【転送】高齢者の貯蓄現在高の世帯分布をグラフ化してみる

2009/02/09 12:00

先に【年齢階層別の金融資産保有割合をグラフ化してみる】で、年齢階層別の金融資産保有割合をグラフ化した際、いくつかの問い合わせをいただいた。その中の一つに「自分のお爺さんはそんなにお金持ちじゃない」というものがあった。あくまで先の記事は「全体として」であり、(世間一般の平均年収と年収の片寄りの違いのように)個別の案件とはまた別の問題なのだが、誤解を解く意味もあり、今回は「高齢者の貯蓄現在高の世帯分布」をグラフ化してみることにした。

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データの取得先は前回と同じ、総務省統計局の「家計調査」・2007年版データ。そこから「貯蓄・負債編」、「二人以上の世帯」「詳細」から「貯蓄・負債 貯蓄及び負債の1世帯当たり現在高、貯蓄・純貯蓄現在高五分位階級別,世帯主の年齢階級別」を選びデータを取得。定年退職期のことを考慮し、60歳以上のデータを抽出する。そして貯蓄(保有している預貯金・保険・有価証券をあわせたもの。いわゆる金融資産)の額について、現在の残高を階級別に区分した人数の割合でグラフ化したのが次の図。

世帯主が60歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布(二人以上の世帯)(2007年)
世帯主が60歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布(二人以上の世帯)(2007年)

世帯主が60歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布(二人以上の世帯)(2007年)
[追加]世帯主が60歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布(二人以上の世帯)・1000万円単位。同単位で区切れる単位でグラフを再構築。大ざっぱな区切りになるが、この方が分布がつかみやすいはず(2007年)

注意して欲しいのは、1000万円以下が100万円区切りなのに対し1000-2000万円は200万円、それ以上は500万円・1000万円の区切りになっていること。直感的なビジュアルで判断すると、誤解をしてしまう可能性がある。そこで円グラフでも作り直してみた。

世帯主が60歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布(二人以上の世帯)(2007年)(円グラフ)
世帯主が60歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布(二人以上の世帯)(2007年)(円グラフ)

まるで宇宙要塞のような体裁になってしまった。ともあれ、低額の貯蓄額者が大勢いる一方、高額を保有している人も多いことがよく分かる。

ちなみに貯蓄額を5段階に分けた場合の、もっとも高い階層にいる世帯主の平均貯蓄額は6275万円、もっと低い階層の場合はわずか240万円。高齢者間においても「持つ者・持たざる者」の区分が生じていることが理解できる。



先の記事でも触れているのだが、一連の記事の主旨は「高齢者から金を巻き上げろ」というものでは決して無い(一部でそのように誤解をした解釈をしているむきもあるので、あえて言及させていただく)。そうではなく、「年齢階層別に見れば若年層グループよりも高齢層グループの方が金融資産をたくさん持っている(しかも貯蓄した経年数を考えればある程度は当たり前の話)のだから、『若年層ばかりに、もっとお金を使うように』というターゲットの絞込みは間違っているのではないか」ことに他ならない。

・高齢者が皆金持ちなわけではない。
・年齢階層別では高齢者グループが
多数の金融資産を抱えている。
・高齢者の「お金持ち」に
もっとお金を使ってもらう
仕組み、工夫が必要。
・それが若年層にも還流されれば
「正しい富の継承」が行われる。
さらに今回のデータを見れば分かるように、高齢者が一概にリッチというわけでは(当然)無く、高齢者の間にも「なけなしの貯蓄を切り崩して年金とつみ合わせて日々の生活を過ごしている」人もいれば、「金融資産から生じる配当や、役員職・再就職先などでの高給で、さらに貯蓄額を積み増ししている」人も大勢いるということだ(詳細は略するが、統計局の別データでそのような結果も出ている)。

そして「経済が『お金が出回らなくなり、失血状態にある』のなら、溜め込まれているお金を市場に流通させて『血の巡り』を良くするような雰囲気を作らねばならない」、言い換えれば「溜め込んでいる人が喜んで、満足してお金を使うような、提案・仕組みをしなければならない」のだと思われる。

逆に言えば現状では、「持っている人」と「使わせたい人」とのミスマッチが起きて、「持っている人」が溜め込んだままの状態なのだろう。似たような話は先日【最近のテレビ番組高視聴率トップテンを表組化してみる】でも触れたが、要は「企画者側・プロデュース側のアイディア不足」に一因があるのかもしれない。

その「新たな消費」が、これから貯蓄を積み重ねていく若年層のふところをも潤わせるものであれば、正しい形で富の継承も行われていくに違いない(核家族化がこれを阻んでいるという考えもあるが、これはまた機会があれば)。

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