生産量は年間18.6億食、一番食べられているのは3月…即席ラーメン記念日にちなんで即席麺のあれこれをデータでチェック(最新)
2021/08/17 10:01


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用いるデータは総務省統計局の【家計調査年報】からのもの。対象とする品目は即席麺だが、言葉の定義としては次の通りとなる。
・カップ麺…カップ状のものに麺や具材が入り、お湯を注ぐだけで飲食できるもの。主食的に食べるもの。カップラーメン、カップそば、カップうどん
即席ラーメンが生まれた時の対象品は袋麺だけだったのでそのまま即席麺と同じと考えてよいが、現在ではカップ麺も該当すると解釈してもよい。元々現在では即席ラーメンはそのままインスタントラーメンと呼ばれており、その言い回しならばカップ麺も該当することになるはず。一方で狭義では袋麺、つまり即席麺のみを即席ラーメンと呼ぶこともある(公正競争規約上はカップ麺は「即席カップめん」)。
まずは日本における即席麺の生産量。これは日本即席食品公共協会の公開データを基にしている。

↑ 即席麺(袋麺)の生産量(億食)
もっとも古い値となる1958年は0.13億食。以降生産量は急増するが、1972年の37.0億食をピークにおおよそ漸減していく。これは1971年にカップ麺が登場したのが原因。需要をカップ麺に奪われ、生産量も減らす必要が生じたという次第である。
直近の2020年では18.6億食で前年比はプラス10.3%。大きな増加を示しているが、これは新型コロナウイルスの流行で内食機会が増え、需要が大きく増えたのが要因と考えせられる。別の機会で解説するカップ麺は同時期にマイナス0.5%の減少となっており、作り方は簡単だがアレンジがしにくいカップ麺よりも、具材を加えて調理しやすい即席麺が好まれた実情が透けて見える。
続いて月単位の即席麺への支出金額動向。家計調査で月単位のデータが取得できるのは二人以上世帯のみなので、二人以上世帯の動向を確認する。1年分丸ごと確認できる最新分となる2020年の動向は次の通り。

↑ 即席麺への支出金額(二人以上世帯、月額、円)(2020年)
一番支出金額が大きい月は3月。新型コロナウイルスの流行が確認された時期と重なるためにその影響が生じている可能性もあるが、それならば4月や5月も同様の金額を示していてもおかしくない。しかし実際には小さめの金額に落ち着いている。やはり単純に3月が月単位では一番支出金額が大きくなるのだろう。次いで12月、4月の順。年や年度の区切り直前の月で大きな金額となるのは、何か理由があるのかもしれない。
それでは即席麺への支出金額は昔も今も変わりないものだったのだろうか。家計調査の総世帯で継続する形でのデータが取得できる2005年以降の動向を確認したのが次のグラフ。

↑ 即席麺への支出金額(総世帯、年額、円)
生産量は1972年をピークにおおよそ漸減しているものの、世帯ベースでの支出金額は増加傾向にあった。もっともこれは商品単価が上昇しているのも一因だろう。2013年をピークに減少の動きに転じ、2018年で底打ちを見せ、そして2020年では大きな増加となっている。これは生産量のところでも触れたとおり、新型コロナウイルスの流行による内食需要の増加によるもの。記録のある限りでは2013年の1750円を超え、1812円と過去最高金額を示している。
最後は即席麺への支出金額の地域別動向。こちらは家計調査の総世帯の値を基に勘案している。

↑ 年間即席麺支出金額トップ10(総世帯、都道府県別、円)(2020年)

↑ 即席麺の年間支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2020年)
直近の2020年で即席麺への一番支出金額が大きいのは佐賀県の3054円。次いで新潟県の2536円、鳥取県の2519円。ちなみに一番支出金額が小さいのは岩手県で1107円。トップの佐賀県と比べると4割足らずでしかない。
実情を日本地図に反映させてみたが、地域別動向の類は見出しにくい。中国地方や関東地方が少なめかな、という雰囲気が見られる程度。海が近いから即席麺をよく食べる、寒い地域では即席麺が好まれるという類の話はなさそうだ。
カップ麺の登場と技術進歩による多様化、高品質化で袋麺の立場は難しい立ち位置に追いやられたような雰囲気もあったが、新型コロナウイルスの流行による内食の需要拡大により、手を加えやすいベース的な主食としての価値が再認識され、多くの人に注目されるようになった。今後はカップ麺との住み分け的な付加価値を高めながら、即席ラーメンを盛り上げていくのだろう。
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