2017年12月度外食産業売上プラス3.5%…16か月連続して前年比プラスを計上

2018/01/26 10:00

日本フードサービス協会は2018年1月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2017年12月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス3.5%を計上した。比較的安定した天候に恵まれ、クリスマスや忘年会などの年末特殊需要も堅調に推移し、客足が堅調なものとなり、客単価の高い商品も好調な売れ行きを示し、売上は大きなプラスを示す形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が190、店舗数は3万6386店舗。今月は前回月と比較すると事業社数は減少、店舗数も減少している。

全業態すべてを合わせた2017年12月度売り上げ状況は、前年同月比で103.5%となり、3.5%の増加を記録した。これは先回月から継続する形で16か月連続の増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は1日多いが土日は1日少なく、売上にはほぼ影響は無し。一方気象環境では東京・大阪ともに平均気温はやや低めとなったが、雨天日数は少なく、客足の点ではプラスの影響をもたらすこととなった。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から続く形で24か月連続のプラス(プラス4.2%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せ始めており、今回月では冬メニューが堅調で洋風全体のけん引を果たす形となった。今回月では洋風は客単価がプラス1.9%、客数はプラス2.6%となり、売上高は4.6%のプラス。

マクドナルド単体の2017年12月における営業成績はプラス8.0%(売上、既存店、前年同月比)とプラスを示しており、これがファストフード洋風全体へのプラスの影響を与えたものと考えられる。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス2.2%、客単価はプラス3.4%と成し、売上はプラス5.7%。「原材料高による価格改定やトッピング訴求により客単価上昇」とリリースにはあり、すき家での値上げが影響したようだ。

ファミリーレストラン部門は客数はそこそこの状態で、客単価はアップしており、売上は全業種でプラス。洋風では営業時間短縮による客数減を客単価増がカバー、和風では店舗増に加え忘年会などの宴会需要との言及が確認できる。営業時間の短縮は売り上げを落とすのではとの懸念もあったが、客単価の上昇が補えるレベルだったようだ。焼き肉は群を抜く売り上げ増でプラス10.0%。コメントでも「引き続き好調」とあり、上昇トレンドは継続中のもよう。

パブ/居酒屋部門では居酒屋の店舗数の減少が影響してか客数が減り、これが売り上げの足を引っ張る形となったが、客単価が堅調でぎりぎりプラスマイナスゼロ。パブ・ビアホールは客単価こそ落ちたものの客数は順調となり、売上はプラス。結果として部門全体ではプラス0.4%を示した。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は5.8%のプラス、客単価はプラスマイナス0.0%で売上はプラス5.8%を示した。

今回月で11回目となるプレミアムフライデーの影響だが、具体的な数字となって表れるほどの影響は無かったようで、解説コメントには文言は一切確認ができなかった。年末ということもあり、それどころでは無かったのだろう。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2017年12月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2017年12月分)

気温は低いが
天候は穏やかで
客足は堅調。
ファストフードの洋風の
好調さは続く。
ファミレスでは焼き肉が
1割増の売り上げ。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比1割超のアップを計上している。今後どこまで良好な数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのかが楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。ただし吉野家は単価と客数のバランス調整に難儀しており、他の主要チェーン店に後れを取る状況が続いている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとは異なる様相が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているのかもしれない。

居酒屋の不調続きは要注意ポイント。こちらは純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。さらに今後禁煙の動きが加速するに連れ、マイナス要素がまた一つ加わる可能性はある。「多様なメニューが少量で、安価で注文できる」との居酒屋独自のメニュー展開の上では、子供連れにもマッチしそうな感はあるが、その役割は焼き肉店やファミレスがすでに確保しているとの見方もあり(さらには回転寿司もその座を狙う動きを見せている)、実情は難しい。

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的(ただしファミレスも上記の通り2016年以降は成長がやや遅いものとなっている)。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる。外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。


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