2018年1月度外食産業売上プラス3.1%…17か月連続して前年比プラスを計上

2018/02/27 05:00

日本フードサービス協会は2018年2月26日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2018年1月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス3.1%を計上した。該当月は下旬に大雪や強い寒気が各地を襲い客足を引っ張る形となったが、年始需要がおおむね好調に推移し、ファストフードも堅調な流れにあったことから、売上は大きなプラスを示す形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が192、店舗数は3万6197店舗。今月は前回月と比較すると事業社数は増加、店舗数は減少している。

全業態すべてを合わせた2018年1月度売り上げ状況は、前年同月比で103.1%となり、3.1%の増加を記録した。これは先回月から継続する形で17か月連続の増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は1日少なく土日は変わらずで、売上にややマイナスの影響。一方気象環境では東京・大阪ともに平均気温は低めとなり、雨天日数も多く、客足の点ではマイナスの影響をもたらすこととなった。今回月はそのような悪条件の中でのプラスの売り上げ計上となる。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から続く形で25か月連続のプラス(プラス5.4%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せ始めており、今回月では期間限定メニューやリニューアルの商品が好調でで洋風全体のけん引を果たす形となった。洋風は客単価がプラス5.4%、客数はプラス1.9%となり、売上高は7.4%のプラス。

マクドナルド単体の2018年1月における営業成績はプラス13.4%(売上、既存店、前年同月比)とプラスを示しており、これがファストフード洋風全体へのプラスの影響を与えたものと考えられる。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス3.7%、客単価はプラス3.3%と成し、売上はプラス7.1%。「鍋メニューのテイクアウト訴求が奏功し、原材料高による価格改定とあいまって」とリリースにはあり、吉野家での「牛鍋ファミリーパック」やすき家での値上げがプラスに影響したようだ。

ファミリーレストラン部門は客数は悪天候の影響もありやや弱めだが客単価はアップしており、売上は中華と焼き肉でプラス。洋風では「客単価は上昇しているものの、雪の影響に加え、元日休業など営業時間の短縮もあり客数が伸びず」、和風では「年始の正月需要で客単価が上がったものの、雪の影響でシニアなどの顧客が減少し」との言及が確認できる。特に気候が悪化するとシニア層の客足が大きく鈍るとの観点は、外食産業全般、とりわけファミレスにおいて大きな影響を与える要素として注目したい。焼き肉は群を抜く売り上げ増でプラス8.3%。コメントでも「引き続き好調」とあり、上昇トレンドは継続中のもよう。

パブ/居酒屋部門では居酒屋の店舗数の減少が影響してか客数が減り、これが売り上げの足を引っ張る形となり、売上はマイナス3.9%。パブ・ビアホールは客単価が落ちて客数の増加では補い切れず、売上はマイナス2.3。結果として部門全体ではマイナス3.6%を示した。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は2.7%のプラス、客単価はプラス0.7%で売上はプラス3.5%を示した。

今回月で12回目となるプレミアムフライデーの影響だが、具体的な数字となって表れるほどの影響は無かったようで、解説コメントには文言は一切確認ができなかった。年始ということもあり、それどころでは無かったのだろう。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2018年1月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2018年1月分)

低温、降雪で
ファミレスを中心に
客足は鈍るが
ファストフード全般や
焼き肉は大入り状態継続。
客単価はおおむね上昇し
売上はプラスが多い。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比1割超のアップを計上している。今後どこまで良好な数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのかが楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。ただし吉野家は単価と客数のバランス調整に難儀しており、他の主要チェーン店に後れを取る状況が続いている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとは異なる様相が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているのかもしれない。

居酒屋の不調続きは要注意ポイント。こちらは純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。さらに今後禁煙の動きが加速するに連れ、マイナス要素がまた一つ加わる可能性はある。「多様なメニューが少量で、安価で注文できる」との居酒屋独自のメニュー展開の上では、子供連れにもマッチしそうな感はあるが、その役割は焼き肉店やファミレスがすでに確保しているとの見方もあり(さらには回転寿司もその座を狙う動きを見せている)、実情は難しい。

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的(ただしファミレスも上記の通り2016年以降は成長がやや遅いものとなっている)。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(高齢化は今回月のファミレスの言及にもあるように、売上を大きく左右する要素となっている)。外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。


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