1円玉と5円玉は流通枚数も発行枚数も減少中…日本の通貨の流通・発行動向(最新)

2022/01/20 10:41

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2022-0120社会のキャッシュレス化が進むに連れて、通貨の利用機会が減り、結果として通貨の必要性は減少していく。今や通貨取引は費用対効果の観点で非合理的だとする状況もあるだろう。現実的に日本の通貨の流通枚数や発行枚数は、どのような動きを示しているのだろうか。社会のキャッシュレス化に連れて、減少しているのだろうか。その実情を確認する。

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先日ゆうちょ銀行が通貨の預け入れや払い戻しを有料化したが、これは現金、特に通貨の利用が減少しており、通貨取り扱いでのコストがかさむのが原因。実のところ、家計の日常的な支払いでの資金決済手段の動向を見ると、現金が減り、クレジットカードや電子マネーの利用が増えている。次に示すのは金融広報中央委員会による家計の金融行動に関する世論調査の結果を基にしたデータだが、二人以上世帯では現金支払い率が減り、クレジットカードや電子マネーでの支払い率が増えている。

↑ 主な資金決済手段(二人以上世帯、2つまでの複数回答で「現金」率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(二人以上世帯、2つまでの複数回答で「現金」率、支払金額別)

↑ 主な資金決済手段(二人以上世帯、2つまでの複数回答で「クレジットカード」率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(二人以上世帯、2つまでの複数回答で「クレジットカード」率、支払金額別)

↑ 主な資金決済手段(二人以上世帯、2つまでの複数回答で「電子マネー・デビットカード」率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(二人以上世帯、2つまでの複数回答で「電子マネー・デビットカード」率、支払金額別)

グラフ化は略するが単身世帯もほぼ同じ動向にある。

それでは通貨の流通枚数や発行枚数は利用状況に合わせる形で、減少傾向にあるのだろうか。その実情を日本銀行や造幣局のデータから確認する。なお通貨は逐次傷ついたものなどが回収されるとともに、市場の利用状況をかんがみて足りない分が新たに発行される。流通枚数が少ないと判断されれば多めに発行され、過剰ならば発行枚数は抑えられ、さらには発行されないこともある。適当に発行されているわけではない。

ちなみに日本銀行券は日本銀行が、通貨は政府が発行している(厳密には造幣局が製造し日本銀行へ交付されるが、この時点で貨幣が政府によって発行されたことになる)。

まずは1円玉から500円玉までをすべて合わせた通貨の流通枚数。

↑ 通貨流通枚数(億枚)
↑ 通貨流通枚数(億枚)

流通枚数は前世紀末あたりからほぼ横ばい、2006年の919.2億枚をピークに漸減、2011年ぐらいからはほぼ横ばいの動きとなっている。直近の2021年では876.7億枚。

続いてこれを通貨の種類別に見たのが次のグラフ。

↑ 額面別通貨流通枚数(億枚)
↑ 額面別通貨流通枚数(億枚)

↑ 額面別通貨流通枚数(億枚)(2001年以降)
↑ 額面別通貨流通枚数(億枚)(2001年以降)

額面が大きい100円玉や500円玉は現在に至るまでほぼ同じペースで流通量は増加している。より多くの流通枚数が必要だと認識されているようだ。他方、50円玉は前世紀末あたりで頭打ち、10円玉も同じような動きで、むしろ2007年ぐらいから一度減少の動きすら生じているが、ここ10年ぐらいは再び横ばいに。

小額の額面となる1円玉と5円玉は前世紀末でピークを迎え、しばらくの横ばいの機会の後に漸減の動き。特に1円玉は減少度合いが大きなものとなっている。市場需要的にも政府の判断としても、1円玉と5円玉は必要性が薄れているということなのだろう。

そこで小額額面の1円玉と5円玉について、流通枚数だけでなく発行枚数を確認したのが次以降のグラフ。流通枚数を調整するには基本的に発行枚数を調整するしかないので(必要があれば還収も行われる)、発行枚数の動きを見れば、その通貨の必要性に関する政府の認識を推し量ることができる。

まずは1円玉。なお次の5円玉と合わせ、発行枚数の最新値は2020年分。

↑ 1円玉の発行枚数と流通枚数(億枚)
↑ 1円玉の発行枚数と流通枚数(億枚)

1円玉の発行枚数のピークは1990年の27.69億枚。消費税が導入された1989年は3%という税率の影響で釣銭による1円玉の需要拡大が見込まれるため、大幅に発行枚数を増やし、その勢いが1990年にも続いた形。

消費税率が5%になった1997年以降、発行枚数は極端に抑えられていく。2014年の8%引き上げで多少持ち直しを見せるが、電子マネーなどの利用が進んだことで需要は伸び悩み、結局ほぼゼロ状態が続いていく。2019年の消費税率10%引き上げ時にわずかながらも多くなった程度。

続いて5円玉。1円玉と比較しやすいよう、縦軸の区切りは1円玉のグラフと統一している。

↑ 5円玉の発行枚数と流通枚数(億枚)
↑ 5円玉の発行枚数と流通枚数(億枚)

5円玉の発行枚数のピークは1898年で10.3億枚。枚数そのものは1円玉より少ないが、値の動きは1円玉とほぼ同じ傾向にある。消費税が導入された1989年は3%という税率の影響で釣銭による1円玉の需要拡大が見込まれるため、大幅に発行枚数を増やし、それ以降は漸減。今世紀に入るとほとんど発行されない状況が続き、2014年の8%引き上げで多少持ち直しを見せるが、その後は電子マネーなどの利用が進んだことで需要は伸び悩み、結局ほぼゼロ状態。2019年の消費税率10%引き上げ時にわずかながらも多くなるぐらい。

通貨が不必要になることはあり得ないが、政府がキャッシュレス決済比率の2025年目標4割を掲げていることもあり、今後さらにキャッシュレス化が進んでいくことは容易に想像できる。スマホ決済ができる店も増え、現金での支払い時に1円玉や5円玉を財布から出すのが億劫なお客が増えたからか、レジの店員から「端数分はカードのポイントで相殺しましょうか」と聞かれることも多くなった。

流通枚数動向の限りでは、10円玉や50円玉、100円玉、500円玉の需要が減ることはまだ無いだろう。一方で1円玉や5円玉は今後さらに需要が減少し、その動きを受け、発行枚数は抑えられ、流通枚数が減るような施策が取られていくものと考えられる。そして流通枚数が横ばい状態の10円玉や50円玉も、キャッシュレス化が加速することで、1円玉や5円玉と同じような施策を取られるようになることは、容易に想像できよう。


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