心理的瑕疵物件における入居者の事案が判明したきっかけ(最新)

2020/02/13 05:17

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2020-0127賃貸住宅を探す時に重要なチェック項目として心理的瑕疵物件か否かとの問題がある。心理的瑕疵物件とは、住む人が心理的に嫌な思いをする可能性がある問題を抱えている物件を指す。ただし心理的瑕疵(物件)について公的なガイドラインや明確な判例はなく、個々の物件の特性や地域の環境など多様な条件の上で判断されることが多い。今回は賃貸住宅の管理会社で構成される協会「日本賃貸住宅管理協会」が半年ごとに同協会公式サイトにて発表している【賃貸住宅市場景況感調査(日管協短観)】を基に、心理的瑕疵物件と判断された物件において、該当する心理的瑕疵がどのような形で判明したのか、その実情を確認する。


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各種調査要項などに関しては先行する記事【メディア別賃貸住宅業者への反応の変化】にて記載済み。そちらで確認してほしい。

不動産において心理的瑕疵に該当するか否かは過去の事例や事案の特性などで判断されることが多いが、その多くは入居者の死によるものである。例えば入居者が自室で自殺をしたり孤独死をしているのが発見されるのがよくある事例。それでは実際に、心理的瑕疵物件において室内での入居者の自殺などが判明したきっかけはどのようなものだろうか。複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。

今件では「死後約1週間以上」との条件があることに注意。つまり第三者が見守る中での自然死のような状態を意味しない(一般的に第三者がいる状況、あるいは直後に発見されるような自然死や病死のような事件性のないものについては、心理的瑕疵に該当しないと判断される傾向がある)。

↑ 心理的瑕疵物件における室内での入居者の自殺・他殺・孤独死など(死後約1週間以上)が判明したきっかけ(複数回答)(2019年上期)
↑ 心理的瑕疵物件における室内での入居者の自殺・他殺・孤独死など(死後約1週間以上)が判明したきっかけ(複数回答)(2019年上期)

もっとも多いケースは「家族からの連絡」で76.4%。次いで「職場からの連絡」が59.1%と続く。普段から繋がりのある間柄にあった人が不審に思い確認したところ、居住者が亡くなっていたのを発見したというパターン。

ついで「近隣の住民や他の入居者からの連絡」が57.5%。近所付き合いがある場合、普段は見かける時間に顔を見せない状態が続いていたり、さらにはずっと明かりが点けっぱなしになっていたりなどの異変に気が付き、確認をしたところ…というパターン。あるいはあり得ないレベルの悪臭がしたのでおかしいと思う場合もあるだろう。

賃貸住宅業者の関係者となる「自社の社員」は19.7%、関連業者となる「清掃業者などの業者」は5.5%。これは賃貸住宅業者側が確認を怠っているからではなく、その前に上位の選択肢の人達が発見してしまうからに他ならない。

今件を地域別に区分したグラフは次の通り。

↑ 心理的瑕疵物件における室内での入居者の自殺・他殺・孤独死など(死後約1週間以上)が判明したきっかけ(複数回答、地域別)(2019年上期)
↑ 心理的瑕疵物件における室内での入居者の自殺・他殺・孤独死など(死後約1週間以上)が判明したきっかけ(複数回答、地域別)(2019年上期)

首都圏・関西圏以外では「家族からの連絡」が飛び抜けて高い一方、関西圏では「職場からの連絡」「近隣の住民や他の入居者からの連絡」が高く「家族からの連絡」すら抜いてトップとなっている。報告書では「関西圏では、近隣住民同士の付き合いが深いケースが多いため、近隣住民などによって判明する比率も高い」と説明しており、関西圏の賃貸住宅事情を垣間見ることができる。

社会の高齢化に伴い一人暮らしの高齢者による孤独死が今後増加することは容易に想像ができる。近所付き合いや親族との連絡も疎遠となり、発見までに時間を要するようなケースも増えるだろう。心理的瑕疵物件に関する問題も、今後深刻化していくに違いない。


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