「軍政は自国にとってよい仕組みである」世界の認識をグラフ化してみる

2017/11/23 05:21

政派間の政治的対立が激化し国内が混乱した時に中立性を保持する具体的力を持つ勢力として国内の正常化を望むために国民に後押しされる形で、災害や外圧、治安悪化などで国内が極度に混乱して強力な具体的行使力でないと沈静化が難しい時、さらには軍内部の政治的意図を持つ集団(大抵は軍指導部)によるクーデターの結果として、軍が前面に出て秩序の維持に留まらず、政治的な面での施策(行政)を行うことがある。これを軍政(軍事政権による施政)と呼んでいる。その特質性から独裁体制との結びつきも強いことでも知られている。今回はその軍政による施政の仕組みを世界の人達は自国に受け入れられる仕組みだと考えているかについて、アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年10月16日に発表した調査報告書【Globally, Broad Support for Representative and Direct Democracy】から確認する。

スポンサードリンク


今調査の調査要綱は先行記事【「あなたの国では民主主義が満足できるほどに機能している?」世界の人に聞いてみました】を参照のこと。

次に示すのは冒頭でも解説した軍政(軍事政権による施政)について、回答者の国での導入について、よいことであるか、悪いことであるかを尋ねた結果(導入の度合いは設問上では記されていない。仕組みそのものの是非を問われている)。肯定派(「とてもよい」「よい」)は青系統、否定派(「悪い」「とても悪い」)を赤系統で着色している。

↑ 軍政は自国にとってよい仕組みか悪い仕組みか(2017年春)
↑ 軍政は自国にとってよい仕組みか悪い仕組みか(2017年春)

具体的な値は公開されていないが、報告書では調査国全体の中央値として、肯定派は24%であると記している。ただしアフリカに限れば中央値は46%、アジアならば41%と肯定派は半数近くを示し、地域による軍政へのイメージが多分に異なることがうかがえる結果となっている。

肯定派が一番多いのはベトナムで70%。報告書ではベトナム戦争時代において、北ベトナムが共産党との密接な関係を持ちながら軍政的な支配体制をしていたことから、これを懐かしむ人が多いのかもしれないと説明している。実際、50歳以上に限れば46%が「とてもよい」としているが、18-29歳では23%に留まっている。

インドや南アフリカでも肯定派は多いが、これらの国ではベトナムとは逆に、高齢層の方が肯定派が低い結果が出ているとのこと。また南アフリカでは黒人による肯定派が55%なのに対し、白人は38%でしかない。

歴史的背景からかヨーロッパでは一様に肯定派が低い。ただし国粋主義的思考を持つ人たちは比較的肯定派が高い傾向があるという。例えばフランスの場合は31%が肯定派だとのこと。他方アフリカや南米を中心に、低学歴ほど軍政を肯定する傾向が強いとのこと。

↑ 軍政は自国にとってよい仕組みか悪い仕組みか(「とてもよい」「よい」の合計が学歴差で有意な差異のついた国)(2017年春)
↑ 軍政は自国にとってよい仕組みか悪い仕組みか(「とてもよい」「よい」の合計が学歴差で有意な差異のついた国)(2017年春)

日本でも低学歴では軍政への肯定者が比較的多い。軍やそれに類するイメージが多分に反映されているのだろうか。


■関連記事:
【米一般人・有識者共に約8割が「在日米軍は米国自身の安全保障にとって重要」(最新)】
【諸外国の人たちがどんな組織・制度に信頼を寄せているかをグラフ化してみる(上)……日本編(2010-2014年)(最新)】
【諸外国の人たちがどんな組織・制度に信頼を寄せているかをグラフ化してみる(下)……諸外国編(2010-2014年)(最新)】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー