お年寄りの「一人ぼっち」状態の実情(最新)

2018/01/13 05:13

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2017-1128高齢化で問題視されている事柄の一つに「高齢者の一人ぼっちな状態」、いわゆる孤独化が挙げられる。会社も退職し、子供も家を出て、社会的活動もおっくうなものとなると、一人でいる時間が長くなる。他人とのコミュニケーションの機会が少なくなれば、性格的にも偏屈化するのは目に見えており、また何かトラブルが生じた時に対応が遅れる可能性もある(孤独死問題がよい例)。今回は総務省統計局が2017年7月14日以降順次結果を発表している2016年社会生活基本調査の結果を用い、高齢者の孤独状態の実情を確認していく(【平成28年社会生活基本調査】)。


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今調査の調査要綱は先行記事【ボランティア活動の実態】を参照のこと。

次に示すのは単身世帯、そして高齢者夫婦世帯(夫婦のみの世帯のうち、夫が65歳以上、妻が60歳以上の世帯)における、「一人でいた時間」の平均値。週全体平均なので平日5日分と土曜・日曜を合わせた上で7で除算している。また高齢者夫婦世帯における60-64歳の男性の値は、条件に合致しないので空欄となっている。

↑ 単身世帯及び高齢者夫婦世帯の60歳以上における一人でいた時間(2016年、週全体、1日あたり、時間:分)
↑ 単身世帯及び高齢者夫婦世帯の60歳以上における一人でいた時間(2016年、週全体、1日あたり、時間:分)

単身世帯と高齢者夫婦世帯とでは一人でいる時間に大きな差があり、当然単身世帯の方が長い結果が出ている。しかも単身世帯では年上となるに連れてますます時間が延びる傾向がある。再就職などで職場に足を運んでいれば他の就労者と共にいる時間もあるが、完全に職から離れてしまえばその機会も無い。歳が上になるに従い、職に就いている人も少なくなるため、当然一人でいる時間は長くなる。75歳以上は単身世帯では1日19時間強(睡眠時間含む)も一人でいる計算になる。

これが高齢者夫婦世帯になると、一人でいる時間は12時間から13時間に留まる形となる。しかも年を重ねても増えることは無く、むしろ減る傾向にある。夫婦でいる時間が長くなるのが、その理由。

↑ 高齢者夫婦世帯の家族といた時間(2016年、週全体、1日あたり、時間:分)
↑ 高齢者夫婦世帯の家族といた時間(2016年、週全体、1日あたり、時間:分)

心身の衰えと共に外出する気概も減ってしまうのだろう。また、年と共に睡眠時間が延びていくのも、夫婦一緒にいる時間が延びる理由ではある。



一応注釈をしておくと、一人暮らしにおける孤独感は、昔と比べて現在では随分と解消できる手段を確保することができる。自分以外の挙動を知るのには、昔ならばリアルタイムではテレビやラジオ、タイムラグが生じる形で新聞や雑誌程度でしか無く、しかも情報は受け取るばかりで自分から発信することはかなわない。後は外出するか電話をかけるしかなかった。

ところが現在ではインターネットを用いることで、リアルタイムでもタイムラグの生じる情報でも自由自在に取得できるだけで無く、自ら情報を発信してその反応を得ることもできるようになっている。少なくとも精神的な「一人ぼっち」状態は、随分と緩和できるのではないだろうか。


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