経済、犯罪、移民、3つの視点で西欧諸国のニュースメディアへの評価をグラフ化してみる

2018/11/28 05:12

2018-1113ニュースメディアは国家社会を構成する個人を対象に、個人では取得が難しい領域や社会全体の出来事を分かりやすく、そしてもちろん正しく知らしめて、個人が的確に判断ができるような環境づくりをする存在意義がある。しかしながらその存在意義がどれほどまで果たされているか疑わしいのが実情。このニュースメディアへの「経済」「犯罪」「移民」の3つの視点からの西欧諸国における評価について、アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年5月14日に発表した調査【「In Western Europe, Public Attitudes Toward News Media More Divided by Populist Views Than Left-Right Ideology」】の報告書を基に確認していく。

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「経済」「犯罪」への評価は高いが


今調査の調査要綱は先行記事【西ヨーロッパ諸国でニュースの情報源としてもっとも使われているのはテレビ、デンマークやスウェーデンではオンラインが最多】を参照のこと。

次に示すのはヨーロッパで大きな社会問題となっている3つの要素「経済」「犯罪」「移民」の視点に関して、ニュースメディアが本来果たすべき義務を果たしているか、仕事をよくやっているかの評価を「大変よくやっている」「それなりによくやっている」「あまりよくやっていない」「まったく駄目」の4選択肢から選んでもらい、そのうち肯定派に当たる「大変よくやっている」「それなりによくやっている」を合算した値。

↑ 次の観点に関してニュースメディアは「大変よくやっている」「それなりによくやっている」(2017年10-12月)
↑ 次の観点に関してニュースメディアは「大変よくやっている」「それなりによくやっている」(2017年10-12月)

おおよそどの国でも「経済」「犯罪」「移民」の順に評価は落ちる傾向がある。他方、イタリアやスペイン、イギリスでは「犯罪」の値がもっとも高く、ドイツでは「経済」の値が突出しているなど、それぞれの国における視点、見方を変えれば問題点の実情や、ニュースメディアの姿勢が透けて見える結果となっている。

ある意味では「経済」や「犯罪」とも直結する「移民」については、どの国もニュースメディアへの評価は低め。ドイツやイギリスでは5割を割り込んでいる。「経済」「犯罪」にかかわる報道と比べ、「移民」に関してはニュースメディアはよい仕事をしているとは言えないとの評価は西欧諸国共通のものであり、どちらかといえば南部にある国の方が評価が低いように見える。

ポピュリストはニュースメディアを評価しない


今件に付き昨今ヨーロッパ諸国で問題視されているポピュリストか否かに区分した上で回答動向を見たのが次以降のグラフ。今調査におけるポピュリストなどの判断基準は【ニュースメディアは国家社会を機能させるのに重要か否か、西ヨーロッパ諸国の実情をグラフ化してみる】を参照のこと。

まずは「経済」について。

↑ 次の観点に関してニュースメディアは「大変よくやっている」「それなりによくやっている」(経済、ポピュリスト・非ポピュリスト別)(2017年10-12月)
↑ 次の観点に関してニュースメディアは「大変よくやっている」「それなりによくやっている」(経済、ポピュリスト・非ポピュリスト別)(2017年10-12月)

押しなべてポピュリストの評価が低く出るのは、これまでの先行記事における項目と同じ傾向。理由も恐らくは同じで、ポピュリストがそもそも現在の国家社会に否定的で、その原因の一つとしてニュースメディアが社会的存在意義を果たしていないからだとする考えがあるからに他ならない。「社会が悪いと思っている。その原因はニュースメディアにもある。そのような対象を評価できるはずがない」という具合だ。

「経済」ではどの国も一定の度合いで両派の肯定派意見の値で差が出ている。一番大きな差はスペインの32%ポイント、一番小さいのはイギリスの12%ポイント。当然、ポピュリストの方が現状の経済はよくないとの認識なのだろう。

次いで「犯罪」。

↑ 次の観点に関してニュースメディアは「大変よくやっている」「それなりによくやっている」(犯罪、ポピュリスト・非ポピュリスト別)(2017年10-12月)
↑ 次の観点に関してニュースメディアは「大変よくやっている」「それなりによくやっている」(犯罪、ポピュリスト・非ポピュリスト別)(2017年10-12月)

ポピュリストの値の方が低いのは「犯罪」でも同じだが、国によって両派の差異の出方に違いが出ているのは興味深い。イタリアとオランダは大きな差が出ておらず、ドイツは極めて大きな差が生じている。それぞれの国の犯罪情勢によるものか、それともニュースメディアの仕事の実態ぶりが本当に評価されない質のものなのか、それともその双方か。差異がもっとも大きなドイツでは非ポピュリストですら肯定派意見の値が70%に留まっており、犯罪に関するニュースメディアへのドイツ国民の思惑が色々と透けて見えてくる。

最後は「移民」。

↑ 次の観点に関してニュースメディアは「大変よくやっている」「それなりによくやっている」(移民、ポピュリスト・非ポピュリスト別)(2017年10-12月)
↑ 次の観点に関してニュースメディアは「大変よくやっている」「それなりによくやっている」(移民、ポピュリスト・非ポピュリスト別)(2017年10-12月)

ポピュリストの値の方が低いのは「移民」でも同じ。両派の差異があまり無い国は皆無で、いずれの国もそれなりの差が生じている。また、フランスやドイツ、スウェーデンでは大きな差が生じており、移民に対する姿勢の厳しさが、特にポピュリストの間で広まっている感を覚えさせる。

ポピュリズムは大衆迎合主義とも表現できるように、その場限りの、勢いのある無しで方向性を定められることが多く、またその旗振りを行うカリスマ性のある人物や組織、さらには不特定多数に向けた高い公知能力を持つマスメディア組織によって扇動されることが多々ある。ヨーロッパでポピュリズムの台頭がなぜ生じているのか、何に向けて走っているのか、その一端が垣間見れる結果かもしれない。


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