世帯年収でソーシャルメディアの利用率に違いは生じるのか、その世界主要国の実情(最新)

2019/02/21 05:13

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2019-0211ソーシャルメディアは非常に便利なツールだが、すべての人が利用しているわけでは無い。経済的に苦しいとアクセス可能な道具の利用機会が無く、あるいは時間的な余裕が無く、利用し難いとの指摘もある。今回はそのソーシャルメディアの世界主要国における世帯年収別利用実情を、アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年春に実施した携帯電話関連の世界規模での調査結果報告書【Smartphone Ownership Is Growing Rapidly Around the World, but Not Always Equally】を基に確認する。


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調査要綱は先行記事【世界主要国のスマートフォン普及状況】を参照のこと。

次に示すのは主要国のソーシャルメディア利用率を世帯年収別に区分して確認した結果。各国それぞれで回答者を世帯年収順に並べ、中央値以下は低年収世帯、中央値超は高年収世帯としている。なお設問では「普段からソーシャルメディアを使っていますか」と尋ね、具体例としてFacebookとTwitter、そして国毎に多用されているソーシャルメディアが追加で挙げられている。例えば日本ならばmixi、インドならWhatsAppが加えられている。また国の序列は先進国・新興国それぞれで、国全体のソーシャルメディア利用率の高い順となっている。

↑ ソーシャルメディア利用率(世帯年収別)(2018年春)
↑ ソーシャルメディア利用率(世帯年収別)(2018年春)

差異の幅は違えども、どの国も一様に高年収世帯の方が低年収世帯よりも利用率は高い。また、先行記事にある年齢階層別や学歴別のように、国全体の利用率の高低との関係に関して何らかの連動性があるようには見えない。先進国ではばらばら、新興国ではあまり国ごとの違いが無いように感じられる。

実際に高年収世帯の値から低年収世帯の値を引いた結果を確認すると、その通りの動きが見えてくる。

↑ ソーシャルメディア利用率の世帯年収による格差(高年収世帯−低年収世帯、ppt)(2018年春)
↑ ソーシャルメディア利用率の世帯年収による格差(高年収世帯−低年収世帯、ppt)(2018年春)

ソーシャルメディアの利用は原則的に無料で、世帯年収が直接関与する余地は無い。他方、冒頭でも指摘しているが、経済的に余裕が無いとソーシャルメディアを使う時間的・精神的余裕が無くなってくることが間接的な理由として考えられる。そして何よりもソーシャルメディア、そしてそれを容易に利用できるツールとして普及が進んでいるスマートフォンを利用するにはそれなりの金銭的負担が生じるため、それがソーシャルメディアの利用率に影響を与えているのではないだろうか。

その観点では新興国ではおおよその国にとって同じぐらいの経済的ハードルがソーシャルメディアの利用(≒スマートフォンの所有)に生じている。先進国においてはすでに経済的ハードルはクリアされている状態で、他の要素がソーシャルメディアの利用に影響していると解釈すればよいのだろう。


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