若年層で大きく伸びる趣味の時間…年齢階層別に見た趣味・娯楽の時間の実情と過去からの変化(最新)

2017/12/02 05:13

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2017-11241日は24時間しか無く、しなければならないことも沢山あるため、自分の趣味に充てられる時間は限られたものとなる。しかしどれほど忙しい時でも、自分の好きな物事に没頭できる時間が無いと気力は失われ、効率も落ちてしまう。自分の興味に注力できる時間は、生活における潤滑油のようなものに違いない。今回は総務省統計局が2017年7月14日以降順次結果を発表している2016年社会生活基本調査の結果を用いて、趣味・娯楽に費やす時間の実情と、過去からの変化を確認していくことにする(【平成28年社会生活基本調査】)。


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今調査の調査要綱は先行記事【ボランティア活動の実態】を参照のこと。

今調査では生活様式に関して「睡眠」「身の回りの用事」「食事」「通勤・通学」「仕事(収入を伴う仕事)」「学業(学生が学校の授業やそれに関連して行う学習活動)」「家事」「介護・看護」「育児」「買物」「移動(通勤・通学を除く)」「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」「休養・くつろぎ」「学習・自己啓発・訓練」「趣味・娯楽」「スポーツ」「ボランティア活動・社会参加活動」「交際・付き合い」「受診・療養」「その他」の20に区分している。

今回はこの中で「趣味・娯楽」の動向を確認する。具体的には「映画・美術・スポーツなどの観覧・鑑賞、観光地の見物、ドライブ、ペットの世話、ゲーム機で遊ぶ、趣味としての読書(漫画含む)、クラブ活動・部活動で行う楽器の演奏」「菓子作り・園芸・日曜大工など、趣味で行っている場合は該当」「部活動もあわせたスポーツ活動や釣り、運動としての散歩は該当しない」である。

なおスマートフォンによるアプリの利用は説明には無いものの、回答者が「趣味・娯楽」として認識しやすいことから、多分に該当するものと考えられる。ただしLINEなどのチャットやソーシャルメディアの利用の場合、その一部は「交際・付き合い」にも回答が分散している可能性はある。また、いわゆる「ながら行為」による時間は含まれない。あくまでも主行動の時間であることに注意が必要。

↑ 男女、年齢階層別趣味・娯楽の時間(2016年、週全体、1日あたり、時間:分)
↑ 男女、年齢階層別趣味・娯楽の時間(2016年、週全体、1日あたり、時間:分)

すべての階層で男女間では男性の方が長く、最大で20代前半では2倍近い差が生じている。公開データの限りでは女性は趣味・娯楽の時間が短い分、「交際・付き合い」「身の回りの用事」が長い傾向が確認できる。プライベートの時間の過ごし方において、男女でスタイルが異なるということだろう。

男女とも一番長い年齢階層は20代前半、次いで20代後半。大学生か、あるいは就職して間もない時期。一人暮らしの人も多く、自分の好きなことができる時間を多く割けるのだろう。しかし仕事が忙しくなり、また結婚などで一人暮らしでなくなると、自分の趣味に費やす時間も取れなくなり、少しずつ時間は減っていく。30代以降は男女間の差が縮まっていくことから、男女とも就業や家事、育児に多忙となり、男性は特に自分自身への趣味を楽しむ時間を削っているものと考えられる。

60代以降になると仕事から離れる人も多くなるため、時間は伸びていく。高齢層でのピークは70代後半。それ以降短くなるのは、「睡眠」のような生理的行動、「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」に代表される受動的な時間の費やし方に日々の生活の内容がシフトしていくため。

今回調査結果の2016年だけでなく、過去のデータも併せて動向を確認したのが次のグラフ。過去の調査では年齢階層の仕切り分けが直近分と異なる場合があり、その分は空白となっているため、1986年と1991年では断片的な値しか反映されていない。全調査年で継続して値が確認できるのは、10代後半と20代前半・後半、60代前半と後半のみである。

↑ 年齢階層別趣味・娯楽の時間(1986年〜、週全体、時間:分、一日あたり)
↑ 年齢階層別趣味・娯楽の時間(1986年〜、週全体、時間:分、一日あたり)

先行記事【年齢階層別に見た休養や4マス接触などの自由時間動向】で似たようなグラフを生成して解説しているが、前世紀の調査分まで範囲を伸ばしたことで、別の動きも確認できる。断片的な値しかないので1986年と1991年の部分は推測となるが、前世紀までは趣味・娯楽の時間のピークは20代前半ではなく60代後半だった。それが生活様式、特に娯楽方面の多様化に伴い、若年層の注力時間が延び、今世紀に入ってからは20代前半がピークとなるような動きをしている。60代前半も含む中堅層から定年退職をするぐらいまでは、むしろ時間が短くなっているのが興味深い。

20代前半を中心とする若年層における趣味・娯楽の時間の伸び方は著しく、グラフの上でもそれが顕著になって現れている。単純に世代がシフトしたわけではなく、この層を取り巻く環境が大きく変化した結果だろう。


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