2019年5月度外食産業売上プラス3.1%…33か月連続して前年比プラス

2019/06/25 16:00

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日本フードサービス協会は2019年6月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2019年5月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でプラス3.1%を示した。該当月は日取りの上では前年同月と比べ休日が2日多く、天候が比較的安定していたことから来店機会が押し上げられ客数はプラスを示し、季節メニューの堅調さやメニュー改定で客単価が上昇し、結果として売上はプラスとなった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が192、店舗数は3万5646店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は減少、店舗数も減少している。

全業態すべてを合わせた2019年5月度売上状況は、前年同月比で103.1%となり、3.1%の増加を記録した。これは前回月から継続する形で33か月連続の増加。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では土曜日は変わらないが休日は2日多く、売上にはプラスの影響。気象環境では雨天日は東京で5日少なく大阪でも8日少なく、客足の観点で大きくプラス、平均気温は東京と大阪ともに高めとなり、同じくプラスの影響を与えている。

結果として客数は全体では前年同月比でプラス1.4%を示している。一方で客単価はプラス1.7%となり、結果として売上はプラスを示す形となった。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から続く形で40か月連続のプラス(プラス3.9%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せている。今回月では「改元の祝賀ムードの中、過去の人気商品の再登場や新商品の投入などで客単価が上昇」とあり、かるびマックやたまごダブルマックの展開が好評だったようだ。その洋風は客単価がプラス3.7%、客数はプラス0.5%となり、売上高は4.2%のプラス。なおマクドナルド単体の2019年5月における営業成績はプラス3.1%(売上、既存店、前年同月比)とプラスを示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス1.6%、客単価はプラス3.2%と成し、売上はプラス4.9%。「サイドメニューの価格改定、定食メニューの好調などで客単価上昇」とリリースにはあり、吉野家における5月1日からのサイドメニューの価格引き上げ(10円)が功を奏したようだ。

ファミリーレストラン部門は客数ではプラス0.9%、客単価はプラス2.5%、売上はプラス3.4%とプラス。洋風・和風合わせて「GW後の節約志向などもあり客数が減少するも、フェアメニューの好調等で客単価が上昇」とあり、日取りや天候要素が大いに影響するファミレスであっても客数の減少傾向には歯止めがかからなかったようだ。他方「焼き肉」は「GWのファミリー需要等が好調」とコメントされており、他業種と比べて勢いのある実情がうかがえる(客数はプラス4.9%)。

パブ/居酒屋部門では、居酒屋の売上はプラス0.2%、パブ・ビアホールの売上はプラス1.5%。部門全体では売上はプラス0.5%を示した。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は0.1%のプラス、客単価はプラス0.8%で売上はプラス0.9%を示した。

今回月で27回目となるプレミアムフライデーの影響だが、解説コメントでは一切そのフレーズは確認できなかった。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2019年5月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2019年5月分)

日取り、天候効果で
客足堅調。
しかしファミレスの洋和ともに
客数はマイナスに。
季節メニューが奏功で
客単価は底上げ、
売上に貢献。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種公開値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比1割前後のアップを示している。今後どこまで良好な数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのか楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとは異なる様相が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある(キャンペーンが当たれば大きな飛躍が生じるが)。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているようだ。

吉呑み現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に併せた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

これらは外食産業全体の動向を精査する上で、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。


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