53.8%対46.2%…リアル書店とインターネット経由の出版物の売上動向

2022/12/12 08:00

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かつて出版物はリアルの書店で購入するのがおおよその人にとっては唯一の購入ルートだったが、今ではコンビニやインターネット経由で調達することも当たり前の話となっている。また印刷物ではないが同じ本の類として、電子書籍のような電子出版物も世間一般に浸透しつつある。今回は日販による「出版物販売額の実態」最新版(2022年版)などの公開値を基に、インターネット経由とリアル書店経由における、広義の意味での出版物の購買額動向を確認していくことにする。

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まずはインターネット経由とリアル書店経由それぞれにおける出版物購買額の定義。

■インターネット経由の出版物購買額:
・インターネット経由で取引された紙媒体出版物の購買額
・電子出版(電子媒体の出版物。電子書籍、電子コミック、電子雑誌。学術ジャーナルは含まず)の購買額

■リアル書店経由の出版物購買額:
・実店舗書店での紙媒体出版物の購買額
・コンビニでの紙媒体出版物の購買額
・その他取次経由での紙媒体出版物の購買額

また電子出版の購買額だが「出版物販売額の実態」では2013年度以降の値が確認できるため、それを適用。それ以前は【出版物の売り場毎の販売額推移(番外編:電子出版独自追加版)(最新)】同様にインプレス総合研究所の「電子書籍ビジネス調査報告書」の値を適用する。

これらの計算が可能な2007年度以降について、経由別の購買動向を確認したのが次のグラフ。要は出版社直販を除いた、紙媒体も電子媒体も合わせた出版物全体の動向を示したものとなる。

↑ 出版物購買額(経由別、億円)
↑ 出版物購買額(経由別、億円)

↑ 出版物購買額(経由別、構成比)
↑ 出版物購買額(経由別、構成比)

インターネット経由の購買額は漸増しているが、リアル書店経由の購買額はそれ以上の減少を示しており、全体としては減少傾向にあった。この構図は音楽市場におけるデジタルとアナログの市場動向にも似ており、非常に興味深い。また当然ながらインターネット経由の購買額における構成比は漸増しており、直近の2021年度では4割台後半に至っている。出版社直販を除けば、出版物購買額の4割台後半がインターネット経由のものとなる。4割台後半も、なのか、まだ4割台後半でしかない、なのかは人それぞれだろう。

2020年度ではリアル書店経由の購買額は前年度比で微減しているが、インターネット経由購買額は大変大きな伸びを示している(前年度比でプラス28.5%)。結果として合計額も計算可能な2007年度以降では、はじめて前年度比でプラスとなった。これは新型コロナウイルスの流行で在宅勤務・学習の機会が増えて本を求める人が増加したのに加え、他人との接触を避けるためにインターネット経由で購買する人が増えたからだと考えられる。直近の2021年度もその動きは継続する形となり、リアル書店経由の購買額は微減、インターネット経由購買額は大きく伸び、合計額は前年度比でプラス。合計額は2019年度を底値に、プラスへの反転の動きと解釈できる形となっている。

ちなみに経由別の購買額の前年度比を算出すると次の通りとなる。

↑ 出版物購買額(経由別、前年度比)
↑ 出版物購買額(経由別、前年度比)

リアル書店経由の購買額は一貫して減少。しかも下げ幅はおおよそ漸増していた。一方でインターネット経由の購買額は常にプラス圏にあり、東日本大震災によるものと思われるプラス幅の縮小時期を除けば、10%以上の上げ幅を維持している。また2020年度における新型コロナウイルスの流行が、インターネット経由購買額だけでなく、リアル書店経由の購買額にも若干のポジティブな影響を与えていたことが確認できる(それでも前年度比でプラスまでにはいかなかったが)。直近の2021年度ではインターネット経由購買額の勢いはいくぶん落ち着いたが、リアル書店経由の購買額の下げ幅の縮小度合いはほぼ継続となった。

紙媒体の出版物が無くなることはなく、リアル書店が地域にとって欠かせない存在であることも言うまでもないものの、現実として市場規模の縮小が生じているのは事実ではある。リアル書店経由とインターネット経由の比率が逆転するような時期になれば、出版物業界そのものも大きな変化が生じていることだろう。それはもう数年ぐらい先の話でしかないのかもしれない(概算の限りではこのままの傾向ならばあと数年、早ければ2025年度にも達しそうである)。


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(C)日販 ストアソリューション課「出版物販売額の実態2022」

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