新型コロナウイルス流行により音楽に関する行動で減ったこと・増えたことの実情(最新)

2021/05/12 05:04

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2021-0503新型コロナウイルスの流行は社会様式にも大きな変化をもたらすこととなった。流行が沈静化しても、この変化は一時的なものではなく継続し、恒久的なものとなる可能性も高い。この流行は人々の音楽に関する行動にも大きな変化を生じさせているが、その実情はいかなるものだろうか。日本レコード協会が2021年4月に発表した最新の調査結果資料「音楽メディアユーザー実態調査 2020年版(公表版)」の結果を基に、新型コロナウイルス流行で音楽に関連した行動について増えたこと・減ったことの実情を確認していくことにする(【発表リリース:2020年度「音楽メディアユーザー実態調査」報告書公表】)。

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調査対象母集団の要項は今調査に関して先行する記事【年齢階層別の「音楽との付き合い方」】を参照のこと。

新型コロナウイルスの流行は社会様式に大きな変化を与えている。音楽関連の行動にも極めて大きな影響が生じている。今調査の先行記事でもいくつか触れているが、感染リスク忌避のためにコンサートなどが中止となり、カラオケボックス利用が避けられるなどの動きが確認できる。

↑ 音楽聴取手段(複数回答、前年比、ppt)(2020年)(再録)
↑ 音楽聴取手段(複数回答、前年比、ppt)(2020年)(再録)

それでは新型コロナウイルスの流行によって音楽に関係する行動でどのようなものが減り、また逆に増えたのだろうか。そもそも自分から音楽を聴こうとはしていない「無関心層」を除外した、音楽聴取者に複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 新型コロナウイルス流行で増えたこと・減ったこと(新型コロナウイルス流行以前に音楽視聴者だった人限定、複数回答)(2020年)
↑ 新型コロナウイルス流行で増えたこと・減ったこと(新型コロナウイルス流行以前に音楽視聴者だった人限定、複数回答)(2020年)

まずは減ったもの。カラオケの回答者が4割近くに上りトップとなっているが、これは当然と言えば当然だろう。三密リスクが極めて高く、代表格的なものとしてしばしば注意喚起され、休止しているところも多い。似たようなポジションとして目につくことが多いコンサートやライブも中止のケースが多いことから、その入場料が減るのも納得のできる話。コンサートなどで気分が盛り上がった上で購入することも多いであろうことから、音楽関係のグッズやファンクラブの会費や音楽関係出版物の支出が減る人が多いのも納得できる。

他方、CD購入やCDレンタル、音楽ビデオ購入の支出が減ったとする人が多いのは気になるところ。これらの行動は新型コロナウイルス流行そのものは大きな影響は与えていないはず(CDレンタル店が一時的に休店する可能性はあるが)。カラオケやコンサートなどが中止になるなどで音楽と触れ合う機会が減り、音楽そのものへのモチベーションが低下し、CDなども買おうとは思わなくなったのだろうか。あるいは新譜そのものが減っている可能性もあるが、【CDやネット配信の「ミリオン認定」などの動向(最新)】【音楽配信は成長続くが音楽ソフトは縮小…音楽CD・有料音楽配信の売上動向(最新)】で確認をする限りでは、店舗に足を運ぶ行為そのものを忌避した結果のように見受けられる。

一方で新型コロナウイルス流行で増えた音楽関連の行動だが、もっとも多いのは有料配信型ライブの利用で10.5%。通常のライブやコンサートが中止になるなどで代替的に用意されたケースも多いことから、これは納得のいく結果ではある。他方、CD購入が6.9%と有料配信型ライブに続く高い値が出ているのは興味深い(減ったことでは第3位に入っているにもかかわらず)。

定額制音楽配信サービス、AmazonPrimeMusic、定額制動画配信サービスの利用が増えた人も多い。感染リスクを考慮すれば、インターネットサービスで音楽の欲求を充足しようとする選択は何ら不思議のない動きには違いない。

あくまでもこれらの動きは、単純に増えたか減ったかでしかなく、具体的にどれだけの額、割合が減ったかまでの把握はできない。しかし挙げられている選択肢に限っても、減った項目の回答値の方が増えた回答値よりもはるかに多い(単純累積値は増えたが61.6%、減ったが264.9%)ことから、音楽業界全体に対しての支出は総じて減ってしまっているという解釈はあながち的外れなものではあるまい。


■関連記事:
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