第三波到来で大幅下落…2020年11月景気ウォッチャー調査は現状下落・先行き下落

2020/12/08 15:00

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内閣府は2020年12月8日付で2020年11月時点となる景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。その内容によれば現状判断DIは前回月比で下落し45.6を示し、基準値の50.0は下回る状態となった。先行き判断DIは前回月比で下落して36.5となり、基準値の50.0を下回る状態は継続している。結果として、現状下落・先行き下落の傾向となり、基調判断は「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさが残る中で、持ち直しに弱さがみられる。先行きについては、感染症の動向に対する懸念が強まっている」と示された。ちなみに2016年10月分からは季節調整値による動向精査が発表内容のメインとなり、それに併せて過去の一定期間までさかのぼる形で季節調整値も併せ掲載されている。今回取り上げる各DIは原則として季節調整値である(【令和2年11月調査(令和2年12月8日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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現状は下落、先行きも下落


調査要件や文中のDI値の意味は今調査の解説記事一覧や用語解説ページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で解説している。必要な場合はそちらで確認のこと。

2012年11月分の調査結果をまとめると次の通りとなる。

・現状判断DIは前回月比マイナス8.9ポイントの45.6。
 →原数値では「やや悪くなっている」「悪くなっている」が増加、「ややよくなっている」「ややよくなっている」「変わらない」が減少。原数値DIは46.1。
 →詳細項目はすべての項目が下落。「飲食関連」のマイナス24.5ポイントが最大の下げ幅。基準値の50.0を超えている詳細項目は皆無。

・先行き判断DIは前回月比でマイナス12.6ポイントの36.5。
 →原数値では「やや悪くなる」「悪くなる」「よくなる」が増加、「ややよくなる」「変わらない」が減少。原数値DIは36.1。
 →詳細項目はすべての項目が下落。「飲食関連」のマイナス26.0ポイントが最大の下げ幅。基準値の50.0を超えている項目は皆無。

冒頭で触れた通り、2016年10月分から各DI値は季節調整値を原則用いた上での解釈が行われている。発表値もさかのぼれるものについてはすべて季節調整値に差し替え、グラフなどを作成している(毎月公開値が微妙に変化するため、基本的に毎回入力し直している)。

↑ 景気の現状判断DI(全体)
↑ 景気の現状判断DI(全体)

↑ 景気の先行き判断DI(全体)
↑ 景気の先行き判断DI(全体)

現状判断DIは昨今では海外情勢や消費税率引き上げによる景況感の悪化を受け、基準値の50.0以下を示して低迷中だった。前回月では新型コロナウイルスの流行による落ち込みから持ち直しを続け、ついに基準値を超える値を示したものの、今回月では再び失速し基準値割れ。

先行き判断DIは海外情勢や消費税率引き上げによる景況感の悪化から、昨今では急速に下落していたが、2019年10月以降は消費税率引き上げ後の景況感の悪化からの立ち直りが早期に生じるとの思惑を持つ人の多さにより、前回月比でプラスを示していた。もっとも12月は前回月比でわずかながらもマイナスとなり、早くも失速。2020年2月以降は新型コロナウイルスの影響拡大懸念で大きく下落し、4月を底に5月では大きく持ち直したものの、6月では新型コロナウイルスの感染再拡大の懸念から再び下落、7月以降は持ち直しを見せて前回月では基準値までもう少しのところまで戻していた。ところが現状判断DI同様に今回月は大きく下落し、基準値を10ポイント以上も下回る結果となってしまっている。

現状・先行き判断DIともに全詳細項目が基準値割れ


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向について、その状況を確認していく。まずは現状判断DI。繰り返しになるが、季節調整値であることに注意。

↑ 景気の現状判断DI(〜2020年11月)
↑ 景気の現状判断DI(〜2020年11月)

昨今では(すでに表の対象外となっているが)2020年2月以降において新型コロナウイルスの影響による景況感の悪化が一気に噴き出した形となり、大きな下落。4月で景況感悪化の動きは底を打ったようで、5月以降は盛り返しを示していた。今回月は前回月までの復調から転じ、全詳細項目において前回月比でマイナスとなった。

なお今回月で基準値を超えている現状判断DIの詳細項目は皆無。前回月では5項目もあったのだが。

続いて先行き判断DI。

↑ 景気の先行き判断DI(〜2020年11月)
↑ 景気の先行き判断DI(〜2020年11月)

今回月で基準値を超えている先行き判断DIの詳細項目は皆無。「飲食関連」の下げ方が凄まじく、22.1にまで落ち込んでいる。

第三波到来で大きな悪影響


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたって用いられた、その判断理由の詳細内容「景気判断理由の概況」も全国での統括的な内容、そして地域ごとに細分化した内容を公開している。その中から、世間一般で一番身近な項目となる「全国」に関して、現状と先行きの家計動向に関する事例を抽出し、その内容についてチェックを入れる。

■現状
・観光客を中心に週末の人出が多い。11月の3連休は特によく、観光客が多く今年最高の人出となり、タクシーも大変忙しくなった。ウィークデーは少しずつ回復傾向にある(タクシー運転手)。
・11月は祝日もあり、前半は回復傾向にあった。後半は3連休があり、気温も高かったにもかかわらず、売上の伸びは小さく、厳しい状況が継続している(コンビニ)。
・11月10日以降の新型コロナウイルス感染者増加に伴い、来客数が激減している。防寒アウターなどの必要性が高いアイテムのニーズはあるが、日々の購買人数は減っている(衣料品専門店)。
・新型コロナウイルス感染拡大の第三波により、客足も少ない。忘年会も早くから中止が進んでいる(高級レストラン)。

■先行き
・新型コロナウイルス感染拡大の第三波の影響が懸念されるものの、新型車効果もあり新車販売は改善するのではないか(乗用車販売店)。
・当地域でも今まで以上に新型コロナウイルスの感染者数が増加しているため、当社の重要な客である、高齢者の来店がますます減ることが予想される(百貨店)。
・新型コロナウイルスの感染拡大により、キャンセルが相次いでいる。忘年会、新年会の書き入れ時に相当なダメージとなっており、先行きが全くみえず不安である(一般レストラン)。
・新型コロナウイルス流行の第三波により、宿泊のキャンセルが増えてきた。飲食においては、忘年会、新年会の予約がほぼない(観光型ホテル)。

新型コロナウイルス感染者数の増加による第三波到来が確定的なものとなったことで、外出忌避の動きが強まり、客足が遠のき売上が減るケースが相次いでいる。特に年末年始が書き入れ時の飲食業界では大きな打撃を受けているようだ。

企業関連でも新型コロナウイルス流行の影響が多々見受けられる。

■現状
・これまで低迷していた自動車関連部品がV字回復し、11月は前年並みにまで戻ってきている(金属製品製造業)。
・年末や年度末にしゅん工期限を迎える工事が佳境に入っているが、新規着工物件が少ないため、総量が減少している(建設業)。

■先行き
・新型コロナウイルスの影響で、今後も巣ごもり需要が増加するため、日用品や食品関係の荷動きが活発になる(輸送業)。
・年末年始の一番出荷が多い時期に、ますます悪化する新型コロナウイルスの影響で、他県との人の移動が制限される上、業務店、飲食店からの受注も大幅に減少すると考えられる(食料品製造業)。

一部では景気のよい話もあるが、新型コロナウイルス流行の継続化、活性化による影響が具体的な形で出ている状況が見受けられる。大手宅配便では巣ごもり化による配送量の増加で生じた遅延が伝えられているが、さらに量は増えるとの認識があるようだ。建設業の「新規着工物件が少ない」とのコメントは要注意かもしれない。

雇用関連でも新型コロナウイルスの影響がうかがえる。

■現状
・求人広告の申込状況は、前年同時期の状況と比べ低い水準が続いている。介護、清掃関連など人手不足が慢性化している一部業種を除いては新規求人の動きが鈍い(新聞社[求人広告)。

■先行き
・新型コロナウイルスの感染者数の急増により、徐々に復活していた接客業の求人が減り、企業も人員の見直しを図ると予測される(民間職業紹介機関)。

雇用市場は景況感を先読みする傾向があるため、「新規求人の動きが鈍い」とのコメントは、今後しばらくは景気の落ち込みが継続するのではとの思惑が支配的であることを推測させる。また新型コロナウイルス流行の第三波で企業が人員の見直しを図るのではとの予測も的外れではないように思える。

今件のコメントで消費税率引き上げに関するコメントを「消費税」のキーワードで確認すると、現状のコメントで13件(前回月49件)、先行きのコメントで1件(前回月10件)の言及がある。新型コロナウイルスの第三波の影響が気になり、消費税の話など二の次になっている感はある。

他方新型コロナウイルスに関しては現状で556件(前回月370件)、先行きで990件(前回月656件)。凄まじいまでの言及数で、消費税率の引き上げも米中貿易摩擦もすべて吹き飛んでしまった状態。特に第三波の到来による先行きへの不透明感の強まりが大きな不安を呼んでいるようだ。そのものズバリ「新型コロナウイルスの終息がみえず、先行き不安がまん延していることから、今後の景気は悪くなる」とのコメントもあるほど。



多分に外部的要因に左右されるところが大きい昨今の景気動向だが、国内ではそれらの要因を抑え込むだけの景況感を回復させ、お金と商品の回転を上げるためのエネルギーとなる、消費性向を加速をつけるような材料が望まれる。「景気」とは周辺状況の雰囲気・気分と読み解くこともでき、多分に一般消費者の心境に左右される。

昨今では可処分所得を削り取る大きな要素である社会保険料の軽減を果たすための、社会保障の抜本的な見直し、以前実施されていた定率減税の復活など、打てる手立てを打ち、消費を底上げし、世の中に循環するお金の量を継続的に増加させる必要がある。少しずつの後押しでは人の心境はすぐに慣れ、当たり前のものと認識してしまうため、それだけに限らず、同時に大きな喝を与えるような策を定期的に打ち出す方が効果は高い。雑誌ならば売上を伸ばすため、人気作品を何本も連載するとともに、目を引く、話題を集める大作を定期的に掲載するようなもの。

世界各国が経済面で深く結びついている以上、海外での事象が日本にも小さからぬ火の粉として降りかかることになる。株価に一喜一憂しないのがベストではあるが、ポジティブな時には静かに伝え、ネガティブな時には盛り盛りで報じる昨今の報道姿勢を見るに「過剰な不安を持つな」と諭しても無理がある。むしろ内需の動きを後押しする形で、海外からのマイナス要因を打ち消すほどの、国内におけるプラス材料が望まれる。

数か月先のことではなく、数年、数十年先を見越した、長期にわたる展望が期待できる政策、例えば上記で挙げた社会保障の抜本的な見直しに加え、社会リソースの若年層に対する重点配置、現状のあまりにも少ない配分比率の変更といった、抜本的な転換のかじ取りが求められよう。

リーマンショックや東日本大震災の時以上に景況感の足を引っ張る形となった新型コロナウイルスだが、結局のところ警戒すべき流行の終息とならない限り、経済そのもの、そして景況感に大きな足かせとなるのには違いない。恐らくは通常のインフルエンザと同等の扱われ方がされるレベルの環境に落ち着くのが終息点として判断されるのだろう。人の動きは経済に直結することから、「また流行が拡大するかも」との懸念だけでも経済には大きな足かせとなる(実際第三波到来による現状がその通りの構図となっている)。世界的な規模の疫病なだけに、一刻も早い事態の終息を願いたいものだが。


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