業界規模は3兆4361億円・お菓子の売れゆき具合

2023/04/26 02:00

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羊かんやおまんじゅうのような伝統的な和菓子、ロールケーキやシュークリームのような洋菓子、さらにはガムやチョコレート、アイスクリームにいたるまで、お菓子は食生活にメリハリを与え、心を和ませ、憩いのひとときを演出してくれる。それらお菓子を開発・生産・販売するお菓子業界の動向を記した年次レポートとして、全国菓子卸商業組合連合会と全日本菓子協会が共同で設立したe-お菓子ねっと製販代表会議運営による「e-お菓子ねっと」では2023年3月31日に、2022年分の菓子統計データを公開した。今回はその値を基に、2021年のお菓子業界の動向を精査する(【発表リリース一覧ページ】)。

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2022年の概況


元来お菓子は景気動向の影響をあまり受けない商品として知られている。単価が安く手頃に購入できる嗜好品であること、創意工夫がしやすく、時節に合わせた新商品を臨機応変に創れること、他商品との組み合わせが比較的容易に行えることなどがその理由。昨今ではコンビニによる独自ブランドでのデザート系菓子の展開、高齢層のコンビニ・スーパーの多用化に伴うそれら店舗での積極的な和菓子をはじめとした懐かし系のお菓子の導入、さらには健康を意識した素材や製法に通常品よりも配慮したことをうたった健康志向的なお菓子など、多様な業界内の動きも確認できる。一方、世界全体で見れば景気がよくなるほど甘味の材料とされる砂糖の消費量が多くなる傾向もあり、好景気ほどさらに売上を伸ばせることには違いない。

直近の2022年の動向としては、全体では新型コロナウイルスの流行による行動制限が次第に解除の方向に進んでいることなどで、社会の経済活動の回復や人の流れの活性化が見られるようになった。しかし一方でロシアによるウクライナへの侵略戦争や、それが大きな要因となった円安の進行を受け、原材料の高騰などを理由にお菓子も含めた商品価格の大幅な値上げが生じる形に。結果として生産数量、生産金額、小売金額ともに、前年を上回る結果となった。

今件リリースで取り上げられている、お菓子の品目区分の具体例は次の通り。

・飴菓子
キャンディ類、キャラメル、ドロップ、グミ、錠菓、ゼリー、清涼菓子、マシュマロ

・チョコレート
チョコレートI(チョコレート生地100%、板チョコ、粒チョコなど)、チョコレートII(同60-100%未満、ナッツチョコなど)、チョコレート菓子(同20-60%未満、被覆チョコなど)

・チューインガム
板ガム、粒ガム、風船ガム、シュガーレスガム

・せんべい
小麦粉せんべい

・ビスケット
ビスケット、クッキー、クラッカー、プレッツエル、乾パン、パイ、サンドビスケット、その他

・米菓
あられ(もち米製のもの)、せんべい(うるち米製のもの)

・和生菓子
ようかん、まんじゅう、その他

・洋生菓子
ケーキ、カステラ、ドーナツ、その他

・スナック菓子
ポテト系、コーン系、小麦粉系、米粉系のもの

・油菓子
かりんとうなど

・その他
豆菓子、甘納豆、玩具菓子、おこし、砂糖漬菓子など

※半生菓子(一般的には、水分が10-30%のものをいう)
小物ようかん、小最中、小まんじゅう、カステラ、カップケーキ、バウムクーヘンなど

目立つ動向を示したいくつかの品目区分について、概要を確認すると次の通りとなる。

・飴菓子
新型コロナウイルス流行による外出自粛やマスク着用の常態化の影響を受けた前年と比べれば、回復のきざしが見えている。販路の新規開拓も活発に。のど飴が伸び、グミなどのソフトな食感のものの売上が堅調。

・チョコレート
インバウンド需要の回復や値上げによって小売金額は前年比でプラスに。
チョコレート製品Iは健康志向などが継続して売上に貢献して前年並み、チョコレート製品IIも健康志向の影響はポジティブに働いたが、ナッツチョコなどは苦戦。

・チューインガム
新型コロナウイルス流行による外出自粛などの影響から苦戦。「粒ガム」は小売店の来店客数の低迷の影響で小売り金額は大きなマイナス。「板ガム」は昔の人気商品の復刻品の発売などで好調。「風船ガム」はキャラクター商品などが好評を博して前年比でプラスの売上を記録。

・せんべい(小麦粉)
新型コロナウイルス流行による外出自粛などの影響は和らいできたものの、原材料費や人件費、物流費などの高騰が課題に。生産数量は前年比を上回り、小売金額は商品価格の値上げを受けて大幅上昇(前年費プラス33.0%)。

・和生菓子
家庭内消費は堅調なものの、彼岸の仏教催事や入卒業時の謝恩会、各種会合などでの和菓子需要が大きく減少。交通機関の利用客減少による販売機会の喪失は回復基調に。一方で原材料費や人件費、物流費などの高騰が課題に。

・スナック菓子
巣ごもり化により家庭向け商品は大きな売上増。土産用やインバウンド、イベント用、オフィス向け需要の新型コロナウイルス流行による大幅減少な実情は回復のきざし。他方、国内産ばれいしょ不足や海外輸送コンテナひっ迫問題を受け、ポテト系スナックの生産数量が大幅減。その上、原材料費や人件費、物流費などの高騰で商品価格の値上げが相次いで、生産数量は前年を下回ったが、小売金額は前年費プラスとなった。

2011年の震災をきっかけに生じた乾パンなどの防災・備蓄用菓子への特別需要は2013年で終息を迎え、その影はもはや無い。消費者の健康志向の強い意志、原材料価格の上昇、誘因要素となるキャラクタの有無など、さまざまな要因がお菓子の売上を左右していることが分かる。

一方でお菓子そのものの品質や内容、種類とは別に、中小規模の店舗における後継者不足、廃業問題も今後さらに大きな問題となりそうな感はある。書籍同様販売プラットフォームが減ればそれだけ市場は縮小しうる(もっとも業界全体の商域カバーとしてはコンビニがその分をカバーして余りあるのも否定はできない)。

またそれとは別に、チューインガムの中期的な減退傾向が目にとまる。業界側でも多様な新商品の開発を続け、奇抜さ、目新しさで新たなユーザーの開拓を模索しているが、消費者側のハートをつかむまでには至っていない。

直近の2022年分では、ロシアによるウクライナへの侵略戦争が大きなきっかけとなった資源の大幅値上げで、原材料費や人件費、物流費などの高騰が生じ、商品価格を引き上げざるを得なかった状況が把握できる。もっとも多くの品目で、その引き上げにより小売金額が大きく引き上げられることも生じている。

グラフで分かるお菓子業界


さて肝心の区分別の小売における売上だが、チョコレートがトップで5750億円。次いでスナック菓子が4768億円。和生菓子がそれに続き、合計は3兆4361億円(小売ベース)。前年比1386億円増(プラス4.20%)。

↑ 菓子小売金額・構成比率
↑ 菓子小売金額・構成比率

↑ 菓子小売金額(億円)
↑ 菓子小売金額(億円)

↑ 菓子小売金額(億円)(2022年)
↑ 菓子小売金額(億円)(2022年)

社会の高齢化を受けて米菓のシェア・売上は伸びを示していた。せんべいも下げ止まりを見せ、和風や柔らかい系統のお菓子が勢いを見せている雰囲気を感じられたが、この数年で新型コロナウイルスの流行による観光需要の減少の影響を受け、売上は大きく減っている。

洋系だが柔らかいとの観点では合致する、そして機能系商品で若年層にも受け入れられているチョコレートは急成長。飴菓子もこの数年でマイナス基調からプラス基調に転じている。ただし飴菓子もせんべい同様、新型コロナウイルスの流行による観光需要減少の影響を受け、売上は急減してしまっている。一方でチューインガムの厳しさがひときわ目立つ。元々小さめだったシェアがさらに縮小している。

スナック菓子やビスケットは順調な成長ぶり。新型コロナウイルスの流行という社会環境の変化の中でも、家庭内需要の増加の恩恵を受け、売上を伸ばしている。

そして直近の2022年では生産数量を前年比で減らした品目もあるが、原材料費や人件費、物流費などの高騰に伴う商品価格の引き上げで、売上の面において多くの品目が前年比プラスを示している。前年比でマイナスなのは米菓とチューインガムぐらいなもの。

最後は売上の前年比。グラフが読み難くならないよう、直近3年分に限定した。区分別のすう勢がよく分かるグラフに仕上がっている。

↑ 菓子小売金額(前年比)(2020-2022年)
↑ 菓子小売金額(前年比)(2020-2022年)

2022年においては前年の2021年同様に、基準年の前年が新型コロナウイルスの流行で大きく売上を落としたこともあり、それとの比較となることから、そしてロシアによるウクライナへの侵略戦争をきっかけに生じている世界規模での原材料費や人件費、物流費などの高騰に伴う商品価格の引き上げで、大きなプラス幅を示す品目が複数登場している。中でもせんべいのプラス33.0%がひときわ際立っている。

なお米菓がマイナスを示しているのは、2022年2月に生産数量の大きなシェアを占める某大手企業で大規模火災事故が発生し、長期の操業停止を行ったため。あるいはせんべいが大きなプラスを示したのも、その一因に米菓が手に入りにくくなったからかもしれない。



冒頭でも触れているが甘味系業界は不景気でもさほど影響を受けず、好景気にはさらなるセールスが見込める、手堅い分野として知られている。創意工夫を凝らすこと、他業界との連動性を盛り込むことでターゲットを幅広く設定できるのがポイントとなる。

他方、コンビニの日常生活への浸透や高齢化社会の到来による消費層の変化、機能性商品の需要増加、通販需要の拡大、さらに昨今では海外からの観光客の増加など、多様な変化が起きている。そして商品区分別のすう勢を見るに、全般的には和風、やわらか系、すぐに食べられる系統のお菓子が伸び(チョコレート、米菓、生菓子)、食べるのに時間を要するタイプの菓子(油菓子、チューインガム、飴菓子のうち堅い系。グミは伸びている)が敬遠される動きがあるようにも見える。「スナック感覚」との言葉ではないが、お手軽感がお菓子全体のトレンドの一環として浸透しているのだろうか。

シニア層が積極的に消費を行い、市場に影響を及ぼすようになったこともあり、機能性を重視した、あるいは健康志向の商品への需要がこれまで以上に高まりを見せているのも特徴の一つ。さらにそれと連動する形ではあるが、少人数世帯化や「チョイ食べ」需要の拡大に伴い、少量パッケージ化や個別包装商品の需要も増加している。同じ商品で需要に合わせた一工夫を凝らすことで、大きな飛躍を見せた商品も少なくない。

他方2020年で生じた新型コロナウイルス流行による社会様式の大きな変化は、2022年でも一部では継続しており、売上にも大きな影響を与えている。そして今後もしばらくは同様の環境が続くものと考えられる。さらに新型コロナウイルス流行という事態が鎮静化しても、在宅勤務など変化の一部はそのまま継続され常態化する可能性もある。その上、世界規模での原材料費や人件費、物流費などの高騰との対峙が求められている。

お菓子業界も逐次、社会の変化に合わせたかじ取りが求められよう。


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