【転送】年齢階層別の収入や負債の推移をグラフ化してみる

2009/02/09 12:01

先の記事【年齢階層別の金融資産保有割合をグラフ化してみる】を掲載した後のお問い合わせの一つに、「年の移り変わりによる推移が見たい」というものがあった。総務省統計局のデータをさかのぼって見てみたが、年齢階層別のものとなると2002年から2007年までのものしかない、やや中途半端なもの。しかしいくつか特異な傾向も確認できたので、せっかくだからグラフ化してみることにした。

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統計データは【こちらからも拝借(PDF)】。これを元に、まずは年間収入の推移を折れ線グラフにしてみた。

年間収入推移(二人以上世帯他のうち勤労者世帯)(単位:万円)
年間収入推移(二人以上世帯他のうち勤労者世帯)(単位:万円)

30歳以下の収入が少ないのは当然として、あとは年齢が上がるにつれて収入も増えていくのは、年功序列制度のたまものといえる。60歳以上になると年金だけで暮らしている人や、定年退職を迎えた無職になった人、嘱託で安価に再就職した人などもいるので、収入は落ちることになる(それでも30代よりは多い)。一方、この6年の間に大きな違いは見られない。

次にチェックしたのが以前の記事でも話題に登った「現在貯蓄高」。これは負債を考慮しない、単なる貯蓄の額。例えば借金が1億円あっても100万円の貯金があれば、貯蓄額は100万円になる。この例は冗談のように聞こえるが、多額の住宅ローンを抱えていればありえない話ではない。

現貯蓄額推移(二人以上世帯他のうち勤労者世帯)(単位:万円)
現貯蓄額推移(二人以上世帯他のうち勤労者世帯)(単位:万円)

60歳以上の平均値が2007年には急上昇している。これは、団塊の世代が定年退職を迎え、退職金を手に入れた該当年齢の人が急増したことによるものと思われる。一方でその他の年齢層は2006年以降下降の傾向を見せている。

60歳以上はともかく、50歳以下の世帯主の貯蓄額が減る原因は何だったのだろうか。負債額の推移を見ると、その一端が分かる。

現負債推移(二人以上世帯他のうち勤労者世帯)(単位:万円)
現負債推移(二人以上世帯他のうち勤労者世帯)(単位:万円)

2006年から2007年にかけて、負債が急上昇しているのが分かる。特に30歳未満は2007年において前年比で+41.4%、285万円から403万円に上昇している。負債額が増えているので家計が厳しくなり、その分貯蓄に回せるお金が少なくなった、さらには切り崩さねばならなくなったと見るのが妥当だろう。

それではなぜ、生活が苦しくなるほど負債が増えたのか。その答えが次のグラフにある。

住宅・土地のための負債推移(二人以上世帯他のうち勤労者世帯)(単位:万円)
住宅・土地のための負債推移(二人以上世帯他のうち勤労者世帯)(単位:万円)

住宅・土地、つまり不動産の負債が急増し、それが家計を圧迫しているのだ。実際、「住宅・土地のための負債」と「負債現在高」の前年比の増減率はほぼ一致する。不動産の負債分だけがこの数年で積み増しされ、それが貯蓄を減らす(積み増し額が減り、無くなり、あるいはさらに切り崩し)状況を生み出している。

一方で住宅・土地の負債は40代がもっとも大きく、それ以降はローン返済が終了したのだろうか、減る傾向がある。特に60代以降になると100万円台にまで減少する。

当然負債が増えれば純貯蓄額(貯蓄現在高-負債現在高)も減少してしまう。以前の記事でも言及したが、(住宅・土地のための)負債の増加で30歳代は慢性的に、30歳未満ですら2006年以降は実質債務超過状態に陥ってしまっている。

住宅・土地のための負債推移(二人以上世帯他のうち勤労者世帯)(単位:万円)
住宅・土地のための負債推移(二人以上世帯他のうち勤労者世帯)(単位:万円)

住宅ローンは一括返済ではないとはいえ、やはり精神的なプレッシャーは大きなものがあるといわざるを得ない。



直近6年間分のデータでしかないが、これらからは

・2005年以降手取り収入は漸減の傾向にある(2007年は若干増えているが)。
・2006年以降不動産関連の負債(住宅ローン)の急増により貯蓄が切り崩され、特に30代までの生活が厳しくなっている。
・住宅ローンの負担が少ない、あるいは返済し終えている50代以降はここ数年でもさほど純貯蓄額を減らしていない。

などの傾向が見てとれる。2005年-2006年で、「土地・住宅の負債が増える原因」としては、「ゆとりローン問題」(旧住宅金融公庫(現:住宅金融支援機構)による住宅資金貸付。ある時期からローンの金利が急上昇する。いわゆる「日本版サブプライムローン」)と、不動産プチバブル(Jリートの躍進など)の二つが考えられる。しかし前者は「毎月の返却額は増えるが、負債全体額には変化はない」ので、該当は考え難い。やはり後者の「不動産価格そのものの高騰化」が原因だろう(特に新規購入・ローン組み込みをした人)。

住宅購入検討イメージ土地や不動産はその評価額が下がっても、負債そのものが減るわけではない。高騰期に購入した・ローンを組んだ人は、「現在の」市場価格の数倍に相当する額の不動産ローンを支払っていることになる(例えば5000万円で住宅を買って月10万円支払っているが、今その住宅を売っても2500万円にしかならない。この額なら月のローンは5万円で済んだはずなのに……という計算)。

不動産価格の騰落は世の常。とはいえ、家計内債務超過状態に陥り、余分なローンを支払わされている気分になっている多くの若年層には、色々とやるせないものがあるに違いない。

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