2020年4月度外食産業売上マイナス39.6%…2か月連続の前年比マイナス

2020/05/25 15:00

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日本フードサービス協会は2020年5月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2020年4月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でマイナス39.6%を示した。新型コロナウイルスによる自粛要請を受け営業時間の短縮や臨時休業した店舗が多く、客数が大きく減少したことが打撃となった。報告書では今回の値について「調査開始以来最低の売上」と説明している(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が191、店舗数は3万7982店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は減少、店舗数も減少している。

全業態すべてを合わせた2020年4月度売上状況は、前年同月比で60.4%となり、39.6%の減少を記録した。これは前回月から続く形で2か月連続の減少。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は2日少なく、土曜日は変わらずで、売上にはマイナスの影響。気象環境では雨天日は東京は1日少なく・大阪は3日少なく、平均気温は東京・大阪ともに低めのため、客足への影響判断はプラスマイナスゼロと解釈できる。

他方、新型コロナウイルスに伴う外出自粛要請や店舗自身の自主休業・営業時間の短縮要請(概ね営業時間は朝5時から夜8時まで、酒類の提供は夜7時まで)が大きな影響を与え、結果として客数は全体では前年同月比でマイナス40.1%を示した。一方で客単価はプラス0.8%となり、結果として売上はマイナス39.6%に。冒頭でも触れた通り報告書では「調査開始以来最低の売上」と示しており、確認できる限りでは2000年6月以降過去最大の下げ幅を記録する形となった。ちなみに東日本大震災があった2011年3月の売上高前年同月比はマイナス10.3%。

業態別に詳しく動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から続く形で2か月連続のマイナス(マイナス15.6%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せている。今回月では「ドライブスルー完備店などにより持ち帰り需要が大幅に増え、一部の店では店内飲食を中止してテイクアウト販売に限定した」ことが功を奏し売上はプラスに。なおマクドナルド単体の2020年4月における営業成績はプラス6.5%(売上、既存店、前年同月比)と大きなプラスを示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス15.5%、客単価はマイナス0.3%と成し、売上はマイナス15.8%。麺類は客数マイナス56.7%、客単価はプラス5.0%と成し、売上はマイナス54.6%。「その他」と合わせ「商業施設立地店の休業などが影響」とあり、店内飲食の減少が大きく響いたようだ。

ファミリーレストラン部門は客数ではマイナス59.3%、客単価はプラス0.6%、売上はマイナス59.1%。全体として「商業施設立地の店舗では休業したところもあったが、多くは時間を短縮して営業を続けた。持ち帰り需要を取り込むためにテイクアウトやデリバリーを強化するなどの努力も見られたが、もともと店内飲食が中心の業態のため、売上全体をカバーするほどの効果はなく」とあり、新型コロナウイルスの影響で来客が大きく減ったことが足を引っ張ったようだ。他方「焼き肉」は休業する店舗も多く、客数はマイナス67.7%となり、売上もマイナス69.1%と大幅なマイナスに。

パブ/居酒屋部門では、居酒屋の売上はマイナス90.3%、パブ・ビアホールの売上はマイナス95.9%。部門全体では売上はマイナス91.4%を示した。「「営業は夜8時まで、酒類提供は夜7時まで」と要請する自治体が多い中、多くの店舗が休業に踏み切った。一部でランチ営業を行う店舗もあったが、全体的に見れば事実上の活動停止状態」と説明されており、新型コロナウイルスの影響を直接、間接的に大きく受けた形となった。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数はマイナス82.9%、客単価はマイナス6.3%で売上はマイナス84.0%を示した。「営業時間等の制限で休業せざるを得ない店舗が多く」との説明がある。

今回月で38回目となるプレミアムフライデーの影響だが、解説コメントでは一切そのフレーズは確認できなかった。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2020年4月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2020年4月分)

↑ 外食産業売上高前年同月比(業態別)(2020年3月)
↑ 外食産業売上高前年同月比(業態別)(2020年3月)

新型コロナウイルスの
影響を直撃する形に。
自主休業店舗も多く
客数がどん底。
テイクアウトにフル対応の
ファストフード・洋風のみが
プラスを示す。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種公開値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比1割前後のアップを示している。今後どこまで良好な数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのか楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとは異なる様相が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある。報告書でも「客足が伸びない最近の傾向」との表記があるほど。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも精肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているようだ。

吉呑み現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に併せた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

新型コロナウイルスの影響だが、そもそも論として店舗が自主休業していれば客が来るはず、営業していても時短や販売品の事実上の制限が行われ、イートインは客同士の距離を取るために収容効率が悪化、さらに来店客数そのものが外出自粛で少ないことから、客数は激減する形となった。疫病の影響である以上、仕方がないとはいえ、衝撃的な値には違いない。

もっともそのような中でも中食需要の急増もあり、テイクアウトに対応できる業態は、売上の減少を最小限にとどめることができた。ファストフードとファミリーレストランとで、明暗が分かれたのは、この点が大きい。

次回月の5月では、4月よりはいくぶんマシな値となっているはずだか、まだまだ大きな減少が確認されることだろう。


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