【更新】職種別有効求人倍率と会社が払える賃金をグラフ化してみる

2009/02/17 06:30

グラフ化イメージ先に【職種別有効求人倍率をグラフ化してみる(2008年12月データ版)】で2008年12月における有効求人倍率をグラフ化した際の「雇用状況はミスマッチが問題視されるべきた」という話に対し、いくつか貴重な意見をいただいた。その中の一つが「職種別の募集時平均賃金などが分かると、そのミスマッチ具合がさらに明確化するのではないか」というものだった。そこで今回は早速、同時期における平均賃金などをグラフ化してみることにした。

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まずは東京都。東京都の場合、幸いにも同じデータの保管場所(【東京都のハローワークの統計データ】)で「職種別求人・求職賃金状況」が公開されている(長野と愛知は該当するデータは無し)。そこで先の表と併記する形で、求「人」賃金状況(雇う側が提示できる賃金)をグラフ化した。

元データには上限・下限が掲載されており、細かい部分まで求めるならば配分状況まで考えねばならないのだが、そのデータはないので今回は単純に足して2で割り、グラフに反映。なお求人賃金状況求「職」賃金(職を探している側が希望する賃金)も元データには掲載されているが、こちらはあくまでも求職者の要望なので今グラフでは省略。

東京都職種別有効求人倍率(2008年12月、一般常用)と求人平均賃金(上限と下限を加算して2で割ったもの、緑色)
東京都職種別有効求人倍率(2008年12月、一般常用)と求人平均賃金(上限と下限を加算して2で割ったもの、緑色)

求職側の賃金はあくまでも「上と下を足して2で割った」だけなので、片寄りが考慮されていない。だから一概にこの値をフルに信じることは、リスクが伴う。とはいえ、十分以上の参考値としては役立つはずだ。このようにして並べて見ると、「保安」や「福祉」は求人倍率が高い割には求人側の賃金が低いことが確認できる。要は「引く手あまただけど職につく人は少ない(仕事の割には手取りが低いから!?)」ということが推測できる。

一方、「IT関連の職業」「専門的・技術的職業」は求人倍率が1倍を超えており、さらに賃金は高め。一見美味しそうな話に見えるが、これは「上限の値」がきわめて高いため、平均値も高くなっているのが原因の一つ。上限値に近い細分化職種では、特殊な技術や経歴が必要なため、求人側の賃金も高い、と見てよいだろう。それが分かるように、上限と下限、それぞれを反映させたグラフ化も加えておく。

東京都職種別有効求人倍率(2008年12月、一般常用)と求人平均賃金(上限、緑色)
東京都職種別有効求人倍率(2008年12月、一般常用)と求人平均賃金(上限、緑色)

東京都職種別有効求人倍率(2008年12月、一般常用)と求人平均賃金(下限、緑色)
東京都職種別有効求人倍率(2008年12月、一般常用)と求人平均賃金(下限、緑色)

「IT関連の職業」「専門的・技術的職業」の上限がずば抜けて高いのが分かる。これなら誰もが飛びつきそうだが、これらの職種の場合、単純な求人倍率には反映されないが、それぞれ条件が設けられている場合が多い。例えば「求むCのプログラマ、実践経験5年以上」という高給の求人があったとしても、プログラム経験の無い人や、Cを知っていても実践経験年数が足りない人は応募できないことになる。他にも「○×の国家試験資格が必要」などのような求人も同様だ。だから「求人倍率が高く、求職賃金も高めの条件のものがあっても、なかなか定員が満たされない」ことが多々ある。条件がゆるいものは、たとえ「IT関連の職業」「専門的・技術的職業」だったとしても、他の職種とたいした変わりは無い(「下限」のグラフを参照のこと)。

他方、求人倍率が1倍を切っている、つまり「定員以上の人が応募している職種」を見ると、「管理的職業」がずば抜けて高い。恐らくは店長や職場のリーダーなど、指揮をする能力・即戦力が求められるがため、求職側の賃金も高く設定されているものと思われる。当然素人が突然リーダーシップを発揮できるはずもなく、同じ分野・業態の経験者が優先されるので、雇用ハードルはきわめて高い(それでも求人倍率は1倍を切っており、応募が殺到しているのが分かる)。

他の職種、「事務的」「農林漁業」「生産工程・労務」はさほど高くもないが低くもない。これは単に「手取りがよいから殺到している」というよりは、技術や資格、経験など他のハードルが高くなく、比較的容易に応募することが可能だからだと思われる。



やや本文がだらだらとした感があるので箇条書きにまとめると、

・「保安」「福祉関係」は求人倍率が高いがその分手取りも低い。
・「IT関連」「専門・技術」は求人倍率が高い割に手取りも高い。美味しい職種に見えるが、技術や経験、資格などの「数字に表れない」ハードルがあるため、好条件の職にありつくにはそれなりの条件を満たすことが求められる(ハードルの低い仕事は他の職種同様に手取りもそれなり)
・「管理」は手取りが高く、求人倍率も低い(人気が殺到)。ただし、誰にでも出来る仕事の類ではないので、やはり職につけるかどうかの判断には高いハードルを超えることが要求される。
・「事務」「生産工程・労務」などは手取りが低めだが、就けるか否かのハードルも低いため、求人倍率が低い。

などとなる。

ちなみに今回と前回取り上げた対象である「一般常用(雇用形態)」とは、「期間の定めなく、あるいは一定期間を超えて雇用されている者」を指す。特筆していない限りパートやアルバイトは含まれない。正規・契約・派遣で期間の定め無し、と認識すればよい。一部指摘で「労働時間についても知りたい」というものがあったが、残念ながらデータは見つからなかったし、元々これらのデータがパートやアルバイトのような時間給ではないので、さほど大きな意味を持たないから、これも取り上げないことにする(残業などはまた別個の問題だからだ)。

このようにして見ると、単純に人員が不足しているのは「保守」「福祉」、仕事が不足しているのは「生産工程・労務」「農林漁業」「事務」、そして技術や経験・資格など他条件でミスマッチや人材不足が発生しているのは「IT関連」「専門・技術」「管理」であることが推測できる。

昨今の雇用情勢は単純に「不安定」「仕事に就けない人が増えている」「仕事不足」という話で説明されがちだが、実のところはそれではあまりにも的を射ていないことになる。その点につき、あらためて注意をしてほしい。

逆にいえば、「ハードル」を超えるだけの技術・能力を身につければ、いくらでも門戸は開けていることでもある。希望はいつも自らの手の中にあり。それをつかみとれるか否かは、ひとえに各個の意思次第というわけだ。

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