働き人がいる二人以上世帯の貯蓄性向の変化をグラフ化してみる(最新)

2017/12/07 05:13

2017-1206お金は物品やサービスなどの価値を数量化して保存できる仕組みであり、現金として手元に置く他に、様々な形で専用の機関に預け入れ、財として積み増していくことができる。これを蓄財や貯蓄と呼んでいるが、貯蓄性向はどのような変化を示しているのだろうか。今回は総務省統計局が2015年9月30日に発表した【「2014年全国消費実態調査」】の結果を基に、勤労者がいる二人以上世帯における貯蓄性向の移り変わりを、貯蓄全体と、通貨性預貯金、定期性預貯金の動向から確認していく。

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貯蓄全体の傾向は


今調査の調査要目は先行する記事【普通乗用車より軽自動車が所有される時代…自動車の車種・世帯種類別普及率をグラフ化してみる(2015年)(最新)】を参照のこと。今回対象となる属性は、二人以上世帯のうち世帯主=本人が勤労者である、具体的には会社、官公庁、学校、工場、商店などに勤めている人。無職はもちろんだが、会社役員など、個人営業の人、自由業者も該当しない。また貯蓄の具体的仕切り分けや定義については先行記事【単身勤労者世帯の貯蓄性向の変化をグラフ化してみる(最新)】を参照のこと。なお二人以上世帯では世帯主の男女の区別は行われていない。

まず初めは貯蓄全体の傾向。いずれの種類でもかまわわず、とにかく貯蓄をしている人の割合。これに該当しない人は、原則として現金のみでやり取りを行い、金融機関の口座の類は有していないことになる。

↑ 世帯主年齢階層別貯蓄保有率動向(二人以上世帯のうち勤労者世帯)
↑ 世帯主年齢階層別貯蓄保有率動向(二人以上世帯のうち勤労者世帯)

年齢階層別ではわずかだが若年層の方が低く、年を経るに連れて保有率は上昇する傾向がある。また、調査年別では明らかに昔よりも今に近づく方が保有率が減っているのが確認できる。

これについて特に全国消費実態調査では補足説明は無いが、調査票を見るに「あなたの世帯では、●年●月末現在で貯蓄がいくらありますか」「ここでいう貯蓄には、家計用だけでなく個人営業のための分も含めます」とある。補足説明で「世帯主及びその家族の分は貯蓄に該当する」との但し書きはあるが、調査票にはその説明は無いことから、家計のやりくり用の口座を夫と妻で別々に保有して、そのいずれかあるいは双方を世帯のために使うスタイルを採用し、「世帯(全体)での貯蓄」の概念が無い生活をしている人が「貯蓄は無い」と回答した可能性は否定できない(要は夫と妻それぞれ別に貯蓄をしている)。昨今では金銭面でも個人主義が浸透しており、この可能性は否定できない。

他方、保有高では経年で大きな変化は無い。

↑ 世帯主年齢階層別貯蓄保有高動向(二人以上世帯のうち勤労者世帯、万円)
↑ 世帯主年齢階層別貯蓄保有高動向(二人以上世帯のうち勤労者世帯、万円)

若年層ほど保有高は低く、年を経るに連れて高くなるのは、同じように蓄財をすれば年数を重ねるほど増えていくのだから、納得できる動きではある。他方、経年変化では若年層から中堅層でいくぶん減る傾向があるが、保有率の減少が影響していると考えれば、実質的には誤差の範囲と見て取れる。

通貨性預貯金は保有率で大きな変化は無いが


続いて通貨性預貯金について。保有率は年を経るほどにいくぶん高くなる傾向があるが、大きな変化は無し。また経年でも法則だった動きは無い。

↑ 世帯主年齢階層別通貨性預貯金保有率動向(二人以上世帯のうち勤労者世帯)
↑ 世帯主年齢階層別通貨性預貯金保有率動向(二人以上世帯のうち勤労者世帯)

経年変化は各年齢階層とも5%内外の動きに留まっており、誤差の範囲とも解釈できる程度。

他方、保有高はきれいな形で傾向だった動きが確認できる。

↑ 世帯主年齢階層別通貨性預貯金保有高動向(二人以上世帯のうち勤労者世帯、万円)
↑ 世帯主年齢階層別通貨性預貯金保有高動向(二人以上世帯のうち勤労者世帯、万円)

蓄財の積み重ねや稼ぎの増加もあり、年上になるほど保有高が高くなるのは納得できる話。他方、調査年別では明らかに昔よりも今に近づくに連れて、保有高は増加する傾向がある。全体平均では1999年と比べて2014年では2倍以上の額に増えている。

漸減する定期性預貯金


「貯蓄」の言葉のイメージとしては通貨性預貯金よりもピッタリくる定期性預貯金。実のところ保有率は漸減する傾向にある。

↑ 世帯主年齢階層別定期性預貯金保有率動向(二人以上世帯のうち勤労者世帯)
↑ 世帯主年齢階層別定期性預貯金保有率動向(二人以上世帯のうち勤労者世帯)

若年層より高齢層の方が保有率が高いのは通貨性預貯金と変わらない。他方、調査年による動向では明らかに昔よりも今の方が保有率が低い。きれいな形で昔の方が高保有率、今に近づくに連れて保有率が低くなる動きをしている。若年層に限らず定期性預貯金離れが生じている。

当然、保有高も似たように減少している。

↑ 世帯主年齢階層別定期性預貯金保有高動向(二人以上世帯のうち勤労者世帯、万円)
↑ 世帯主年齢階層別定期性預貯金保有高動向(二人以上世帯のうち勤労者世帯、万円)

保有率との連動性もあることから、若年層の方が保有高は低く、高齢層ほど高い。しかし保有率の年齢による増加ぶりと比べると、保有高はより急なカーブになっていることから、保有している世帯別の保有高は、保有率の差異を大きく上回る形で高齢層の方が大きいことが容易に予想できる。

そして経年変化では保有率同様、昔の方が保有高は大きく、今の方が低い。保有高面でも定期性預貯金離れが確認できる。



経年変化に関して動向をまとめると、単身勤労者世帯とほぼ同様に「貯蓄そのものはいくぶん減りつつある」「通貨性預貯金では保有率に変化無し、保有高は増加」「定期性預貯金では保有率は減少、保有高も減少」となる。

通貨性預貯金と定期性預貯金を併用している人において定期性預貯金をしている人が減り、その分の貯蓄が通貨性預貯金に回ったとすれば、大よそつじつまは合う。また、世帯単位での貯蓄の概念が昔と今でずれが生じている可能性も否定できない。他方、定期性預貯金のみを貯蓄とする考え方ならば、「貯蓄性向は減少中」なる表現も間違っていないことになる。

定期性預貯金が減少している理由はいくつか考えられるが、その最たるものは金利がゼロとほぼ変わらない低率となり、流動性の低い定期性預貯金として預け入れるメリットがほとんど無くなったからだろう。さらに、クレジットカードをはじめとして現金以外の支払い手段が増え、流動性の高い口座にある程度の金額を用意しておく必要性が増したのも、通貨性預貯金の必要性と保有高の積み増しの理由としては納得できる。公共料金や家賃をはじめ自動引き落としのサービスが増えているのも、流動性預貯金の保有高を高い水準で維持する理由の一つになる。

金利の低下とお金の利用環境の変化が、貯蓄のスタイルを変えていく。そう考えれば、貯蓄性向の変化も納得ができる次第ではある。


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