高齢者の自動車の代替手段、何が知られ、何が利用候補なのか

2021/11/30 03:17

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2021-1124高齢者が身体的な問題などで自動車の運転が難しい状況となっても運転を続ける理由の一つに、生活手段として自動車が欠かせないからというものがある。一方で現在ではそのような高齢者に対し、多様な代替手段が用意されているのが実情。それでは高齢者自身は、自身による自動車の運転の代替手段として、どのようなものが存在しているかを知っているのだろうか。内閣府が2021年3月に発表した調査結果【高齢者の交通安全対策に関する調査(令和3年3月)】を基に実態を確認していく。

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今調査の調査要綱は先行記事【高齢者の運転免許の自主返納などの理由、トップは「自身の運転に自信がなくなった」】を参照のこと。

次に示すのは自動車の代替手段として実在するものに対し、実際に知っているか否かを尋ねた結果。設問の文面は「自動車の代替手段となり得る以下のような移動手段をご存じですか。以下の中から当てはまるものをすべて選んでください」とあり、超小型モビリティやグリーンスローモビリティについては具体的な詳細解説が添えられている。あくまでも単純に知っているか否かの確認であり、存在は知っていても自分には使えないと判断したものは回答に値しないというものではない。

↑ 自動車の代替手段となり得るものに対する認知度(複数回答)(2020年度)
↑ 自動車の代替手段となり得るものに対する認知度(複数回答)(2020年度)

挙げられた選択肢の中ではもっとも知られているのは「電動アシスト自動車」で62.6%。高齢者だけでなく老若男女を問わずに普及しているもので、モーターでペダルの足こぎを補助する自転車。ペダルをこがなければ走行しないため、自動二輪ではなく自転車として扱われている。見かける機会も多く、購入も容易で利用もたやすいため、多くの人が知っているのだろう。

次いで多いのは「電動車いす」と「地域コミュニティバス」の45.9%。「電動車いす」は電動モーターで走行する、4つの車輪がついた車いす。通常の車いすを操作するのが難しい人に適している。また長時間の利用にも有用。

「地域コミュニティバス」は移動が困難な高齢者を中心に、地域住民の移動手段を確保維持するために地方自治体などの公的機関が運営するバスのことで、民間企業では採算性の問題から運用が難しい地域において公的に運用されるものが多い。第4位の「乗合タクシー」もほぼ近いコンセプトのものだが、ワゴンなどの車種を用いて少数の旅客を運ぶもので、公的機関だけてなく民間でも運営されている。

続いて「原付三輪スクーター」が23.6%。世間一般に言われている「シニアカー」がこれに該当するもので、普通のスクーターに似たスタイルを持つ、3輪か4輪の電動式カート。移動速度は時速4キロ前後と、早歩きと同程度で、道路交通法上は歩行者あつかいになっている。

これらの代替手段への認知度ではなく、回答者自身が利用できると考えている、主な移動手段になると思っているものについて、上位3つまでを答えてもらったものが次のグラフ。設問文面は「あなたにとって自動車を代替する主な移動手段になり得るものを教えてください。以下の中から当てはまると思うもの上位3つ以内を選んでください」となっている。

↑ 自分にとって自動車を代替する主な移動手段になり得るもの(免許保有者限定、上位3つ以内の複数回答、居住地区別)(2020年度)
↑ 自分にとって自動車を代替する主な移動手段になり得るもの(免許保有者限定、上位3つ以内の複数回答、居住地区別)(2020年度)

自動車を代替する移動手段の存在を知っていても、自分が使いこなせなかったり、自分の居住地区に存在しなかったり、環境の上で利用ができなかったりすれば、少なくとも自分にとって代替するものにはなり得ない。「徒歩」や「車いす」は地区による差異はさほどないものの、例えば「電動車いす」は都市部ほど値が高く、過疎地などでは低い値にとどまっている。これは道路の整備などの問題がハードルとなっているからだと思われる。

似たようなパターンには「家族など周りの人が運転する車に同乗」があるが、こちらは過疎地などでは該当する高齢者自身が一人暮らし、あるいは高齢夫婦として生活しているからだと考えられる。「特に自動車を代替する移動手段はない」が同じパターンなのも、同様の理由だろう。過疎地では3割近くの人が、自動車の代替手段が存在しないと認識している状況は、憂慮すべきものに違いない。

本人以外が動かす手段として「グリーンスローモビリティ」「タクシー」などがその状況をサポートするかのような値を示しているが、それらの値はまだ少数でしかないのも事実ではある。


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