前年同月のGoToキャンペーンによる行楽需要の反動でマイナス…2021年10月度のコンビニ売上高は既存店が1.1%のマイナス、2か月ぶり

2021/11/22 14:00

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日本フランチャイズチェーン協会は2021年11月20日に、コンビニエンスストアの2021年10月度分統計調査月報を、同協会公式サイト上で公開した。その内容によると協会加盟コンビニの同月度の売上高は既存店前年同月比でマイナス1.1%となり、2か月ぶりのマイナスを示すこととなった。前年同月がGoToキャンペーンにより行楽需要などで盛り上がったことの反動で、来店客数に大きなマイナスが出たことが売上高に響く形となった。一方、平均気温が高かったことで、冷やし麺やソフトドリンク、アイスクリームなどの冷えものが好調に推移した(【日本フランチャイズチェーン協会公式ページ】)。

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今調査の概要、調査対象企業などの詳細、分析記事のバックナンバーは、過去の記事をまとめたページ【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】上で解説済み。詳しくはそちらを参照のこと。

主要項目における前年同月比は次の通りとなる。

●店舗売上高:既存店は2か月ぶりのマイナス、全店も2か月ぶりのマイナス
全店ベース……−0.4%
既存店ベース…−1.1%

●店舗数(前年同月比)
+0.1%

●来店客数:既存店は3か月連続のマイナス、全店も3か月連続のマイナス
全店ベース……−1.3%
既存店ベース…−1.7%

●平均客単価(税別):既存店は5か月連続のプラス、全店も5か月連続のプラス
全店ベース……+0.8%(673.7円)
既存店ベース…+0.5%(676.4円)

●商品構成別売上前年同月比(既存店ベース)
日配食品……−1.2%
加工食品……+0.2%
非食品………+3.2%
サービス……−22.7%
合計…………−1.1%

※既存店……1年以上営業中の店舗を指す(店舗増加による底上げでの数字上の誤差を防げる)

今回月は前回月に続く形で新型コロナウイルス感染症流行拡大に伴う外出自粛や在宅勤務の増加、さらには前年同月のGoToキャンペーンによる行楽需要の反動もあり、来店客数は大きく減ってしまった。一方で巣ごもり化による中食系食品の需要は拡大中で、今月に限れば平均気温が高かったことでアイスクリームなどの冷えものが盛況となり、客単価は底上げされた。結果、客単価の増加が来店客数の減少を補きれず、売上高はマイナスとなった。

商品構成別では日配食品とサービスがマイナス。中食系食品の需要拡大で客単価は上がっても、来店客数がそれ以上に下がっており、食品の売上が落ちこんでしまった実情が把握できる。一方でサービスはマイナス22.7%と商品構成別では最大の下げ幅。前年同月における行楽需要との比較となるため、減少幅が他商品と比べるとけた違いのものとなったわけだ。

ここ数年来懸念されていた雑誌の売上の減退、集客力の縮小は継続中で、歩みを止めるようには見えない。もっとも最近では下落ぶりは小休止、あるいは底打ちの状況にあるようで、報告書の言及に雑誌の売上が著しく落ちたなどの文言は今回月も含め、ここしばらくは見られなくなっている。あるいは雑誌の売上の影響力そのものが、コンビニにおいては考慮に値しないほどの値にとどまっているのが現状かもしれない。どのみち新型コロナウイルスの流行で外出機会(他人との不用意な接触リスク)を控えるようにと諭されていることから、雑誌の見定めをするためだけにコンビニに足を運ぶ人も減っているだろう。

セブンカフェ&ドーナツ数年前まではコンビニの集客と客単価の主軸であった雑誌とたばこ。これらは時代の流れの中で、その勢いを確実に減じている。双方とも業界全体、商品そのものの特性や周辺環境の変化に伴う勢力の変化であり、今後復権の可能性も低い。

たばこと雑誌それぞれ単独の動向を知りたいところだが、日本フランチャイズチェーン協会の月次レポートではそれを推し量ることはできない。ただし年次ベースなら、紙巻たばこは大手コンビニが発表しているアニュアルレポート、雑誌ならば「出版物販売額の実態」を通して概況を推測することはできる(【コンビニの出版物販売額(全体編)(最新)】)。

たばこは機会があるたびに税負担の上乗せが論議され、実施されており、それに伴いたばこ自身の価格も引き上げられている。健康志向による忌避圧力も勢いを増すばかりとなり、今後も縮退する方向性に変化は無い。ただし加熱式たばこが現時点ではその減少分を補っており、今後の動向の見通しはつきにくい。

一方雑誌に関しては価値観の多様化や電子雑誌の進出、すき間時間の活用の仕方の変化を受け、やはり規模の縮小は避けられそうに無いが、コンビニにおける同じ出版物として今件月次報告書では取り上げられることはまず無かった書籍に関して、一部チェーン店で新しい動きが生じている。

セブン-イレブンの街の本屋さんプロジェクト詳しくは【コンビニの出版物販売額(前編:各社編)(2016年)(最新)】で説明しているが、スリーエフで書籍を中心としたミニ書店化形態が売上・集客の点で成果が出たことから、今後さらにそのスタイルの拡大が明言されている。またローソンでも【ローソンの書籍棚設置店舗が4000店舗にまで拡大していた件】にある通り専用の書籍棚を設置する店舗が4000店を超えたと公式に発表され、それなりの成果を示していることが確認できる。

一時期は総撤退の気配すら見受けられたコンビニの雑誌群も、一部で戻し、再配置の気配もあり、コンビニ側も手探りの状態であることがうかがえる。駅の売店がコンビニ化(コンビニチェーンによる運営店舗の展開)するに伴い、鉄道利用者による雑誌へのアプローチの仕方も変化を遂げており、今後の動向に注目が集まっている。セブン-イレブンが継続的に「街の本屋さん」を自称し、ネット経由で書籍の調達をする受け皿を推進し続けているのも注目に値する。

他方、【セブンとローソンが「成人向け雑誌」の取り扱いを中止するとの話について】にもある通り、大手コンビニが相次ぎ「成人向け雑誌」と自己定義する領域の雑誌の取り扱い中止を表明しており、今後この動きが雑誌の売上、さらには客数や他の商品の売上にどのような影響をおよぼすことになるのかが気がかりではある。恐らくはすでに少なからぬ直接、さらには集客力という観点での間接的なマイナスの影響が出ているはずだが。

各種サービス(情報端末やカウンター経由)の提供や、カウンターで提供されるいれたてコーヒーをはじめとする新鮮味あふれる日配食品(昨今のセブン-イレブンやファミリーマート、ローソンにおけるドーナツもよい例)は順調に成長を続けているが、今なおあくなき探求は続けられている。昨今の報告書におけるコメントでも好調さに関する言及が常連化しているように、中食に関する需要はこの数年大きく増加しており、それが具体的な形で小売各方面に現れるようになっている。高齢化や少数世帯化による需要の増加、技術進歩などによる提供商品種類の多様化が相乗効果を示し、ポジティブな意味でのスパイラル現象を引き起こしている。時間や手間を簡略化し、より楽しい食生活を受給する対価としてコンビニやスーパーの食品を選択するという、新しいライフスタイルの浸透といえる。エンゲル係数の上昇は、この要因が大きい。

一方で昨今では24時間営業をはじめとしたコンビニのこれまでの基本方針・施策に疑問符が投げかけられるようになった。特に運用する従業員の労働負担の大きさや金銭的な負荷で問題視される事例が見受けられる。状況改善の施策の一例として挙げられている、営業時間の変化が生じれば、当然売上はその分減ることになる。またレジの自動化の話もあり、実証実験も積極的に進められている。売上には影響が生じるだろうか。日配食品の割引販売も試験導入が一部で始まっているが、どのような影響をおよぼすかは未知数。

今回月は規制の解除などもあり新型コロナウイルス感染症の影響はいくぶん大人しくなったものの、前年同月におけるGoToキャンペーンの盛り上がりとの比較となるため、売上高はマイナスとなってしまった。来月発表の2021年11月分も、前年同月においてはまだGoToキャンペーンは実施中(GoToトラベルは2020年12月27日まで。Go To Eatは2020年11月23日まで)のため、今回月同様に厳しい値が出ることだろう。


↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである



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