「指針」と「ガイドライン」同じ意味か、使い分けができるか

2018/10/04 04:51

2018-0928文化庁は2018年9月25日、平成29年度分の「国語に関する世論調査」の結果を発表した。今発表内容は概要ではあるが、日本の国語の理解や意識の現状を確認できるデータが多数盛り込まれている。今回はその中から、同じような文脈で用いられることがある漢字表記の言葉とカタカナ表記の言葉について、使い分けができるか、両方とも同じ意味だと思っている人にとってはどちらを使う方がよいかを確認していく(【平成29年度「国語に関する世論調査」の結果について】)。

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今調査は2018年3月に全国16歳以上の男女に対して個別面接調査方式で行われたもので、有効回答数は2022人。調査対象の抽出方式や属性別構成比は非公開。

「指針」と「ガイドライン」のように同じような文脈で用いられることがある、漢字を用いた言葉とカタカナを用いた言葉の組み合わせはよく見受けられる。まったく同じ意味のこともあれば、微妙に意味合いが異なることもあり、読み手の解釈次第で違ってくる場合もある。書き手と読み手の意思疎通の齟齬が生じやすいのも否定できない。

次に示すのはそのような漢字表記とカタカナ表記の一対の言葉に関して、どのような解釈をしているのかを答えてもらった結果。どの解釈が正しいのかは明記されておらず、また正解そのものも存在しないことに注意。

↑ 両者は同じ意味の言葉だと思うか、使い分けのできる言葉だと思うか(2018年)
↑ 両者は同じ意味の言葉だと思うか、使い分けのできる言葉だと思うか(2018年)

今回挙げられた事例において、使い分けができる人が同じ意味だと思う人を上回っているのは、「追跡調査/フォローアップ」のみ。それ以外はすべて、同じ意味だと思う人の方が多い。

また、すべての事例でカタカナ表記しか意味が分からないという人は少数派で、漢字表記の方のみ意味が分かるという人の方が多い。特に「共同事業体/コンソーシアム」「訪日外国人旅行(者)/インバウンド」では使い分けができる人や同じ意味だと思う人すら超えて、過半数の人が漢字表記しか意味が分からないと答えている。カタカナ表記の言い回しを見聞きしたことはあるのだろうが、意味まで理解してはいない事例が多々あると予想できる結果ではある。例えば伝える側が共同事業体の意味で「コンソーシアム」と表記しても、過半数は何を指しているのか理解できない可能性があるということになる(文脈、話の流れから何となくそれっぽいものだと判断できる人もいるだろうが)。

不特定多数に向けて情報発信をする官公庁が発する文面では特に、この観点を忘れずに作り上げる必要があるのだが、カタカナ表記がよく使われていることも否定できない。無論、漢字表記とは別の意味合いを持たせている、持たせたいとの意図もあるのかもしれないが。

実際、これらの事例に限っても、双方同じ意味だと思っている人においては、不特定多数に人に当てた文書などに用いる場合は、カタカナ表記ではなく漢字表記をするべきだという人が多数派となっている。特に「漢字しか意味が分からない」意見が多かった組み合わせでは、過半数が「漢字表記を使う方がよい」と回答している。

↑ 不特定多数の人に当てた文書などに用いる言葉としてどちらを使う方がよいと思うか(両者を同じ意味だと思った人限定)(2018年)
↑ 不特定多数の人に当てた文書などに用いる言葉としてどちらを使う方がよいと思うか(両者を同じ意味だと思った人限定)(2018年)

当然、漢字表記しか意味が分からない人は漢字表記をすることを望んでいるものと考えられる(カタカナ表記で注釈がされれば話は別だが、注釈してまでカタカナ表記をする事例は、不特定多数の人に当てた文書ではあまり見られない)。

違う意味で用いたのならばカタカナ表記をするべきではあるし、同じ意味であるにしても漢字表記よりはカタカナ表記の方が恰好よく見え、堅苦しさを避けることができ、あるいは読み手をけむに巻くこともできる。しかし不特定多数の人に当てた文書における一番大切な目的「多くの人に内容を正しく理解してもらう」ためには、より多くの人が理解できる言い回しを使う方が望ましいのだろう。


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