60年あまりに渡る収入と税金の変化をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))(最新)

2017/12/05 05:13

2017-1204社会環境の変化や医療技術の発展、人口構成比の変化に伴い、可処分所得や社会保険料の負担度合いが大きく変化しているとの指摘がある。今回は総務省統計局が2017年2月17日にデータ更新(2016年・年次分反映)を行った【家計調査(家計収支編)調査結果】を基に、その実情を確認していくことにする。

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実収入と非消費支出、可処分所得の実情


次以降に示すのは、家計調査(家計収支編)調査の公開値のうち、実収入や可処分所得、社会保険料が長期的に継続取得可能な対象となる、二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)における各種家計事情。原則として各年における平均月額を精査対象としている。また、2007年までは農林魚家世帯を除き、2008年以降は加えているため厳密な連続性は無いが(2008年の値がいくぶん不規則となっている)、2008年の時点で農林魚家世帯が占める比率は0.4%に留まっているため、目をつむることにする。

実収入をはじめとした各種用語の意味に関しては先行記事【収入と税金の変化をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))】を参照のこと。

まずは実収入と非消費支出、可処分所得の推移を見ていくことにする。なお実額であり、消費者物価は配慮されていないことに注意。

↑ 実収入と非消費支出・可処分所得の推移(月額)(円)(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))(-2016年)
↑ 実収入と非消費支出・可処分所得の推移(月額)(円)(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))(-2016年)

↑ 実収入と非消費支出・可処分所得の推移(月額)(円)(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))(2001年-)
↑ 実収入と非消費支出・可処分所得の推移(月額)(円)(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))(2001年-)

戦後少しずつ増加を見せた実収入だが、バブル期に向かって上昇幅を拡大、一時緩やかになるが再び大きな増加を示し、バブルの崩壊後は減少せずにほぼ横ばいを維持。実収入の最高額は1997年の59万4038円、可処分所得は1998年の49万8422円となる。それ以降は緩やかな下落を示しているが、【日米中のGDP推移を詳しく見ていく】でも指摘しているデフレ期の突入時期とほぼ一致しているのが興味深い…というよりは、デフレに突入したからこそ、実収入も減っていると見た方が道理は通る。

直近年となる2016年の可処分所得は43万4854円で前年比8011円のプラス。今世紀初頭の2001年における46万7353円と比べると3万2499円のマイナスとなる。

税金と社会保険料の実情は


これらの動向、実状がより分かりやすくなるのが次のグラフ。実収入に占める非消費支出、つまり直接税(所得税や住民税など)や社会保険料(公的年金保険料、健康保険料、介護保険料など)の割合の変化を示したもの。

↑ 実収入に占める非消費支出の割合(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))(-2016年)
↑ 実収入に占める非消費支出の割合(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))(-2016年)

↑ 実収入に占める非消費支出の割合(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))(2001年-)
↑ 実収入に占める非消費支出の割合(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))(2001年-)

↑ 実収入に占める税金や社会保険料比率(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))(-2016年)
↑ 実収入に占める税金や社会保険料比率(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))(-2016年)

↑ 実収入に占める税金や社会保険料比率(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))(2001年-)
↑ 実収入に占める税金や社会保険料比率(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))(2001年-)

直接税の負担はバブル期にかけて大きく増加したもののその後緩やかな減少、そして2005年からは再び上昇したものの2009年で天井を打ち、あとはほぼ横ばいで推移している。しかし一方で社会保険料の負担はバブル期以降一方的に増加するばかりで減少の機会はほとんど無く、結果として非消費支出の負担を押し上げる形となってしまっている。バブル期末期から2005年までの間において非消費支出の負担がほぼ横ばいだったのは、社会保険料の負担がゆるやかな上昇に留まっていたのに加え、直接税の負担が漸減していたからに他ならない。

非消費支出の増加は実質的に社会保険料の増加によるところが大きい。世帯あたりの社会保険料の額、比率が中長期的に増加しているのは、他の多数の記事で言及している通り、社会構造の複雑化・近代化に加え、高齢化に伴う医療をはじめとした社会保障負担の増加が要因である。



やや余談ではあるが、取得可能な最古の値となる1953年と直近となる2016年における、実収入に占める非消費支出・直接税・社会保険料の割合を比較したのが次のグラフ。

↑ 実収入に占める各種比率(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市))(1953年(農林魚家世帯を除く)、2016年)
↑ 実収入に占める各種比率(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市))(1953年(農林魚家世帯を除く)、2016年)

直接税の負担はほぼ同率、むしろ減っているが、社会保険料の負担は4倍強にまで増加し、結果として非消費支出の負担も2倍近くに増えている。可処分所得の目減りが何によるものか、容易に理解できるというものだ。

ちなみに社会保険料の推移を見たのが次のグラフ。「消費者物価指数配慮額」は直近年の物価をベースに、過去において直近年と同じ物価だったとしたらいくらになるかを試算したもの。

↑ 社会保険料推移(月額、円)(実額と消費者物価指数配慮額)(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))
↑ 社会保険料推移(月額、円)(実額と消費者物価指数配慮額)(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))

消費者物価を配慮しても、バブル期と比べて約2倍、1960年代と比べれば5倍以上に増加している。過去の水準のイメージのままで、現在の社会保険料の負担を述べるのは大きな間違いでしかないことが改めて理解できよう。


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