略するが企業関連では景気動向にあまり関係の無い企業が「状況は変わらず」との判断を示す一方で、「人件費削減や希望退職、経費削減方法などの相談を、製造業、ソフトウェア業、建設関係の企業から受けている。しかし、薬品、業務用洗剤、鉄道関係、測定器関係など、業績が悪化していない企業もある」という経営コンサルタントの興味深いコメントも見受けられる。また、雇用関係では「求人広告は、派遣切りの影響もあり製造業が激減しているが、介護や看護師など医療福祉分野の求人の需要はまだ高い」など、新聞の広告担当者の発言にもあるように、1から10まですべてアウト、というわけでもなさそうだ。



金融危機による市況悪化で
景気感は一挙に急降下へ。
実体経済にも深い傷あと。
海外の景気後退が大きく
外需中心の国内にも影響は
大きい。
現状は「(期待的)底打ち感」の
様相を呈しているが……。
一連の「景気ウォッチャー調査」に関する記事中でも繰り返し指摘しているが、今回の景気悪化が2001年から2002年にわたった景気悪化のパターンを踏襲するのなら、全体の指数の底打ちと前後して「大幅な雇用関係指数の下落・他指数との乖離(かけはなれること)」現象が見られるはずである。2009年1月のデータを見る限り、昨月分が乖離現状のピークで今月分は底打ち後の反転のようにも見えるが、昨月データが「大幅な乖離」と表現するにはまだ足りない感もある。

元々前回と比べて底値が低いこともあり、これ以上の下げは算出方法上難しい。40から30の10ポイントの下げは容易だが、20から10の下げは大幅なマインド低下を必要とする。ゴムを伸ばすときに最初は簡単に伸ばせるものの、次第に力を必要とするようなものと表現すれば分かりやすいだろうか。だから、前回の底値時における10ポイント近い乖離と、今回の2008年12月における「現状7ポイント強、先行き4ポイント強の乖離」(※先行きに限れば今回月の方が7ポイント強の乖離を見せている)は庶民のマインド的には近いものがあるのかもしれない。

ただし今回の景気後退は、前回と比べて外部的要因(海外景気情勢)に振り回される感が大きいだけに、なかなか手の打ちようが無い、さらに成果が現れるのには時間がかかるのも事実(前回の時には周辺環境はここまで酷くはなかった)。また、上記文中でも触れたが本来の経済原理・原則である需給バランスによる自然的な調整も、投資ファンドが中抜きをしたまま場を離れてしまったため、自然回復には時間を要する可能性が高い。そして現況となった金融危機(「金融工学危機」)は引き続きくすぶりを見せている。

「今が底かな?」という希望的観測はある意味正しいのかもしれない。マインド的には海外的要因は不確かながら、国内的には大手企業の3月末決算を乗り越えたあたりが底になる可能性もある(いわゆる「材料出尽くし」)。

もちろん現状では国内だけでなく世界中で同じような現象が起きているため、日本国内一国だけで手立てをしても、劇的な効果を求めるのは事実上不可能、という判断が正しい。いくら自宅が防火設備を完璧に整えていても、四方八方が家事になってしまっては延焼は免れないのだ。

さらに悲しいことではあるが、対策を妨害して状況の混乱を望み、国内政治・経済をまるで子どものおもちゃのように扱い、経済情勢をカードゲームの「大富豪」(一発逆転が狙える)のように考える者もいる。先月と似たような言い回しになるが、国内的な混乱・策動による無駄をできうる限り押さえ、「扇動」に惑わされることなく、自分の判断の中で、全体が下落する中でもマイナスの影響を最小限に備えつつ、反転の時のための活力を保持しておきたいものだ。

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