2020年7月度外食産業売上マイナス15.0%…5か月連続の前年比マイナス

2020/08/25 14:00

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日本フードサービス協会は2020年8月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2020年7月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でマイナス15.0%を示した。新型コロナウイルスの流行による自粛の雰囲気を反映する形で外食利用の動きが鈍く、客数が大きく減少したことが打撃となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が214、店舗数は3万7810店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は増加、店舗数は減少している。

全業態すべてを合わせた2020年7月度売上状況は、前年同月比で85.0%となり、15.0%の減少を記録した。これは前回月から続く形で5か月連続の減少。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は1日多く、土曜日は変わらずで、売上にはプラスの影響。気象環境では雨天日は東京・大阪ともに多く、平均気温は東京で高め・大阪は低めのため、客足への影響判断は差し引きでプラマイゼロと解釈できる。

他方、新型コロナウイルスに伴う営業時間の短縮要請などは解除されたものの、外出自粛や多人数が集まる場所への忌避感は強い。業態によっては客数の大幅減が継続する状況となっている。

結果として客数は全体では前年同月比でマイナス18.5%を示した。一方で客単価はプラス4.4%となり、結果として売上はマイナス15.0%に。前回月の売上高マイナス21.9%よりはまだマシではあるが、ひどい値に違いはない。

業態別に詳しく動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から続く形で5か月連続のマイナス(マイナス3.6%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せている。今回月では「キャンペーンなどの好調に加え、新型コロナ感染再拡大による巣ごもり需要もあり、ドライブスルーなど、テイクアウト・デリバリーが好調」とあり、前回月よりは大人しくなったもののテイクアウトやデリバリーの選択肢を持つことへの奏功の影響が大きく、売上は唯一のプラスに(プラス5.1%)。なおマクドナルド単体の2020年7月における営業成績はプラス1.0%(売上、既存店、前年同月比)とぎりぎりではあるがプラスを示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス7.4%、客単価はプラス3.7%と成し、売上はマイナス3.9%。麺類は客数マイナス22.8%、客単価はプラス3.4%と成し、売上はマイナス20.2%。麺類は「引き続き商業施設立地店の回復がやや遅く」とあり、店内飲食の回復の遅れが響いたようだ。

ファミリーレストラン部門は客数ではマイナス26.1%、客単価はプラス4.8%、売上はマイナス22.6%。全体として「月後半に客足が鈍り、回復傾向がやや鈍化」とあり、月後半における新型コロナウイルス感染者数の増加や長雨、小中学校の夏休みの短縮などが響いたようだ。客数が3割近くの減という実情は大きい値に違いはない。他方「焼き肉」は「各社まちまちとなったが、郊外立地の店舗が月前半に回復した」とのことで、客数はマイナス7.9%、売上はマイナス4.7%に留まる形となった。

パブ/居酒屋部門では、居酒屋の売上はマイナス50.0%、パブ・ビアホールの売上はマイナス65.0%。部門全体では売上はマイナス52.8%を示した。「住宅地に近い郊外店を中心に客足が戻るなどで月前半には回復がみられたものの、コロナ感染が全国的に広がるにつれ、月半ばから再び客数は減少傾向」と説明されており、月後半に再びダメージが大きくなった実情がうかがえる。補足説明として「前年の半分程度で、壊滅的な状況が続いている」との文言があり、新型コロナウイルスの影響をもっとも強く受けてしまった悲哀を感じさせる。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数はマイナス47.1%、客単価はプラス4.1%で売上はマイナス34.5%を示した。「法人需要が見込めない中、個人客や家族宴会を中心に、月前半には回復傾向となったものの、コロナ感染の再拡大とともにキャンセルが相次ぎ、月後半は失速」「売上は弁当販売が下支え」との説明がある。

今回月で41回目となるプレミアムフライデーの影響だが、解説コメントでは一切そのフレーズは確認できなかった。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2020年7月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2020年7月分)

↑ 外食産業売上高前年同月比(業態別)(2020年7月)
↑ 外食産業売上高前年同月比(業態別)(2020年7月)

新型コロナウイルスの
影響未だ極めて大きい。
三密忌避を受け
客数が大低迷。
法人需要はほぼ壊滅。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種公開値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比1割前後のアップを示している。今後どこまで良好な数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのか楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとは異なる様相が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある。報告書でも「客足が伸びない最近の傾向」との表記があるほど。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも精肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているようだ。

吉呑み現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に併せた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

テーブルにもソーシャルディスタンス新型コロナウイルスの影響だが、そもそも論として店舗が自主休業していれば客が来るはずもなく、営業しても時短や販売品の制限を行うところも多く、イートインは客同士の距離を取るために収容効率が悪化、さらに来店客数そのものが三密忌避気運で少ないことから、客数は激減する形となった。企業も従業員のリスク回避で集団での外食をひかえたり、そもそもリモートワークの浸透で出社する人が少ないため催しで外食を使う機会が無くなり、これも大きなマイナスの影響を与えている。疫病の影響である以上、仕方がないとはいえ、衝撃的な値には違いない。

もっともそのような中でも中食需要の急増もあり、テイクアウトに対応できる業態は、マイナスの影響を最小限にとどめることができた。ファストフードとファミリーレストランとで、明暗が分かれたのは、この点が大きい。

次回月の8月では、7月よりはマシな値となっているはずだか、新型コロナウイルスの問題が片付いていない以上、客数の減少はまだまだ継続することだろう。


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