7割近くが「関心あり」…自衛隊や防衛問題への関心度合い
2018/03/13 05:00

内閣府は2018年3月12日付で定点観測的な調査の一つ、自衛隊・防衛問題に関する定期世論調査について、最新版となる2018年版を発表した。それによると自衛隊や防衛問題に対して関心を持つ人は7割近くいることが明らかになった。年齢階層別では大よそ高齢層ほど、高い関心を持つ傾向が確認できる(【自衛隊・防衛問題に関する世論調査(平成30年1月調査)】)。
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今調査に関する調査要項は先行記事【自衛隊への好印象度89.8%(最新)】を参照のこと。
自衛隊、そして防衛問題に対して否定肯定を問わず、興味関心があるか否かを「非常にある」「ある程度ある」「分からない」「あまり無い」「まったく無い」の5段階評価で尋ねたところ、全体では67.8%の人が「非常にある」「ある程度ある」を合わせた「関心あり派」に属する回答を示した。「関心無し派」は31.4%。

↑ 自衛隊や防衛問題に対する関心(2018年)
男女別では男性の方が、年齢階層別では大よそ高年齢層ほど強い関心を示しているのが分かる。ただし年齢階層別では30代をのぞけば「ある程度あり」の回答率に大きな変化は無く、「非常にあり」の層の回答率の高低が、そのまま「関心あり派」の多い少ないを左右していることになる。他方、関心がまったく無い人はいずれの層でも数%に過ぎない。つまり年齢階層別の変容は「非常にあり」が少しずつ増え、代わりに「あまり無し」が減っていく形を示している。ただし30代だけは別で、「ある程度あり」が他層と比べて大きく減っており、その分「あまり無し」が大きく増えている(詳細値から確認すると、30代の関心無し派の理由として「差し迫った軍事的脅威が存在しない」「自衛隊についてよく分からない」の回答率がやや高めに出ている)。
「関心あり派」の思いはそのまま自衛隊・防衛問題の肯定にはつながらない。否定をしているからこそ関心を持つ、あるいは否定肯定とは別次元で関心を持つ場合もある。そこで「関心あり派」「関心無し派」それぞれに、その理由を選んでもらった結果が次のグラフ。前回調査にあたる2015年分(2015年1月実施)の結果と併記し、その変化も確認する。

↑ 関心がある理由(択一、関心あり派回答者限定)

↑ 関心が無い理由(択一、関心無し派回答者限定)
「関心あり派」の最大の理由には「事態対応」、特に「大規模災害」などにおける「緊急展開可能な”まとまった実戦力(実践力)”」としての意義が挙げられる。これはいうまでもなく、これまでの実績に加え、先の東日本大地震・震災での奮戦ぶりによるところが小さくない。震災からはすでに7年が経過しているが、昨今の各種天災での出動の実情を受け、前回調査結果よりも大きく値は増加している。
自衛隊の最大存在意義とされる「国土防衛問題」は第2位の理由として挙げられている。前回調査と比べると14%ポイント近い下落を示している。昨今の日本を取り巻く周辺地域環境問題で、該当国による軍事的・疑似軍事的圧力の事案が多数生じているものの、それを受けの反応は低下するという意外な結果となった。
なお「関心があるのは自衛隊の存在を否定しているからだ」とする回答者は関心あり派の1%にも満たない。
「関心無し派」では「自分の生活に関係が無い」がトップの回答率。これはある意味望ましい結果とも解釈できる。警察や消防同様に、本来なら「生活に関係が無い」平穏無事が一番望まれる状態であり、それを陰から支え、いざという時にだけ存在を再認識されるのが自衛隊のあるべき姿と表現できるからだ。「縁の下の力持ち」的なものとして、各種インフラもまた同様の立場といえる。もちろんこれは「ないがしろにして構わない」を意味しない。
「よく分からないので関心が無い」とする意見も4割近く。啓蒙不足が懸念される値ではある。
なお自衛隊や防衛問題に対する関心度は大よそ上昇する傾向にあり、今項目調査開始の1978年と比べ、「関心あり派」は20ポイント強の上昇を見せている。

↑ 自衛隊や防衛問題に対する関心の推移
直近では67.8%が「関心あり派」。前回調査からはやや値を落としている。ちなみに1991年において湾岸戦争を機会としたものと思われる「関心あり派」の大規模な増加が確認できるが、この時にもその内情としては「日本の平和と独立に係わる問題だから」が48.9%、「国際社会の秩序維持に関わる問題だから」が22.7%と多数を占めており、否定派的な関心を意味する「自衛隊は必要無いから」は2.0%に留まっている(【「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」-1991年調査分】)。
政府機関への関心が高まること自体はよい傾向ではあるが、不十分な情報や無理解による過度な期待を寄せられたり、逆に誤解による反発が高まるのは好ましい話では無い。関心に応えるだけの適切な情報提供・啓蒙を行い、理解を深めてもらう努力が欠かせまい。
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