2018年7月度外食産業売上プラス0.5%…23か月連続して前年比プラスを計上

2018/08/27 15:00

日本フードサービス協会は2018年8月27日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2018年7月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でプラス0.5%を計上した。該当月は西日本では豪雨が続き、全国的には酷暑や台風の到来など悪天候が襲い掛かり、さらに日取りの上では前年同月で土曜日が一日少なく、客数は減少したものの、高付加価値メニューやキャンペーンなどで客単価が堅調となり、売上はプラスとなった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が194、店舗数は3万6524店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は減少、店舗数も減少している。

全業態すべてを合わせた2018年7月度売上状況は、前年同月比で100.5%となり、0.5%の増加を記録した。これは前回月から継続する形で23か月連続の増加。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は変わらず土曜日は1日少なくなっており、売上にはマイナスの影響。一方気象環境では東京で雨天日が1日多く、平均気温は高めとなり、客足の点ではマイナスの影響をもたらすことに。また冒頭でも言及の通り、西日本では豪雨が襲い、全国的にも台風の上陸、さらには豪暑と表現できるような天候となり、極端に気温や天候が変化する、忙しい夏模様となった。当然、客足にはマイナスの影響となる。

結果として客数は全体では前年同月比でマイナス1.1%を計上している。一方で客単価はプラス1.7%を計上しており、結果として売上はかろうじてプラスを示す形となった。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から続く形で30か月連続のプラス(プラス2.0%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せ始めており、今回月では「季節商品や500円のランチセットなどが好調」あり、「おてごろマック」や「ロコモコ」が功を奏したように見える。その洋風は客単価がプラス2.9%、客数はプラス0.1%となり、売上高は3.0%のプラス。

マクドナルド単体の2018年7月における営業成績はプラス3.4%(売上、既存店、前年同月比)とプラスを示しており、これがファストフード洋風全体へのプラスの影響を与えたものと考えられる。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス0.5%、客単価はプラス3.2%と成し、売上はプラス2.6%。「鰻の販売が好調で客単価が上昇」とリリースにはある。

ファミリーレストラン部門は客数ではマイナス2.8%、客単価はプラス2.3%、売上はマイナス0.5%とマイナスを計上。やはり天候の悪さが大きく客足、そして売上を引っ張ったようだ。洋風でも「豪雨・猛暑・台風という天候要因で客数が減少」とコメントにあり、それを裏付けている。「和風」も「猛暑でそば業態などは好調だったが、全体的には客数減」とあり、客足の鈍さにはかなわず。他方「焼肉」は「天候や曜日周りなどマイナス要因がある中でも底固く推移」とコメントされており、様々な悪条件の中でも飛躍している実情が確認できる。

パブ/居酒屋部門では、居酒屋は相変わらず軟調で売上はマイナス6.7%。パブ・ビアホールは天候要因で大きく足を引っ張られて売上はマイナス3.1%。部門全体では売上はマイナス5.8%を示した。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は0.1%のプラス、客単価はプラス0.2%で売上はプラス0.2%を示した。

今回月で18回目となるプレミアムフライデーの影響だが、具体的な数字となって表れるほどの影響は無かったようで、解説コメントには文言は一切確認ができなかった。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2018年7月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2018年7月分)

日取りの悪さと
天候要因で
客数減少。
高単価商品は
引き続き好調で
客数減少を
何とかカバー。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比1割前後のアップを計上している。今後どこまで良好な数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのかが楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。ただし吉野家は単価と客数のバランス調整に難儀しており、他の主要チェーン店に後れを取る状況が続いている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとは異なる様相が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある(キャンペーンが当たれば大きな飛躍が生じるが)。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているのだろう。何しろ少し前の報告書では「肉ブーム」なるフレーズまで登場したぐらいである。

居酒屋の不調続きは要注意ポイント。こちらは純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。さらに今後禁煙の動きが加速するに連れ、マイナス要素がまた一つ加わる可能性はある。「多様なメニューが少量で、安価で注文できる」との居酒屋独自のメニュー展開の上では、子供連れにもマッチしそうな感はあるが、その役割は焼き肉店やファミレスがすでに確保しているとの見方もあり、さらには回転寿司もその座を狙う動きを見せていることから、実情は難しい。

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に併せた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

これらは外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。


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