IMFへ最大1000億ドルの融資、正式に決定・中川財務相が署名

2009/02/15 18:11

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IMFイメージ[読売新聞]などが伝えるところによると、中川昭一財務大臣は2009年2月13日、IMF(International Monetary Fund、国際通貨基金)のドミニク・ストロスカーン専務理事との間で融資取引上限に関する署名に調印した。これはIMFの融資財源を暫定的に補完(最大で1000億アメリカドル)するもので、国際収支上の問題に直面しているIMF加盟国に大して、IMFが適時に効果的な支援を実施する上での能力が強化されることになる(【IMF発表リリース、PDF】)。


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今件は2008年11月に、麻生太郎首相がIMFに対して補完的な資金を提供する用意があることを表明していたことの実現化によるもの。今回の資金提供は基本として1年間。情勢をかんがみて最大で5年間までIMF側で延長が可能となる。そして金利が適用され、利子も支払われる(現時点では0.62%/年)。今回の1000億ドルは日本が持つ外貨準備高約1兆円から提供され、貸し付けられることになる。

日本の貸付に対してIMF側では

「この度の取極は、IMFの加盟国一国による補完的な資金提供としては過去最大であり、日本のリーダーシップと、世界経済ならびに国際金融が直面している問題の解決に向けた多国間協調主義的アプローチに対する、日本の継続的なコミットメントを明確に示すものである。他の国々に対しても日本に続き、我々の努力に対する支援を期待したい」

とコメントし、諸手を挙げて感謝する意向を示している。

●IMFへの拠出のメリット
・手持ち無沙汰な米ドル資産の有効活用
・「世界最強の金貸しIMF」への拠出で
 1.貸し倒れリスク低下
 2.特定国への貸し出しによる
「不公平感」の是正
 3.効果的な国際貢献
IMFへの「1000アメリカ億ドル」の「貸付」に関する詳細は、昨年11月に麻生首相が言及した際に【「IMFへ1000億ドル」の意味と効力】でその詳細を説明した。詳細はそちらで確認して欲しいが、要は「国際貿易を行う上で必要不可欠な(そしてむやみやたらと手を出せない)外貨準備高を、世界最強の金貸しであるIMFへ貸し付けるという、もっとも有効だと思われる手段として用いる」ことに他ならない。実際今回のリリースで伝えられるように、しっかりと利子も徴収できるし、IMFでの日本の役割・発言力も増すことになる。また、どこぞの国に対する個別の財政的支援のように「巨額を投じたのに相手国ではほとんど報じられず、ねつ造扱いされ、挙句の果てに侮蔑(ぶじょく)までされて、その上踏み倒すとしか思えない姿勢を見せる」ような状況よりははるかに良策といえる。

今回の正式発表ではさすがに、わざわざ日本円に直して誤解を招くような表現「9兆円の融資」を使うところは「ほとんど」見られないが、昨年11月の首相の言及の際には「10兆円をIMFにタダで提供する」的な報道が相次ぎ、勘違いをする人が相次いだ。くれぐれも誤解の無きようお願いしたいもの。

今回の署名では「最大1000億ドル」だが、恐らくはその上限まで貸し付けられることになるだろう。あるいは更なる追加融資の可能性も否定できない。有効的な活用を期待したいものだ。


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