【転送】マスコミ自らがあおる「風評」の被害を景気ウォッチャー調査から調べてみる(1)……最新データの抽出

2009/01/19 08:00

意見イメージ当サイトでは毎月月初に内閣府から発表される、一般市民の景気判断を統計調査する「景気ウォッチャー調査」を追跡分析している(【過去データ一覧】)。現況はといえば実体経済同様に、現状・先行き共に悲観的な見方が強い。さて、この「景気ウォッチャー調査」の見所は各種一般市民の心境を数字的なデータで把握出来るだけでなく、調査に応じた人たちの判断理由を「景気判断理由集」で「生の声」として確認できるところにある。先日、この理由集を読んだ人から「マスコミによる派遣社員きりの風評被害を訴えるものが多すぎる」という話を耳にし、早速調べてみることにした。

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文中・グラフ中にある調査要件、及びDI値についてはまとめページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】上ので解説済みなので、そちらで確認してほしい。

なお調査方法は専用の調査票を用い、取りまとめ調査機関として三菱UFJリサーチ&コンサルティングが実施し、各地域別の調査には各種財団法人などが実施している。インターネット経由によるものではないため、(インターネット利用の有無で振るい分けされることの無い)広い意味での「一般市民の声」であることを認識してデータを読む必要がある。

さて、指摘されたデータは【2008年12月分調査分】のもの。調査期間は毎月25日から月末なので、今データでは2008年12月25日から31日までとなる。当サイトで分析しているデータは基本的に「調査結果」のみだが、「マスコミによる派遣社員きりの風評被害を訴えるものが多すぎる」とするデータは「景気判断理由集」にあるらしい。

「調査結果」にはダイジェスト的にしか掲載されていない回答判断理由の一部(俗にいう「具体的コメント」)が、「景気判断理由集」には大量に掲載されている。「現状」では60ページ、「先行き」では49ページにわたるぼう大なものだ。これらが地域別にくまなく、それでも「主だったもの及び特徴的と考えられるものを取りまとめ」たものが記されている。内容を読むにつけ、業種・職種や地域毎の状況が手に取るように、目に浮かぶように把握できる。

問題の「マスコミによる風評被害」だが、すべてを綿密にチェックすると日が暮れてしまう。そこで検索機能を用い、「マスコミ」という言葉を検索したところ、次の文章が抽出された。ここに全文を掲載する。

「景気の現状に対する判断理由等」内「マスコミ」が含まれるもの……12件
・株価下落や非正規社員の解雇など、マスコミの不況報道の影響により客の財布のひもはますます固くなり、来客数が減少している。(一般レストラン)
・マスコミ各社の過剰な不況報道による風評被害が大きい。特に単価が高い飲食店への影響が大きく、来客数が少ないのではなく、ゼロに近い状況が11月下旬以降続いている。逆に単価が安い飲食店は、来客数が増加している。(酒専門店)
・マスコミの不景気報道が消費マインドを冷え込ませ、今年のクリスマス時期の来客数は開店以来最も少なく、前年の25%程度と激減している。(一般レストラン)
・株価下落や円高の進行、派遣契約の打切りなど、マスコミの不況報道の影響で消費者の財布のひもはますます固くなっており、来客数の減少もさることながら、客単価についても大幅な下落傾向にある。(都市型ホテル)
・マスコミ関係による過剰な報道の影響も一因であるが、宴会関係の予約減少傾向に併せてキャンセルも目立つようになっている。(観光型ホテル)
・売上はどの部門でも減少しており、悲壮感がある。米国のサブプライムローン問題に端を発した国内株式市場の混乱や、悲観的なマスコミ報道などにより、客の購買意欲は一気に落ち込んでいる。(薬局)
・新規の来客数が、激減している。マスコミによる過剰な不景気報道もあり、消費意欲は低下している。購入資金を持っている客でも、雰囲気に流されている。(乗用車販売店)
空席レストランイメージ・マスコミは不況報道ばかりを流しており、客の財布のひもは一段と固くなっている。(一般レストラン)
・暖冬のため、コートなどの重衣料やジャケットが苦戦した。マスコミ報道の影響から客の消費心理は冷え切っており、婦人衣料の売上は前年の7割に落ちた。恒例の1万円均一セールの売上は前年の63%に終わり、コートは1万円でも売れなかった。(百貨店)
・マスコミ報道のせいかもしれないが、客の様子、言葉からも先行き不安が感じられる。(商店街)
・12月の売上の前年比がこれまでの減少幅と比べて5%ほど大きくなっている。お歳暮商戦も苦戦しており、県内の製造業関連の非正規雇用者の解雇も大きく影響している。マスコミ報道の消費マインドへのマイナス影響も大きい。(百貨店)
・9月以降乗用車の販売台数はかなり厳しく、12月は更に厳しさを増している。マスコミの報道等により、更なる販売台数の低下がある。(乗用車販売店)

「景気の先行きに対する判断理由等」内「マスコミ」が含まれるもの……26件
・同一品目でも、ナショナルブランド品からプライベートブランド品へ移行したり、大容量から少容量に移行するなど、より単価の低い商品を志向する傾向が顕著になっている。世界不況に関するマスコミ報道や政治対応の遅れで不安感が増幅するとともに、消費に関しての警戒感が強まっており、今後については厳しくなる。(スーパー)
・大手企業が軒並み赤字になるなど、企業の業績が悪いうえ、個人消費もマスコミなどで景気が悪い話題ばかり扱われるため、今後についてはますます財布のひもが固くなる。(タクシー運転手)
・マスコミによる不況報道の影響で買い控え傾向は強まるが、必需品の売行きはそれほど落ち込まない。(呉服店)
・株価下落や非正規社員の解雇などのマスコミによる不況報道の影響により、客の財布のひもは固くなり、来客数が減少しているが、これ以上悪くなることはない。(一般レストラン)
・マスコミによる不況報道や円高の影響により、先行き不安が高まり、客の買い控え傾向が強まる。(百貨店)
消費減退イメージ・ガソリンや灯油価格が低下し、以前より消費者の生活は楽になったが、不安定な政局やマスコミによる不況報道の影響により、将来への不安が高まり、消費マインドは冷え込んだまま改善しない。(化粧品店)
・マスコミの不況報道の影響により、消費者の旅行マインドは冷え込んでおり、低価格商品を企画しても反応が鈍い状況が続いていることから、今後も回復する見込みはない。(観光型ホテル)
・マスコミ等で景気が悪い、景気が悪いと言っているので、景気が悪くない人まで悪くなっていく。(衣料品専門店)
・リストラや解雇などがマスコミで騒がれていて、景気は下向きであり、良くなる方向性は見えない。年末にきて来客数、販売量共に厳しい状況になっており、年明け以降もこの状況は続く。(和菓子店)
・先行きの見えない状態で自動車業界全体が冷え込んでいる。マスコミ報道が客の不安をあおっている。(乗用車販売店)
・周辺には生産業者が多いが、仕事が減ったり、失業が増えたりしている。マスコミが騒いでいることもあり、消費力はかなり落ちており、先行きも厳しい。(美容室)
・マスコミの過剰報道により、客の財布のひもは今後も一層固くなっていく。(スーパー)
・マスコミによる過剰報道などにより、消費者の購買意欲は一層停滞する。(スーパー)
・毎日のようにマスコミの景気悪化報道が流れているため、だれもが明るい気持ちになれない。消費者の生活防衛意識にますます拍車が掛かる。(衣料品専門店)
・マスコミによる景気低迷の報道が多すぎる。消費者はムードで行動する部分が大きいため、これらの暗いニュースがはんらんする限り、消費の上向きは期待できない。(乗用車販売店)
・マスコミ各社の報道があまりにも悲観的であるため、景気の影響をほとんど受けない人でも、財布のひもを締め始める。(一般レストラン)
・輸出産業の売上低下、派遣切り等のマスコミ報道が消費マインドを低下させており、先は見えない。(時計専門店)
・マスコミなどで雇用不安や金融危機が毎日のように伝えられるなか、客の消費マインドが上向くわけがない。(百貨店)
・マスコミ報道にも非常に問題はあると思うが、客は非正規社員のカットのみならず、自身の雇用に対する不安から、より生活防衛に走っている。さらにベビー服業界はオーバーストア、少子化、デフレの三重苦に喘いでおり、ますますその影響が強くなっていく。(商店街)
・不景気感の増大よって、日常生活において生活防衛に走る傾向が強くなる。マスコミが不景気感をあおっている側面もあるが、ボーナスが少なかった事、リストラなどの影響が、これからも尾を引きそうである。(一般小売店)
・不景気時に手控えられるのは、外食や旅行である事は、過去の実績からも予測でき、マスコミ等でこれだけ報道されれば、心理的影響も大きい。(観光型ホテル)
・マスコミによる不景気や雇用不安等の報道により、消費の低迷が続いている。年が明けて、ますます厳しい状況になる。(住関連専門店)
・連日のマスコミによる解雇等の報道により、客足が鈍くなっており、今後も厳しい。(都市型ホテル)
・マスコミによる大手企業の解雇等の報道が、客の購買意欲の妨げになっている。地元企業の倒産も続いており、かなり厳しい状況になる。(八百屋)
・マスコミの不景気報道により、客は財布を閉じたままで、動きが鈍い。(居酒屋)
・金融危機に伴う世界的な不況で国内企業も企業業績が悪化、社員のリストラが行われている。そのことが連日マスコミで報道され、国民は将来への不安から生活防衛に必死の状況で、家計における旅行支出も抑制される。沖縄への入域観光客数も厳しい状況になる。(観光名所)
計38件。肯定的な意見は皆無で、すべてが否定的な内容となっている。中には恨み節に近いものも多く見受けられる。百歩譲ってこの調査結果がインターネット経由であれば、あるいは「インターネット特有の、既存マスコミへのバッシング傾向がたまたま現れただけ」と判断することも出来る。しかし前述のように直接表記式であるため、「メディア・ギャップ」による特異的なデータではない。ネットスラングで表現すれば「マスコミの不景気あおり過ぎワロタ」ということにでもなるのだろうか。

また、小売業、外食業、自動車販売業、宿泊業など、消費者のマインドに深く影響される分野の声が多数を占めていることもわかる(企業間取引を行う製造業は皆無)。

(続く)

■一連の記事:
【マスコミ自らがあおる「風評」の被害を景気ウォッチャー調査から調べてみる(1)……最新データの抽出】
【マスコミ自らがあおる「風評」の被害を景気ウォッチャー調査から調べてみる(2)……過去2年間の登場件数をグラフ化する】
【マスコミ自らがあおる「風評」の被害を景気ウォッチャー調査から調べてみる(3)……「なぜか」を考え、「何を示しているのか」を推測してみる】

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