2021年6月度外食産業売上プラス0.1%…3か月連続の前年比プラス

2021/07/26 15:00

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日本フードサービス協会は2021年7月26日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2021年6月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でプラス0.1%を示した。新型コロナウイルス流行による緊急事態宣言やまん延防止措置の発出継続による制限継続で客足は大きく鈍っており、比較対象となる前年同月の2020年6月が外出自粛下で大きな落ち込み(総合売上は前年同月比マイナス21.9%)を示していたにもかかわらず、それとの比較でもわずかなプラスとしかならなかった。なお発表では但し書きとして「コロナ前の2019年比ではマイナス23.6%にとどまっている」とあり、今回のプラスは反動の領域内の動きでしかないとしている(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が211、店舗数は3万6772店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は減少、店舗数は増加している。

全業態すべてを合わせた2021年6月度売上状況は、前年同月比で100.1%となり、0.1%の増加を記録した。これは前回月から継続する形で3か月連続の増加。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日・土曜日いずれも変わらず、売上には影響なし。気象環境では雨天日は東京は少なく大阪も少なく、平均気温は東京は低め、大阪も低めのため、客足への影響判断は影響なしと解釈できる。

また、新型コロナウイルスの流行による外出自粛や多人数が集まる場所への忌避感は強い。まん延防止措置や緊急事態宣言が一部地域に対して発出継続中で、該当地域では営業時間の短縮要請や酒類の販売提供に関する要請が行われ、客数の大幅減が生じる状況となっている。また就業者の在宅勤務も継続され、就業者相手の業態では苦戦が続いている。

その一方で比較対象となる前年同月の2020年6月は、新型コロナウイルス流行による客数の大幅減の影響で非常に大きな落ち込み(総合売上は前年同月比マイナス23.6%)を示しており、その値との比較となることから、ファストフードを中心に複数の業態でプラスを示す形となった。

結果として客数は全体では前年同月比でプラス3.1%を示した。一方で客単価はマイナス2.9%となり、結果として総合売上はプラス0.1%に。2年前同月比では総合売上はマイナス22.6%となっており、あくまでも「非常に悪い結果だった前年同月と比べて」プラスでしかない。

業態別に詳しく動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から継続する形で4か月連続のプラス(プラス9.1%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せている。今回月では「堅調な巣籠もり需要により」とあり、テイクアウトやデリバリーの選択肢を持つことへの奏功の影響が大きく、また他業態とは異なり緊急事態宣言やまん延防止措置すらもプラスに作用し、売上はプラス13.6%とプラスに。なお2年前同月比、つまり新型コロナウイルス流行前となる2019年6月との比較では、全業態で唯一のプラス(プラス9.0%)を示している。

なおマクドナルド単体の2021年6月における営業成績はプラス14.7%(売上、既存店、前年同月比)とプラスを示している。客数がプラス12.3%と大幅に伸びており、持ち帰り需要を上手くこなしたようだ(マクドナルドの月次報告書にも「安全・安心を優先し、お客様の利便性を考えた店舗運営や、ドライブスルー、デリバリー、デジタル施策、バリュープログラムの継続やお客様との繋がりを強化するマーケティング活動といったこれまで実施してきた取り組みにより、ベースセールスが着実に上昇しています」との表記がある)。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス1.1%、客単価はプラス3.0%となり、売上はプラス4.1%。麺類は客数プラス20.4%、客単価はマイナス3.3%となり、売上はプラス16.5%。和風は「新メニューの開発、テイクアウトの予約販売などにより」とある。持ち帰り米飯/回転寿司は売上がプラス2.9%。「デリバリーの利用拡大などの効果」とあり、洋風同様に巣ごもり需要の波に乗ったようだ。

ファミリーレストラン部門は客数ではマイナス9.3%、客単価はマイナス2.5%、売上はマイナス11.6%。全体として「全体的に酒類提供の自粛や時短営業が影響」とあり、規制などによる影響を受けたことが示唆されている。焼き肉は「酒類の提供が制限され休業した店舗もあったことから」との言及がある。

パブ/居酒屋部門では、パブ・ビアホールの売上はマイナス62.9%、居酒屋の売上はマイナス57.6%。部門全体では売上はマイナス58.7%を示した。「先月に引き続き酒類提供制限が直撃し、依然として非常に厳しい状況が続いている」と説明されており、新型コロナウイルスの流行と業界の体質との相性の悪さのダメージが継続中であることがうかがえる。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数はマイナス7.9%、客単価はマイナス7.6%で売上はマイナス14.9%を示した。「料理の提供は回復傾向にあるものの、酒類を提供できないことが決定的な打撃」との説明がある。

今回月で52回目となるプレミアムフライデーの影響だが、解説コメントでは一切そのフレーズは確認できなかった。新型コロナウイルスの流行でそれどころではない、そもそも在宅勤務が増えているため実施する機会もないのが実情だろう。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2021年6月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2021年6月分)

↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2021年6月)
↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2021年6月)

↑ 外食産業売上2年前同月比(業態別)(2021年6月)
↑ 外食産業売上2年前同月比(業態別)(2021年6月)

新型コロナウイルスの
流行による
営業時間の短縮要請などで
客足遠のき状況継続。
2年前同月比では
ファストフードの洋食以外は
マイナスのため実質苦境状態。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種公開値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比1割前後のアップを示している。今後どこまで良好な数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのか楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとは異なる様相が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある。報告書でも「客足が伸びない最近の傾向」との表記があるほど。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも精肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているようだ。

吉呑み現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけではない。牛丼チェーン店の吉野家が展開している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に合わせた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

テーブルにもソーシャルディスタンス新型コロナウイルスの影響だが、そもそも論として店舗が自主休業していれば客が来るはずもなく、営業しても(場合によっては自治体からの要請に従う形で)時短や販売品の制限を行うところも多く、イートインは客同士の距離を取るために収容効率が悪化、さらに来店客数そのものが三密忌避気運で少ないことから、客数は激減する形となった。企業も従業員のリスク回避で集団での外食をひかえたり、リモートワークの浸透で出社する人が少ないため催しで外食を使う機会が無くなり、これも大きなマイナスの影響を与えている。疫病の影響である以上、仕方がないとはいえ、衝撃的な値には違いない。特にその店舗スタイルや就業者向けのビジネスの色合いが強いパブや居酒屋は大きな痛手が継続している。さらに営業時間の短縮要請や夜の酒類提供時間の短縮・自粛要請がダメージをより大きなものとしている。

次回月の2021年7月分では、新型コロナウイルスの流行状況は6月と比べればワクチンの接種状況は進行しているものの、若年層を中心に感染者数が増加しており、まん延防止など重点措置や緊急事態宣言は一部地域で発出継続中で、外食産業には厳しい環境が続いている。他方今回同様、前年同月の2020年7月ではすでに新型コロナウイルス流行による大きな影響(総合売上は前年同月比マイナス15.0%)が生じており、それとの比較となるため、プラスを示すかもしれない。


↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである



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