昔と比べて約4倍も…節分の恵方巻きの購入性向の昔と今の実情(最新)

2024/02/16 12:31

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2023-0124先行記事【節分の恵方巻きの購入性向(最新)】において、【「家計調査」】の公開値を用い、節分の日に食べる恵方巻きの購入性向の実情を確認した。今回はそれに関連する話として、昔と今とでは恵方巻きの購入性向に違いがあるのか否かを見ていくことにする。

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2月に恵方巻きがよく食べられるようになっている?


家計調査における恵方巻きの品目を「すし(弁当)」で代替させる理由などは先行記事「節分の恵方巻きの購入性向(最新)」を参照のこと。

次に示すのは家計調査で公開値の取得が可能な2000年以降における、2月のすし(弁当)の支出金額の動向。月次の値が調査公開されているのは二人以上世帯のみなので、二人以上世帯の値を確認する。また、年平均を月割りした結果も併記する。

↑ 二人以上世帯における月次支出金額 (すし(弁当)、月別、円)
↑ 二人以上世帯における月次支出金額 (すし(弁当)、月別、円)

年平均の月割り、つまり年間に支出する金額に大きな変化はなかったが、2015年あたりから増加傾向が見られるのが目にとまる。他方2月に限定すれば上下を繰り返しながらも少しずつ増加傾向にある。特に2020年以降の増加ぶりが大きい(タイミング的に新型コロナウイルス流行の影響もあるかもしれない)。単純に商品単価の上昇によるものなら年平均月割りも同様に増加しなければならないのだが、上昇度合いがゆるやかなため、節分の日に恵方巻きを食べる風習は少しずつ浸透しているようだと推定できる。

2月のみと年平均月割りの差異の観点で見ると、2003年ぐらいまではほぼ差が無かったのに対し、2004年以降は差が生じ、2015年ぐらいまでは少しずつ差が開いているように見える。この差の分が、2月にのみ恵方巻きを食べる世帯の割合を間接的に表していると考えることができることから、2015年ぐらいまでは節分の日に恵方巻きを食べるという風習が浸透しつつあった、2015年以降はその浸透の広まり方は足踏み状態にあるとの解釈ができよう。2021年あたりからは再び広まるようになってきたとも読めるかもしれない。

どの年齢階層が食べるようになったのか


それでは具体的にどの年齢階層が節分の日に恵方巻きを食べるようになったのか。取得可能なもっとも古い値となる2000年と直近分となる2023年それぞれの2月における、年齢階層別のすし(弁当)の支出金額と購入頻度を確認したのが次のグラフ。

↑ 二人以上世帯における支出金額と購入頻度(すし(弁当)、月次、世帯主年齢階層別)(2000年2月)
↑ 二人以上世帯における支出金額と購入頻度(すし(弁当)、月次、世帯主年齢階層別)(2000年2月)

↑ 二人以上世帯における支出金額と購入頻度(すし(弁当)、年間、世帯主年齢階層別)(2023年2月)
↑ 二人以上世帯における支出金額と購入頻度(すし(弁当)、年間、世帯主年齢階層別)(2023年2月)

2000年2月で一部イレギュラーが生じているが、若年層よりも高齢層の方が恵方巻きを食べることに変わりはない。23年の経過による変化の度合いを見ると、25-34歳は大きな伸び率だが、それを除けばおおよそ高齢層ほど伸び率も大きくなっているようだ。若年層はよく食べるようになり、高齢層もまたよく食べるようになっている。逆に中年層(45-54歳)ではそれほど大きな変化が無いのは興味深い。

都道府県別の今昔


最後に都道府県別で2000年と2023年それぞれの2月におけるすし(弁当)の支出金額を確認する。

↑ 二人以上世帯における支出金額(すし(弁当)、都道府県別、円)(2000年2月)
↑ 二人以上世帯における支出金額(すし(弁当)、都道府県別、円)(2000年2月)

↑ 二人以上世帯における支出金額(すし(弁当)、都道府県別、円)(2023年2月)
↑ 二人以上世帯における支出金額(すし(弁当)、都道府県別、円)(2023年2月)

商業的な戦略で「節分の日には恵方巻きを食べよう」的な話が展開されコンビニなどで積極的なセールスが展開されたのは前世紀末からとの話があるが、本格的な展開がされたのは今世紀に入ってからとの説もある(【ついに全国区デビュー!2月3日は「恵方巻き」】【食卓の縁起に関する研究 I −恵方巻の受容とその背景− 】【仕掛けたのは誰?恵方巻きのルーツを探ってみましょう】)。2000年の時点では大阪府を中心とした近畿地方で値が比較的大きなものとなっているが、直近の2023年では近畿地方と他地域との差はそれほど大きなものではなくなっている。



余談ではあるが日次での支出金額の動向を直近の2023年とデータが取得可能な最古の2000年とで比較すると次の通り。

↑ 二人以上世帯における日次支出金額(すし(弁当)、円)(2000年1-2月)
↑ 二人以上世帯における日次支出金額(すし(弁当)、円)(2000年1-2月)

↑ 二人以上世帯における日次支出金額(すし(弁当)、円)(2023年1-2月)
↑ 二人以上世帯における日次支出金額(すし(弁当)、円)(2023年1-2月)

2000年の時点ですでに節分の日に恵方巻きを食べる風習がそれなりに浸透していたことは確認できるが、同時に直近の2023年と比べると金額は1/4程度でしかない。地域的な広まり方か、世帯の割合かまではこの値からだけでは分からないが、少なくとも昔と比べ今の方が節分の日に恵方巻きを食べる風習が浸透していることは明らかなようだ。


■関連記事:
【東西日本の「肉」の違いをまとめてみる】
【中食系食品などの購入性向推移(家計調査報告(家計収支編))(最新)】
【日本のチョコレートなどへの支出傾向(最新)】

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