【転送】アメリカの家庭内借金事情(改定・増補版)
2008/12/22 12:00


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データの抽出元は先の記事とまったく同じ。項目で「債務(Liabilities)」に該当する部分が抽出元。実データでは細かい項目分けが行われているが、ここでは「住宅ローン」「クレジットカード」「銀行ローン」「その他」の4つに大別することにした。ドルベースのため対外価値を計算する場合には為替レートが大きく関わってくることなどの注意点も前回と同じ。ちなみに「Q」とは四半期のこと。「Q1」なら第1四半期を意味する。

アメリカ家計の債務額推移(兆ドル)
借金総額は確実に増加している。特に住宅ローンがらみの債務が増加しているのが一目で分かる。このあたりの事情は【「借金のワナ」……アメリカ家計の借金の時代推移をかいま見る】とまったく被るので省略するが、最近ではようやく増加に歯止めがかかりつつあるように見える。さすがにこのような状況で住宅ローンを組む人が急増する……というわけにはいかないのだろう。日本でも住宅ローンを組んで戸建住宅などを購入した人は、それなりに借金を抱えていることになるので「全体債務に対する住宅ローンの割合」は腰を抜かすほどのものではないが、「この10年で2倍以上に増えている」のはやはり驚くべき状態といえよう(このあたりは前回の記事から大きく変更しているので注意が必要)。
絶対値推移ではやや分かりにくいので、これを各項目別に分け、さらに1999年Q1の値を100%にした形で折れ線グラフにしてみる。

アメリカ家計の債務額推移(1999年Q1の値を100%とした場合)
どうやら銀行ローンは貸し借りが比較的自由なので変動幅が大きいが、それでもここ1、2年は増加の傾向を示している。そしてそれ以外の債務は大体において同じような上昇傾向を見せている。特に住宅ローンの上げ幅か大きいのは再確認できるが、それと共にクレジットカードの借入額も増加しているのが気になるところ。

特に今回、10年単位で過去にさかのぼってデータを抽出することにより、クレジットカードの負債額増加がいちじるしいことが再確認できた。これは「クレジットカードクランチ」の可能性を示唆するデータとして、重要視しなければならない。
ローン、借金、そして多数の金融工学で用いられてきたレバレッジも、いわば「未来からの借入」に過ぎない。アメリカ発の金融(工学)危機は、単に「借入の返済を迫られている」だけに過ぎないのだろう。アメリカ家計の借金額動向を見るに、そんな考えが再確認できたのだが、どうだろうか。
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