新型コロナウイルス流行によって生じた影響への賃貸住宅管理会社の対応

2021/01/12 05:00

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現在もなお多方面に影響を与えている新型コロナウイルスの流行。その影響は当然賃貸住宅業界にも生じている。賃貸住宅管理会社側ではどのような対応をしているのだろうか。今回は賃貸住宅の管理会社で構成される協会「日本賃貸住宅管理協会」が半年ごとに同協会公式サイトにて発表している【賃貸住宅市場景況感調査(日管協短観)】を基に、その実情を確認していくことにする。

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各種調査要項などに関しては先行する記事【メディア別賃貸住宅業者への反応の変化】にて記載済み。そちらで確認してほしい。

初めに示すのは該当期間(2020年4月-9月)において、新型コロナウイルスの流行による経営・業務への影響に対し、講じた対策に関して尋ねた結果。あらかじめ用意されている選択肢で該当するものすべてに答えてもらう複数回答形式を採用している。

↑ 新型コロナウイルス流行による経営・業務への影響に関して講じた対策(複数回答)(2020年上期)
↑ 新型コロナウイルス流行による経営・業務への影響に関して講じた対策(複数回答)(2020年上期)

もっとも多かったのは「賃料減額受け入れ」で53.4%。これは賃貸住宅を借りている人が新型コロナウイルスの流行により経済的に困窮(会社の経営難、減給、解雇など)し、家賃を下げてもらわねば生活が難しいとして賃貸住宅管理会社にお願いをし、それを了承した事例がこれだけあったことを意味する(全賃貸住宅の53.4%ではなく、全賃貸住宅管理会社の53.4%でそのような事例があったことであることに注意)。ただし報告書でも「民法改正による賃料減額請求も増加していると推測され」と言及されている通り、この53.4%すべてが純粋に新型コロナウイルスの流行によるものとは断言はできない。

次いで多いのは「滞納督促強化」で38.0%。理由としては「賃料減額受け入れ」と似たようなもので、新型コロナウイルスの流行により経済的に困窮した借主が家賃を払えない事態が生じ、単に銀行口座に入金をし忘れたのか、あるいは本当に困窮しているのかなどの確認と督促を強化せざるを得ない状況となっているのだろう。

次いで「問い合わせ対応要員強化」が29.4%。これは単純に家賃の支払い関連だけではなく、むしろ在宅勤務者の増加を含め在宅時間が増えたことで、近隣住民とのいざこざ(中でも騒音に関するトラブル)の増加、賃貸住宅の設備の不備に対する問い合わせが増えたことへの対応と考えられる。

「全工事現場の優先順位付け」「工事資材の安定的確保」は新型コロナウイルスの流行に伴う資材生産の遅延や作業要員の確保が以前と比べて難しくなったことによるもの。他方、「リモート接客導入」「オンライン内見導入」「店舗・事務所などのレイアウト変更」はいずれも店舗に来店するお客との接触による感染リスクを考慮したものだが、実施したところはさほど多くはない。

これを地域別に見たのが次のグラフ。

↑ 新型コロナウイルス流行による経営・業務への影響に関して講じた対策(複数回答、地域別)(2020年上期)
↑ 新型コロナウイルス流行による経営・業務への影響に関して講じた対策(複数回答、地域別)(2020年上期)

例えば「滞納督促強化」は関西圏ではかなり少ない、「問い合わせ対応要員強化」は首都圏・関西圏以外で突出している、工事資材の安定的確保は関西圏で多いなどの特徴が見られる。これらの動きについて報告書では

・首都圏と関西圏で「賃料減額受け入れ」が高く、約6割。また、関西圏では「滞納督促強化」が、1割強にとどまっている。

・首都圏と関西圏は比較的、賃料水準が高いため、その他のエリアとは異なって、賃料減額交渉は受け入れやすい環境にあると思われる。しかし、収入減によって賃料が減額された後も、依然として支払いが困難である入居者も増加しているため、滞納督促を強化せざるを得ない状況となっている。また、在宅時間が増えたことによるクレームや問い合わせが増加しており、速やかに対応するための人員確保が急務。さらに、工事人員の確保が困難な状況にであるため、従前の各作業の効率化・最適化が必須となっている。

と詳しい解説が行われており、賃貸住宅管理会社にとっても新型コロナウイルスの流行によるダメージは相当なものであることがうかがえるものとなっている。

次回調査時までに新型コロナウイルスの流行が沈静化しているかどうかは不明。継続した状況であれば、現在確認できている影響は同レベル、あるいはさらに悪化している可能性も否定できない。


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