前世紀からの単身若年層のお財布事情をグラフ化してみる(最新)

2018/01/17 05:06

2017-1211一人暮らしをしている若年層はお財布事情が厳しいとの指摘がある。今回はそれを数字的に裏付けるため、総務省統計局の全国消費実態調査の公開値を基に、その実情を確認することにした(【全国消費実態調査】)。

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この類の状況確認には家計調査が一番無難な統計なのだが、残念ながら同調査は現時点で2002年分以降の値しか公開されていない。一方全国消費実態調査は5年おきの調査結果だが、直接の公開ページでは1999年分以降、さらに【日本の長期統計系列】の公開値を用いることで、1984年以降の値が取得可能となる(日本の長期統計系列では家計調査の古い値も公開されているが、年齢階層別の値は未公開となっている)。

まず最初に示すのは、単身世帯のうち勤労者世帯の年収推移。この年収とは【収入と税金の変化をグラフ化してみる】でも説明している通り、実収入を意味する。よく見聞きする「所得」は、ここから直接税や社会保険料などを差し引いた手取り収入を指す。この社会保険料なども確認したいところだが、残念ながら日本の長期統計系列では公開されていない。

なお全国消費実態調査では単身者は15歳以上を対象としており、また学生単身者は調査対象外となっていることに注意が必要。今件対象者は16-29歳の一人暮らしで職に就いている人となる。

↑ 単身世帯の年収推移(30歳未満、勤労者世帯、万円)
↑ 単身世帯の年収推移(30歳未満、勤労者世帯、万円)

男女共に前世紀末にかけて少しずつ上昇し、今世紀に入ってからは女性が横ばい、男性は減少。直近年となる2014年では男性が大きく伸び、女性は沈んでしまっている。直近年では男性が360万4000円、女性は280万5000円。

続いて貯蓄の動向。これは男女別に確認を行う。なお「その他」は生命保険などが該当する。

↑ 単身世帯の貯蓄推移(30歳未満、勤労者世帯、万円、男性)
↑ 単身世帯の貯蓄推移(30歳未満、勤労者世帯、万円、男性)

↑ 単身世帯の貯蓄推移(30歳未満、勤労者世帯、万円、女性)
↑ 単身世帯の貯蓄推移(30歳未満、勤労者世帯、万円、女性)

女性はややばらつきがあるが、男性は大よそ増加傾向にある。男性では1984年と比べて30年後の2014年では貯蓄額が2倍近くに増加している。また、リーマンショック直後で景況感が非常に悪かった2009年において、男性は貯蓄額を減らしているのに対し、女性は逆に増やしている。経済的危機が生じた時における、男女間の貯蓄性向の違いが見えているのは興味深い。

【郵便貯金の金利推移をグラフ化してみる】でも解説している通り、日本の金利は前世紀末に大きな低下を示し、今世紀に入ってからはほぼゼロに近い状態が続いている。女性は2009年でイレギュラーが生じているが、大よそ男女とも定期性預貯金の額を減らし、通貨性預貯金を増やす動きを示している。若年層の単身勤労者もまた、定期性預貯金の意義を見出しにくくなっているのだろう。男性では全貯蓄に占める定期性預貯金の割合が1984年時点では42%だったのに対し、2014年では18%にまで減少している。女性ではまだ定期性預貯金への傾注が高めだが、それでも60%から40%にまで減っているのが実情ではある。



やや余談ではあるが、若年層が抱える負債の代表格に挙げられる、住宅や土地のための負債額を算出したのが次のグラフ。負債がある人も無い人も合わせた平均額である事に注意。

↑ 単身世帯の住宅のための負債推移(30歳未満、勤労者世帯、万円)
↑ 単身世帯の住宅のための負債推移(30歳未満、勤労者世帯、万円)

直近の2014年で男女共に大きな飛躍が確認できる。これは不動産価格が急騰したからでは無く、住宅取得者が増えたから。実際、住宅・土地のための負債を有している人は2014年では男性で6.9%、女性で1.7%だったが、その前の調査となる2009年では男性で1.0%、女性では0.0%だった(遺産などでの譲渡や一括支払いでの購入もあるため、持ち家率はもう少し高くなる)。

社会環境の変化に伴い、若年層のお財布事情も色々な影響を受け、変化をしている次第ではある。


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