前年同月との比較による反動で来店客数増…2021年6月度のコンビニ売上高は既存店が0.8%のプラス、4か月連続

2021/07/20 14:00

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日本フランチャイズチェーン協会は2021年7月20日に、コンビニエンスストアの2021年6月度分統計調査月報を、同協会公式サイト上で公開した。その内容によると協会加盟コンビニの同月度の売上高は既存店前年同月比でプラス0.8%となり、4か月連続のプラスを示すこととなった。前年同月は新型コロナウイルス流行による在宅勤務の浸透や外出自粛の動きで大きな来店客数の減少が生じており(既存店でマイナス11.6%)、その反動がプラス0.2%という来店客数に表れる形となった。他方、客単価はカウンター商材、サラダ、酒類、冷凍食品などが好調で、前年同月に生じた中食需要の特需による客単価の大幅増(プラス7.3%)からの反動を抑える形でプラスとなり、売上は増加という結果に落ち着いた(【日本フランチャイズチェーン協会公式ページ】)。

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今調査の概要、調査対象企業などの詳細、分析記事のバックナンバーは、過去の記事をまとめたページ【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】上で解説済み。詳しくはそちらを参照のこと。

主要項目における前年同月比は次の通りとなる。

●店舗売上高:既存店は4か月連続のプラス、全店も4か月連続のプラス
全店ベース……+1.5%
既存店ベース…+0.8%

●店舗数(前年同月比)
+0.2%

●来店客数:既存店は3か月連続のプラス、全店も3か月連続のプラス
全店ベース……+0.8%
既存店ベース…+0.2%

●平均客単価(税別):既存店は3か月ぶりのプラス、全店も3か月ぶりのプラス
全店ベース……+0.7%(671.7円)
既存店ベース…+0.7%(674.0円)

●商品構成別売上前年同月比(既存店ベース)
日配食品……−0.04%
加工食品……+0.1%
非食品………+2.0%
サービス……+3.9%
合計…………+0.8%

※既存店……1年以上営業中の店舗を指す(店舗増加による底上げでの数字上の誤差を防げる)

今回月は前回月に続く形で新型コロナウイルス感染症流行拡大に伴う外出自粛や在宅勤務の増加により、来店客数が大きく減っており(2020年6月における既存店・来店客数の前年同月比はマイナス11.6%)、それとの比較となるため小さからぬプラス幅を示す形となった。前年同月は中食需要やマスクなどの衛生製品の特需で客単価が大きな上昇(既存店でプラス7.3%)を示しており、反動が生じてはいるが、中食需要が好調なことから反動を抑える形で客単価もプラスとなり、結果として売上高はプラスとなった。

商品構成別では日配食品がわずかにマイナスだが、それ以外はすべてプラス。売上全体の伸び方が大きくなかったのは、最大の構成比を占める日配食品がプラスとならなかったのが大きな要因。サービスはプラス3.9%と商品構成別では最大の上げ幅。前年同月におけるイベントそのものの中止状況と比較した上で、それなりに状況が回復している感はある。とはいえ、「2020年6月と比べても、わずか3.9%しか増えていない」と解釈することもできよう。

ここ数年来懸念されていた雑誌の売上の減退、集客力の縮小は継続中で、歩みを止めるようには見えない。もっとも最近では下落ぶりは小休止、あるいは底打ちの状況にあるようで、報告書の言及に雑誌の売上が著しく落ちたなどの文言は今回月も含め、ここしばらくは見られなくなっている。あるいは雑誌の売上の影響力そのものが、コンビニにおいては考慮に値しないほどの値に留まっているのが現状かもしれない。どのみち新型コロナウイルスの流行で外出機会(他人との不用意な接触リスク)を控えるようにと諭されていることから、雑誌の見定めをするためだけにコンビニに足を運ぶ人も減っているだろう。

セブンカフェ&ドーナツ数年前まではコンビニの集客と客単価の主軸であった雑誌とたばこ。これらは時代の流れの中で、その勢いを確実に減じている。双方とも業界全体、商品そのものの特性や周辺環境の変化に伴う勢力の変化であり、今後復権の可能性も低い。

たばこと雑誌それぞれ単独の動向を知りたいところだが、日本フランチャイズチェーン協会の月次レポートではそれを推し量ることはできない。ただし年次ベースなら、紙巻たばこは大手コンビニが発表しているアニュアルレポート、雑誌ならば「出版物販売額の実態」を通して概況を推測することはできる(【コンビニの出版物販売額(全体編)(最新)】)。

たばこは機会があるたびに税負担の上乗せが論議され、実施されており、それに伴いたばこ自身の価格も引き上げられている。健康志向による忌避圧力も勢いを増すばかりとなり、今後も縮退する方向性に変化は無い。ただし加熱式たばこが現時点ではその減少分を補っており、今後の動向の見通しはつきにくい。

一方雑誌に関しては価値観の多様化や電子雑誌の進出、すき間時間の活用の仕方の変化を受け、やはり規模の縮小は避けられそうに無いが、コンビニにおける同じ出版物として今件月次報告書では取り上げられることはまず無かった書籍に関して、一部チェーン店で新しい動きが生じている。

セブン-イレブンの街の本屋さんプロジェクト詳しくは【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)(2016年)(最新)】で説明しているが、スリーエフで書籍を中心としたミニ書店化形態が売上・集客の点で成果が出たことから、今後さらにそのスタイルの拡大が明言されている。またローソンでも【ローソンの書籍棚設置店舗が4000店舗にまで拡大していた件】にある通り専用の書籍棚を設置する店舗が4000店を超えたと公式に発表され、それなりの成果を示していることが確認できる。

一時期は総撤退の気配すら見受けられたコンビニの雑誌群も、一部で戻し、再配置の気配もあり、コンビニ側も手探りの状態であることがうかがえる。駅の売店がコンビニ化(コンビニチェーンによる運営店舗の展開)するに伴い、鉄道利用者による雑誌へのアプローチの仕方も変化を遂げており、今後の動向に注目が集まっている。セブン-イレブンが継続的に「街の本屋さん」を自称し、ネット経由で書籍の調達をする受け皿を推進し続けているのも注目に値する。

他方、【セブンとローソンが「成人向け雑誌」の取り扱いを中止するとの話について】にもある通り、大手コンビニが相次ぎ「成人向け雑誌」と自己定義する領域の雑誌の取り扱い中止を表明しており、今後この動きが雑誌の売上、さらには客数や他の商品の売上にどのような影響をおよぼすことになるのかが気がかりではある。恐らくはすでに少なからぬ直接、さらには集客力という観点での間接的なマイナスの影響が出ているはずだが。

各種サービス(情報端末やカウンター経由)の提供や、カウンターで提供されるいれたてコーヒーをはじめとする新鮮味あふれる日配食品(昨今のセブン-イレブンやファミリーマート、ローソンにおけるドーナツもよい例)は順調に成長を続けているが、今なおあくなき探求は続けられている。昨今の報告書におけるコメントでも好調さに関する言及が常連化しているように、中食に関する需要はこの数年大きく増加しており、それが具体的な形で小売各方面に現れるようになっている。高齢化や少数世帯化による需要の増加、技術進歩などによる提供商品種類の多様化が相乗効果を示し、ポジティブな意味でのスパイラル現象を引き起こしている。時間や手間を簡略化し、より楽しい食生活を受給する対価としてコンビニやスーパーの食品を選択するという、新しいライフスタイルの浸透といえる。エンゲル係数の上昇は、この要因が大きい。

一方で昨今では24時間営業をはじめとしたコンビニのこれまでの基本方針・施策に疑問符が投げかけられるようになった。特に運用する従業員の労働負担の大きさや金銭的な負荷で問題視される事例が見受けられる。状況改善の施策の一例として挙げられている、営業時間の変化が生じれば、当然売上はその分減ることになる。またレジの自動化の話もあり、実証実験も積極的に進められている。売上には影響が生じるだろうか。日配食品の割引販売も試験導入が一部で始まっているが、どのような影響をおよぼすかは未知数。

今回月は前回月に続き新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛や自宅勤務の増加などが来店客数を引っ張ったものの、前年同月が大幅減だったことを受け、その反動でプラスを示した。また客単価が反動にもかかわらずプラスを示したのも、売上高のプラス化へ大きく貢献している。もっとも前年同月はすでに中食需要が活性化しており、それと比べて今回月における客単価がプラス0.7%となっているのを見ると、この1年でコンビニが受け入れている中食需要はさらに拡大化したと解釈してよい。もっとも前年同月では品不足でコンビニでも需要をまかなうことが難しかったマスクやトイレットペーパーなども、反動としてのけん引の影響を与えていることも考慮する必要がある。

前年同月からの反動のことを考えると、今後数か月は来店客数は今回月のようにプラス、客単価はわずかなマイナスか、プラスとしても微少な上げ幅とのパターンが継続することになるだろう。


↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである



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