戦後の雑誌と書籍の発行点数をグラフ化してみる(「出版年鑑」編)(2016年)

2016/12/24 05:00

当サイトでは出版業界の動向に関して、毎年日本出版販売が発行している「出版物販売額の実態」をベースに継続分析を行っている。それとは別に総務省統計局の「日本の長期統計系列」「日本統計年鑑」でも、日本の出版事情を推し量れる公開値を得られた。そこで何回かに分け、その値を基に日本の出版業界動向を見ていくことにする。今回は「戦後における雑誌と書籍の発行点数の推移」の確認を行う。

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掲載場所は総務省統計局。まずは過去の長期時系列データだが、これは【日本の長期統計系列】内の【第26章 文化・レジャー】内に、出版ニュース社「出版年鑑」から取得した値として、1945-2005年までの書籍・雑誌の発行点数や平均単価、総発行部数、実発行部数、実売上などが掲載されている(金額など一部は2000年まで)。残念ながら「日本の長期統計系列」は2012年3月で更新作業を終了してしまったので、今後のデータ追加は望めない。

2005年分以降は、今回スポットライトを当てたもう一つの資料【日本統計年鑑】を用いる。ここでは同様に出版ニュース社「出版年鑑」から取得した値を確認できるのだが、発行点数「のみ」で、残念ながら実売額・発行部数などは一切未掲載。

歴史的な動向を知るには2005年までのものでも十分なのだが、今後のことを考えると、むしろインターネットや携帯電話が普及し始める2005年以降も含めた、継続的なデータによるグラフが精査の上では望ましい。そこで雑誌と書籍の発行点数のみを検証対象とすることにした。現時点では2014年分のものまで確認が可能。

↑ 雑誌点数推移(1945-2014年、「出版年鑑」ベース)
↑ 雑誌点数推移(1945-2014年、「出版年鑑」ベース)

↑ 雑誌点数推移(2001-2014年、「出版年鑑」ベース)
↑ 雑誌点数推移(2001-2014年、「出版年鑑」ベース)

↑ 書籍新刊点数推移(1945-2014年、「出版年鑑」ベース)
↑ 書籍新刊点数推移(1945-2014年、「出版年鑑」ベース)

↑ 書籍新刊点数推移(2001-2014年、「出版年鑑」ベース)
↑ 書籍新刊点数推移(2001-2014年、「出版年鑑」ベース)

雑誌は直近では2005年(4581点)をピークに低迷、書籍は2005年以降はやや落ち込みを見せたものの、ここ数年は再び増加の動きを見せる。リーマンショックで一時凹むも、その後はむしろ伸び方を加速させる。このあたりは冒頭で触れている「出版物販売額の実態」を元にした記事などでも分析した通り。ただし直近の2014年は前年から大きく値を落としており、2013年がピークでトレンドが下落に転じた可能性は否定できない。次年分以降の動向が大いに気になる動きではある。

グラフ全体を見直して目に留まるのは、1947-1948年における大きな伸び。特に雑誌は1947年に直近2014年の2倍に迫る、7249点もの雑誌が出版されている。これについては【新刊書籍・雑誌出版点数や返本率推移をグラフ化してみる】内で取り上げた「日本雑誌協会 日本書籍出版協会 50年史」内に次のような言及がある。

戦後復興と50年代の出版状況

終戦で各種統制が解除されて、出版が比較的自由にできるようになり、また書物の需要も急増するに伴い、1940年代後半には未曾有の出版ブームが到来している。「人びとは活字に飢えていたので、出版物であればなんでも売れるといわれるような状況が生まれ」、その結果が数字となって表れている。まるで任天堂の家庭用据え置き型ゲーム機・ファミリーコンピュータの展開当初における、ゲームタイトルの販売時期と同じ状況である。上記生成グラフにおける雑誌・書籍の急増も、これを反映したものとなる。

雑誌は2005年をピークに漸減を続けている。直近の2014年分でも減少の動きは止まっていない。書籍は上記にある通り漸増する挙動を見せていたが、直近では下落に転じた雰囲気を見せている。雑誌や書籍のような、印刷出版物界隈は、電子書籍の浸透、デジタル配信の一般化でその相対的社会価値観がゆらぐ一方、販売ルートとして重要視されながらも敬遠化が進んでいたコンビニで、その存在意義の見直しの動きが見られるなど、多様な環境変化が見受けられる。次回更新機会の際に追加される2015年分のデータでは、どのような動きを見せるのか、特に書籍の動向は大いに気になるところだ。


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