鉄道内迷惑行為ランキング、今年の最上位は「騒々しい会話・はしゃぎまわりなど」

2021/12/17 06:00

このエントリーをはてなブックマークに追加
日本民営鉄道協会は2021年12月16日、駅と電車内のマナーに関するアンケートの結果を発表した。それによれば調査対象母集団においては、鉄道利用時にもっとも迷惑と考えられている行為は「騒々しい会話・はしゃぎまわりなど」であることが分かった。次いで「座席の座り方」「乗降時のマナー」が続いている。新型コロナウイルスの流行の関係で、感染リスクを想起させる項目が上位に複数ついているのがうかがえる(【発表リリース:2021年度 駅と電車内の迷惑行為ランキング発表】)。

スポンサードリンク


今調査は2021年10月1日から11月30日にかけて同協会公式サイト上で行われたもので、有効回答数は2006人。男女比、年齢階層別構成比は非公開。

駅や電車は多人数が同時に参加・利用する公共の場でもある。当然道徳、倫理の類を守らないと、多数の人が迷惑をこうむることになる。今件ではそのような「鉄道施設内における迷惑行為」について尋ねている。

列挙されている事例のうち、自分が特に迷惑だと思う内容のものを3つまで挙げてもらい、その回答数を集計した結果が次のグラフ。最上位には「騒々しい会話・はしゃぎまわりなど」がついた。4割近くの人が「迷惑だ」と感じている。

↑ 鉄道利用客が迷惑と感じる行為(3つまでの複数回答)(2021年)
↑ 鉄道利用客が迷惑と感じる行為(3つまでの複数回答)(2021年)

「騒々しい会話・はしゃぎまわりなど」は2020年では第2位だった項目だが、2021年では順位を上げてトップとなった。やはり新型コロナウイルス流行による、飛沫感染リスクを鑑み迷惑だと考える人が多かったのだろう。

第2位は「座席の座り方」。具体的には足を大きく広げたり、姿勢を崩したり、あぐらをかくなどして、座席の設計時に想定したよりはるかに大きなスペースを取り、他の人の着席を邪魔するような行為が当てはまる。さらにはお年寄りや身体の不自由な方、妊婦の方などに席を譲らない行為や、子供が靴を履いたまま座席に立つ行為も含まれる。

第3位は「乗降時のマナー」。詳しくは後述するが、具体的には「扉付近から動かない(乗降を妨げる、奥に詰めないなど)」がもっとも多く、「乗降時のマナー」のうち55.9%を占めている。出入りがしやすいようにとの考えからだろうが、他の人の乗降には大変迷惑な行為に他ならない。「ドア際族」とでも表現すべきか。

第4位は「周囲に配慮せず咳やくしゃみをする」。これも「騒々しい会話・はしゃぎまわりなど」同様に新型コロナウイルス流行に絡んだ結果だと思われる。

第5位は「スマートフォンなどの使い方」。具体的には「歩きながらの使用」がもっとも多く「スマートフォンなどの使い方」のうち51.5%を占めている。スマートフォンを操作しながら猪突猛進するがごとくに駅構内を歩く人が多い実情を考えれば、十分理解できる結果には違いない。

今回の調査結果に関して、男女別に見ると、いくつかの違いが確認できる。

↑ 鉄道利用客が迷惑と感じる行為(3つまでの複数回答、上位陣、男女別)(2021年)
↑ 鉄道利用客が迷惑と感じる行為(3つまでの複数回答、上位陣、男女別)(2021年)

迷惑行為をしないようにとの啓蒙ステッカー男性も女性も第1位と第2位の顔ぶれは順位こそ違えども変わらない。しかし第1位も第2位も、同じ項目の値を男女で比較すると、女性の値は男性を上回るものとなっており(特に「座席の座り方」で差が大きい)、男性以上に女性が座席の座り方や騒がしい会話などに迷惑を感じている、さらには実際に迷惑行為を受けているであろうことが想像できる。

他方、「周囲に配慮せず咳やくしゃみをする」は男性が第4位で24.2%なのに対し女性は第3位で33.8%となっており、新型コロナウイルスに関するリスクへの懸念は女性の方が強いことを想起させる。

迷惑行為のうち上位の「座席の座り方」「乗降時のマナー」に関して、細分化をした上でもっとも迷惑を覚える行動を示してもらった結果が次のグラフ。

↑ もっとも迷惑に感じる行為ランキング(それぞれの項目で択一)(2021年)
↑ もっとも迷惑に感じる行為ランキング(それぞれの項目で択一)(2021年)

「座席の座り方」のトップは「座席を詰めて座らない」で5割台後半。具体的には間を広く取ったり、荷物を置いたり、足を広げる行為などを指す。本人は悪気は無い、あるいは自分の権利だとしてむしろ正当な行為であるとの認識すら持っているのかもしれないが、多くの人は迷惑だと思っていることに違いはない。一方で男性に多い行為として「座りながら足を伸ばす・組む」も2割強が同意している。

「乗降時のマナー」では5割台後半が「扉付近から動かない」。車両に乗り込んだら奥の方まで行けばよいのだが、混雑時には降車駅で降りられなくなるのではとの不安があり、扉付近のポジションを維持してしまう。その気持ちは理解できるが、乗降車する人には邪魔以外の何ものでもないのもまた事実ではある。

一部方面で物議をかもした「混雑した車内へのベビーカーを伴った乗車」については、2009年の調査以降選択肢として加わっていたが、今回も併せ2015年分以降は選択肢から一切除外されている。また「決められた場所以外での喫煙」「混雑した車内で新聞・雑誌などを読む」が今回からは選択肢から除外されており、時代を感じさせる結果には違いない。

なお今回の調査では新型コロナウイルスの流行を受け、「新型コロナウイルス流行で電車利用時に気になること」との設問が用意されている。

↑ 新型コロナウイルス流行で電車利用時に気になること(複数回答)(2021年)
↑ 新型コロナウイルス流行で電車利用時に気になること(複数回答)(2021年)

トップは「マスク未着用者」、次いで「周囲の人の会話」「隣の人との距離」「車内換気」が続く。「車内換気」はともかく、上位3項目はすべて利用客自身の問題。状況が状況なだけに、十分以上に注意をしてほしいものだ。


↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである



■関連記事:
【1日1.03件発生・前年比204件減…鉄道係員への暴力行為、2020年度は377件】
【電車のマナー、改善されてる? 悪化してる!?】
【西日本鉄道各社では「優先座席付近では”混雑時には”携帯電話の電源をお切りください」に変更へ】
【よく見る「電車内化粧」、実は女性自身も否定的】

スポンサードリンク


関連記事


このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2022 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS