単身勤労者世帯の貯蓄性向の変化をグラフ化してみる(最新)

2017/12/07 05:12

2017-1205お金は物品やサービスなどの価値を数量化して保存できる仕組みであり、現金として手元に置く他に、様々な形で専用の機関に預け入れ、財として積み増していくことができる。これを蓄財や貯蓄と呼んでいるが、貯蓄性向はどのような変化を示しているのだろうか。今回は総務省統計局が2015年9月30日に発表した【「2014年全国消費実態調査」】の結果を基に、単身勤労者世帯における貯蓄性向の移り変わりを、貯蓄全体と、通貨性預貯金、定期性預貯金の動向から確認していく。

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貯蓄全体の傾向は


今調査の調査要目は先行する記事【普通乗用車より軽自動車が所有される時代…自動車の車種・世帯種類別普及率をグラフ化してみる(2015年)(最新)】を参照のこと。今回対象となる属性は、単身世帯のうち世帯主=本人が勤労者である、具体的には会社、官公庁、学校、工場、商店などに勤めている人。無職はもちろんだが、会社役員など、個人営業の人、自由業者も該当しない。

全国消費実態調査では貯蓄を次のように分類している。

・通貨性預貯金…普通銀行など、郵便貯金銀行(ゆうちょ銀行)。普通預貯金などが該当

・定期性預貯金…普通銀行など、郵便貯金銀行(ゆうちょ銀行)。定額郵便貯金、定期預貯金などが該当

・生命保険など

・有価証券…株式、株式投資信託、債券・公社債投資信託、貸付信託・金銭信託

・その他

今回はそのうち貯蓄全体と、通貨性預貯金と定期性預貯金について見ていく。生活資金の保全口座として用いる(公共料金やクレジットカードの引き落とし先、給与の振り込み先、普段の生活費としての現金を引き出す場)口座は通貨性預貯金となるので注意が必要。また、手持ちの現金や知人への貸金などは貯蓄には該当しない。

なお平均貯蓄保有高は貯蓄をしていない人・している人合わせた上で平均を算出しているため、貯蓄保有率が少なからず影響する(貯蓄をしていない人は貯蓄保有高=ゼロとして計上される)。

まず初めは貯蓄全体の傾向。いずれの種類でもかまわわず、とにかく貯蓄をしている人の割合。これに該当しない人は、原則として現金のみでやり取りを行い、金融機関の口座の類は有していないことになる。

↑ 年齢階層別貯蓄保有率動向(単身勤労者世帯、男性)
↑ 年齢階層別貯蓄保有率動向(単身勤労者世帯、男性)

↑ 年齢階層別貯蓄保有率動向(単身勤労者世帯、女性)
↑ 年齢階層別貯蓄保有率動向(単身勤労者世帯、女性)

直近年においては、年齢階層別では男女とも高齢層の方が保有率はいくぶん低めに見える。現金決済に限れば口座保有の必要は無いので、何らかのこだわりや面倒くささによるところもあるのだろう。あるいはタンス預金こそが一番安全と考えているのか。男女別では男性よりも女性の方がわずかだか貯蓄性向は高め。

経年変化では大きな変化は無いように見えるが、直近年の2014年ではわずかに減っているのが確認できる。とはいえ数%ポイントの差異でしかなく、次回調査の動向を見極めたいところではある。

↑ 年齢階層別平均貯蓄保有高動向(単身勤労者世帯、男性、万円)
↑ 年齢階層別平均貯蓄保有高動向(単身勤労者世帯、男性、万円)

↑ 年齢階層別平均貯蓄保有高動向(単身勤労者世帯、女性、万円)
↑ 年齢階層別平均貯蓄保有高動向(単身勤労者世帯、女性、万円)

貯蓄保有高は、男女の差異はほとんど無し。高齢層でやや男性が多い程度か。年齢階層別では当然ながら高齢層の方が高い値を示している。一部で60代から70歳以降で落ちる傾向が出ているのは、定年退職後に貯蓄の切り崩しで生活しているからだろう。

経年別では大きな変化は無し。あえていえば少しずつ貯蓄保有高は増えているように見受けられる。

通貨性預貯金はどうだろうか


続いて通貨性預貯金に限った動向。

↑ 年齢階層別通貨性預貯金保有率動向(単身勤労者世帯、男性)
↑ 年齢階層別通貨性預貯金保有率動向(単身勤労者世帯、男性)

↑ 年齢階層別通貨性預貯金保有率動向(単身勤労者世帯、女性)
↑ 年齢階層別通貨性預貯金保有率動向(単身勤労者世帯、女性)

直近年分となる2014年では、男女間で際立った違いは無し。年齢階層別では特に男性において、年を取るほど保有率が低くなる傾向がある。上記でも触れているが、現金第一主義、タンス預金万歳的な傾向があるのだろうか。

他方経年別では傾向だった値の動きは見られない。若年層から中堅層でやや増加する動きがあるかな、という程度。

↑ 年齢階層別平均通貨性預貯金保有高動向(単身勤労者世帯、男性、万円)
↑ 年齢階層別平均通貨性預貯金保有高動向(単身勤労者世帯、男性、万円)

↑ 年齢階層別平均通貨性預貯金保有高動向(単身勤労者世帯、女性、万円)
↑ 年齢階層別平均通貨性預貯金保有高動向(単身勤労者世帯、女性、万円)

保有高動向では明らかに女性よりも男性の方が保有高は大きい。特に2014年では全体平均で約100万円もの差が出ている。年齢階層別ではどの調査年でも大よそ若年層ほど低めで、年を取るに連れて高くなる傾向。

そして調査年別では明らかに昔よりも今の方が保有高は高くなる傾向が見受けられる。特に2009年から2014年にかけては大きく積み上げられているのが分かる。

定期性預貯金は…


貯蓄という概念では通貨性預貯金よりもしっくりくるかもしれない、定期性預貯金の動向だが、実のところ保有率は減少傾向にある。

↑ 年齢階層別定期性預貯金保有率動向(単身勤労者世帯、男性)
↑ 年齢階層別定期性預貯金保有率動向(単身勤労者世帯、男性)

↑ 年齢階層別定期性預貯金保有率動向(単身勤労者世帯、女性)
↑ 年齢階層別定期性預貯金保有率動向(単身勤労者世帯、女性)

どの調査年でも大よそ年齢階層別では年が上になるほど保有率は高くなる。男女別では女性の方が高い傾向。他方、調査年別では一部例外も見られるが、昔よりも今の方が大よそ保有率は減少していく傾向が確認できる。今は昔よりも、定期性預貯金を保有している人は少ない次第。

↑ 年齢階層別平均定期性預貯金保有高動向(単身勤労者世帯、男性、万円)
↑ 年齢階層別平均定期性預貯金保有高動向(単身勤労者世帯、男性、万円)

↑ 年齢階層別平均定期性預貯金保有高動向(単身勤労者世帯、女性、万円)
↑ 年齢階層別平均定期性預貯金保有高動向(単身勤労者世帯、女性、万円)

保有高では高齢層で一部イレギュラーな動きがあるが、大よそ男性よりも女性の方が高い。保有率が高いのだから当然ではあるのだが。また年齢階層別では大よそ若年層が低く、高齢層ほど高めとなる。

経年変化では大きな動きは無し。中堅層で増加、若年層と高齢層で減少し、全体ではほぼ同額。保有率が減っていることと併せて考えれば、定期性預貯金を保有している人に限ると保有高は増加していることになる。



経年変化に関して動向をまとめると、「貯蓄そのものは大よそ変化無し、直近年でいくぶん減った程度」「通貨性預貯金では保有率に変化無し、保有高は増加」「定期性預貯金では保有率は減少、保有高は変わらず」となる。

通貨性預貯金と定期性預貯金を併用している人において定期性預貯金をしている人が減り、その分の貯蓄が通貨性預貯金に回ったとすれば、大よそつじつまは合う。そして定期性預貯金のみを貯蓄とする考え方ならば、「貯蓄性向は減少中」なる表現も間違っていないことになる。

定期性預貯金が減少している理由はいくつか考えられるが、その最たるものは金利がゼロに限りなく近づき、流動性の低い定期性預貯金として預け入れるメリットがほとんど無くなったからだろう(自分の意思の弱さに負けないよう、あえて手をつけがたい口座に預けるぐらいだろうか)。加え、クレジットカードをはじめとして現金以外の支払い手段が増え、流動性の高い口座にある程度の金額を用意しておく必要性が増したのも、通貨性預貯金の必要性と保有高の積み増しの理由としては納得できるものがある。

金利の低下とお金の利用環境の変化が、貯蓄のスタイルを変えていく。そう考えれば、貯蓄性向の変化も納得ができるというものだ。


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