2024年1月度外食産業売上プラス9.6%…26か月連続の前年比プラス

2024/02/26 16:00

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日本フードサービス協会は2024年2月26日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2024年1月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でプラス9.6%を示した。能登半島地震の影響が宴会のキャンセルや観光自粛の発生などで生じたが、人の流れの活性化は継続中で、インバウンド需要も回復の動きを見せ、外食の売上に貢献した(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が229、店舗数は3万6500店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は減少、店舗数も減少している。

全業態すべてを合わせた2024年1月度売上状況は、前年同月比で109.6%となり、9.6%の増加を記録した。これは前回月から継続する形で26か月連続の増加。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は1日少なく、土曜日は変わらないため、売上の観点ではマイナス。気象環境では雨天日は東京は少なく、大阪は変わらず、平均気温は東京・大阪ともに高く、客足への影響判断はプラスと判断できる。

新型コロナウイルス流行に関しての5類移行やインバウンドの回復傾向などの動きから人の流れは増加し、これらが外食機運の高まりとともに売上増につながっている。能登半島地震の影響で一部で宴会のキャンセルや観光の自粛が生じたものの、大勢を動かすものとはならず、結果として客数は全体では前年同月比でプラス5.2%を示した。一方で客単価はプラス4.2%となり、結果として総合売上はプラス9.6%に。

業態別に詳しく動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から継続する形で35か月連続のプラス(プラス8.9%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、ファストフード全体をけん引するかのような好調さを示している。今回月では「価格改定による客単価上昇のうえに、お得キャンペーンの効果も加わり」と説明されている。1月24日から実施された価格改定や、チキンナゲットの夕方5時以降のお買い得価格での提供が功を奏したのだろう。

なおマクドナルド単体の2024年1月における営業成績はプラス5.4%(売上、既存店、前年同月比)とプラスを示している。客数はプラス1.1%、客単価はプラス4.2%と堅調な伸び。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス8.3%、客単価はプラス4.6%となり、売上はプラス13.3%。麺類は客数プラス5.2%、客単価はプラス6.9%となり、売上はプラス12.5%。麺類は「繁華街や大型商業施設で客足が回復し」との説明がある。喜ばしい話だ。持ち帰り米飯/回転寿司は売上がプラス2.9%。「大都市圏の「回転寿司」が正月需要で堅調」とある。

ファミリーレストラン部門は客数ではプラス7.3%、客単価はプラス3.2%、売上はプラス10.7%。新型コロナウイルス流行前との比較となる5年前同月比でも増加を示している(売上プラス3.2%)。

パブ/居酒屋部門では、パブ・ビアホールの売上はプラス15.3%、居酒屋の売上はプラス7.8%。部門全体では売上はプラス10.1%を示した。「忘年会需要が大きく伸びた前月の反動と、能登半島地震に衝撃を受けた消費者マインドにより、成人の日以降の平日は集客に苦戦したところもあったが、月末にかけてオフィス街立地の店を中心に中小規模の法人宴会が戻り」とある。中小規模ではあるが、法人宴会の戻りが確認できた話は、朗報に違いない。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数はプラス6.7%、客単価はプラス5.0%で売上はプラス12.0%を示した。「関西では能登半島地震の影響で宴会のキャンセルが一部で見られたが、他の地域ではインバウンド需要が堅調に推移」との説明がある。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2024年1月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2024年1月分)

↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2024年1月)
↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2024年1月)

↑ 外食産業売上5年前同月比(業態別)(2024年1月)
↑ 外食産業売上5年前同月比(業態別)(2023年1月)

各種制限無く
5類移行などが
外食需要を後押し。
インバウンドも
貢献。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種公開値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比でプラスを示している。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとはうって代わり、低迷感が否めない状態となった。中食に多分に客を奪われている感はある。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも精肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているようだ。

吉呑み現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけではない。牛丼チェーン店の吉野家が展開している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に合わせた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

テーブルにもソーシャルディスタンス新型コロナウイルスの影響だが、そもそも論として店舗が自主休業していれば客が来るはずもなく、営業しても(場合によっては自治体からの要請に従う形で)時短や販売品の制限を行うところも多く、イートインは客同士の距離を取るために収容効率が悪化、さらに来店客数そのものが三密忌避気運で少ないことから、客数は激減する形となった。企業も従業員のリスク回避で集団での外食をひかえたり、リモートワークの浸透で出社する人が少ないため催しで外食を使う機会が無くなり、これも大きなマイナスの影響を与えている。疫病の影響である以上、仕方がないとはいえ、衝撃的な値には違いない。

特にその店舗スタイルや就業者向けのビジネスの色合いが強いパブや居酒屋は大きな痛手が継続している。コロナ禍前の5年前同月比では燦燦たる状況である(5年前同月比で売上高はマイナス34.3%。もっとも店舗数もマイナス35.0%と驚くべき値を示している)。また昨今では店舗の人員数不足が顕著化しており、とりわけピーク時間帯では著しい不足感が生じているとある。

次回月の2024年2月分では、今回月に続き行動制限などは無く、例年と比べても全国的に平年より気温が高く、特に北海道以外では非常に高い値が観測されている。降水量は北海道や北陸の一部では平年より少ないが、それ以外の地域では平年より多い結果が出ている。客足はいくぶんの底上げとなるかもしれない。他方、原材料価格の高騰などは継続中であり、また人員数不足も深刻化しており、ビジネスの上では大変な状態が続くに違いない。


↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである



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