感染者数の増加傾向で不安強まる…2021年4月景気ウォッチャー調査は現状下落・先行き下落

2021/05/13 15:00

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内閣府は2021年5月13日付で2021年4月時点となる景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。その内容によれば現状判断DIは前回月比で下落し39.1を示し、基準値の50.0を下回る状態は継続する形となった。先行き判断DIは前回月比で下落して41.7となり、基準値の50.0を下回る状態となった。結果として、現状下落・先行き下落の傾向となり、基調判断は「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさが残る中で、持ち直しに弱さがみられる。先行きについては、感染症の動向に対する懸念が強まっている」と示された。ちなみに2016年10月分からは季節調整値による動向精査が発表内容のメインとなり、それに併せて過去の一定期間までさかのぼる形で季節調整値も併せ掲載されている。今回取り上げる各DIは原則として季節調整値である(【令和3年4月調査(令和3年5月13日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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現状は下落、先行きも下落


調査要件や文中のDI値の意味は今調査の解説記事一覧や用語解説ページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で解説している。必要な場合はそちらで確認のこと。

2021年4月分の調査結果をまとめると次の通りとなる。

・現状判断DIは前回月比マイナス9.9ポイントの39.1。
 →原数値では「やや悪くなっている」「悪くなっている」が増加、「よくなっている」「ややよくなっている」「変わらない」が減少。原数値DIは39.4。
 →詳細項目はすべての項目が下落。「飲食関連」のマイナス20.5ポイントが最大の下げ幅。基準値の50.0を超えている詳細項目は皆無。

・先行き判断DIは前回月比でマイナス8.1ポイントの41.7。
 →原数値では「変わらない」「やや悪くなる」「悪くなる」が増加、「よくなる」「ややよくなる」が減少。原数値DIは41.5。
 →詳細項目はすべての項目が下落。「飲食関連」のマイナス11.7ポイントが最大の下げ幅。基準値の50.0を超えている項目は皆無。

冒頭で触れた通り、2016年10月分から各DI値は季節調整値を原則用いた上での解釈が行われている。発表値もさかのぼれるものについてはすべて季節調整値に差し替え、グラフなどを作成している(毎月公開値が微妙に変化するため、基本的に毎回入力し直している)。

↑ 景気の現状判断DI(全体)
↑ 景気の現状判断DI(全体)

↑ 景気の先行き判断DI(全体)
↑ 景気の先行き判断DI(全体)

現状判断DIは昨今では海外情勢や消費税率引き上げによる景況感の悪化を受け、基準値の50.0以下を示して低迷中だった。2020年10月では新型コロナウイルスの流行による落ち込みから持ち直しを続け、ついに基準値を超える値を示したものの、流行第三波の影響を受けて11月では再び失速し基準値割れし、以降2021年1月までは下落を継続していた。直近月となる2021年4月では感染者数の急増と変異株の増加を受け、下落を示している。

先行き判断DIは海外情勢や消費税率引き上げによる景況感の悪化から、昨今では急速に下落していたが、2019年10月以降は消費税率引き上げ後の景況感の悪化からの立ち直りが早期に生じるとの思惑を持つ人の多さにより、前回月比でプラスを示していた。もっとも12月は前回月比でわずかながらもマイナスとなり、早くも失速。2020年2月以降は新型コロナウイルスの影響拡大懸念で大きく下落し、4月を底に5月では大きく持ち直したものの、6月では新型コロナウイルスの感染再拡大の懸念から再び下落、7月以降は持ち直しを見せて10月では基準値までもう少しのところまで戻していた。ところが現状判断DI同様に11月は大きく下落。12月以降は上昇に転じたが、直近の2021年4月では感染者数の増加傾向への懸念の強まりから前回月に続き下落を示す形となった。

現状判断DI・先行き判断DI合わせて基準値超えが皆無に


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向について、その状況を確認していく。まずは現状判断DI。繰り返しになるが、季節調整値であることに注意。

↑ 景気の現状判断DI(〜2021年4月)
↑ 景気の現状判断DI(〜2021年4月)

昨今では新型コロナウイルスの影響による景況感の悪化からの回復期待で少しずつ盛り返しを示していたが、2020年11月以降は流行の第三波到来が数字の上で明確化されるに従い景況感は大幅に悪化。今回月の2021年4月は感染者数の急増や変異株の増加傾向を受け、全項目で前回月比でマイナスを示している。

なお今回月で基準値を超えている現状判断DIの詳細項目は皆無。

続いて先行き判断DI。

↑ 景気の先行き判断DI(〜2021年4月)
↑ 景気の先行き判断DI(〜2021年4月)

今回月で基準値を超えている先行き判断DIの詳細項目は皆無。多くの項目で大幅な下落の動きを見せている。新型コロナウイルスの感染者数の増加が、先行きへの不安感をあおり立てているようだ。

すべては新型コロナウイルス流行次第


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたって用いられた、その判断理由の詳細内容「景気判断理由の概況」も全国での統括的な内容、そして地域ごとに細分化した内容を公開している。その中から、世間一般で一番身近な項目となる「全国」に関して、現状と先行きの家計動向に関する事例を抽出し、その内容についてチェックを入れる。

■現状
・新型コロナウイルスの感染再拡大により、巣ごもり需要が再拡大しており、その恩恵を受けている状況である(スーパー)。
・緊急事態宣言が再発出されたことにより、特にショッピングセンター内の来客数がかなり減っており、コンビニもかなり厳しい状況である(コンビニ)。
・当県も飲食店への営業時間短縮の要請が出ている。このところ夜の売上はかなり少ない(一般レストラン)。
・緊急事態宣言による休業要請のため、25日以降は食品と化粧品のみの営業となっている(百貨店)。

■先行き
・家で過ごす時間が多いため、エアコンや空気清浄機の販売に期待したい(家電量販店)。
・新型コロナウイルスワクチン接種の進捗状況がよくないなか、先行きはまだまだ不透明であり、景気回復には時間を要する(商店街)。
・ゴールデンウィークを目前とした状況にあって、他都府県の緊急事態宣言の影響を受けて、宿泊予約が伸び悩んでおり、今後、景気はやや悪くなる(都市型ホテル)。
・今月中旬から、飲食店の時短営業要請が出ている。都心部では緊急事態宣言が発出され、ゴールデンウィークの外出自粛要請や平日のリモートワークの奨励もあいまって、外食産業が盛り上がる状況ではない(スナック)。

新型コロナウイルスの感染者数の増加や緊急事態宣言などの発出で、消費性向が悪化しているのが確認できる。恩恵を受けているのはごく一部のみのようだ。

先行きでは感染者数の増加で巣ごもり需要の再拡大に期待する声もあるが、おおよそは状況改善の見通しが立ちにくく、不安を募らせているようである。

企業動向でも新型コロナウイルス流行の影響が多々見受けられる。

■現状
・全体として極端に下がっている局面だという感じはない。売上高も3か月前と比べると上向きになっている(建設業)。
・インターネットによる販売はあるものの、近県の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出による影響で、工場見学者はほとんど来ない。また、飲食店、宿泊施設からの注文も激減している(食料品製造業)。

■先行き
・コロナ禍での半導体不足に伴い、半導体関連の受注が更に増える計画が客より提示されている(電気機械器具製造業)。
・夏に予定していた各イベントやその他の企画広告なども、最近の新型コロナウイルス変異株の影響により、自粛の方向に向かうと思われる(広告代理店)。

新型コロナウイルス流行でリモートワークによる就業スタイルが急激に進んだことで、IoT関連は特需状態が続いているようだ。また建設業のように堅調さを見せる業種もある。しかしながら多くはビジネスの停滞が生じ、直接、さらには連鎖反応的な間接のダメージを受けているようだ。

雇用関連でも新型コロナウイルスの影響がうかがえる。

■現状
・新型コロナウイルス感染拡大の影響で、長期にわたって採用を抑制する企業が増えている。特に、生活関連、娯楽サービス、飲食、宿泊サービス業において顕著である(職業安定所)。

■先行き
・求人数の動きが若干回復していたが、新型コロナウイルス変異株の影響で悪い影響が出始め、採用意欲の低下につながるおそれがある(人材派遣会社)。

雇用市場は景況感を先読みする傾向があるため、「長期にわたって採用を抑制する企業が増えている」などの表現は雇用市場の動向に関して不安を覚えさせるものではある。

今件のコメントで消費税率引き上げに関するコメントを「消費税」のキーワードで確認すると、現状のコメントで1件(前回月ゼロ件)、先行きのコメントでゼロ件(前回月1件)の言及がある。新型コロナウイルス流行の影響が気になり、消費税の話など二の次になっている感はある。

他方新型コロナウイルスに関しては現状で514件(前回月433件)、先行きで822件(前回月797件)。凄まじいまでの言及数で、現状・先行きともに前回月から増えている。一方で「ワクチン」に関しては現状で22件(前回月19件)、先行きで306件(前回月230件)の言及がある。今後の状況好転の鍵として大いに期待されているようだが、変異株に対する不安の声も大きい。



多分に外部的要因に左右されるところが大きい昨今の景気動向だが、国内ではそれらの要因を抑え込むだけの景況感を回復させ、お金と商品の回転を上げるためのエネルギーとなる、消費性向を加速をつけるような材料が望まれる。「景気」とは周辺状況の雰囲気・気分と読み解くこともでき、多分に一般消費者の心境に左右される。

世界各国が経済面で深く結びついている以上、海外での事象が日本にも小さからぬ火の粉として降りかかることになる。株価に一喜一憂しないのがベストではあるが、ポジティブな時には静かに伝え、ネガティブな時には盛り盛りで報じる昨今の報道姿勢を見るに「過剰な不安を持つな」と諭しても無理がある。むしろ内需の動きを後押しする形で、海外からのマイナス要因を打ち消すほどの、国内におけるプラス材料が望まれる。

リーマンショックや東日本大震災の時以上に景況感の足を引っ張る形となった新型コロナウイルスだが、結局のところ警戒すべき流行の沈静化とならない限り、経済そのもの、そして景況感に大きな足かせとなり続けるのには違いない。恐らくは通常のインフルエンザと同等の扱われ方がされるレベルの環境に落ち着くのが終息点として判断されるのだろう。あるいは社会様式そのものを大きく変えたまま、強引な形で沈静化という様式を取ることになるかもしれない。世界的な規模の疫病なだけに、まずはワクチンの接種浸透による平常化への動きを願いたいものだが。


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