「直接民主主義制度は自国にとってよい仕組みである」世界の認識をグラフ化してみる

2017/11/19 05:18

選挙によって選ばれた議員による治世ではなく、共同体に住む人が直接意思決定に参加して法を定めて施策を決定する社会統治の仕組みを、直接民主主義制度と呼んでいる。現在はほとんどの国が間接民主主義制度を主に採用しているが、一部で住民投票や国民投票のような直接民主主義制度を併用している国もある。この直接民主主義制度について、人々はどのような感想をいだいているのだろうか。アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年10月16日に発表した調査報告書【Globally, Broad Support for Representative and Direct Democracy】を元に、その実情を確認する。

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今調査の調査要綱は先行記事【「あなたの国では民主主義が満足できるほどに機能している?」世界の人に聞いてみました】を参照のこと。

次に示すのは直接民主主義制度について、回答者の国での導入について、よいことであるか、悪いことであるかを尋ねた結果(導入の度合いは設問上では記されていない。仕組みそのものの是非を問われている)。肯定派は青系統、否定派を赤系統で着色している。

↑ 国民が直接投票によって法を定めて治世を行う直接主義制は自国にとってよい仕組みか悪い仕組みか(2017年春)
↑ 国民が直接投票によって法を定めて治世を行う直接主義制は自国にとってよい仕組みか悪い仕組みか(2017年春)

全体の平均値・中央値は公開されていないが、報告書では「全体では約2/3が支持を受けている」とあり、調査対象国全体の平均値あるいは中央値は肯定派が約2/3であることが分かる。

肯定派がもっとも多いのはトルコの84%、レバノンの83%やケニアの80%も高い値を示している。また日本では第二次世界大戦後に国民投票の機会はなかったが、65%もの肯定派がいるのは注目に値する。

間接民主主義制度の場合と比べて、直接民主主義制度への姿勢は、地域別による違いは見られない。特定国、例えばヨルダンやチュニジア、ブラジルで低めの値が出ている、ヨーロッパでもスウェーデンやイギリス、オランダではやや低めの結果となっているのが目に留まる程度。あえていえばアフリカや南米では強い否定派の意見が多めに出ているぐらいだろうか。

具体的な値はほとんど開示されていないが、報告書ではいくつかの他調査項目との連動について言及している。

・米国やドイツ、オランダでは低学歴の人ほど肯定派が多い。逆に南米では高学歴の人ほど肯定派が多い(低学歴の人は「よいか否か判断できない」可能性があるとの指摘)。

・南米では若年層で肯定派が多い。また米国では30-49歳層で肯定派が多い。

・ヨーロッパではポピュリズム主義者で肯定派が多い。ドイツではAfD(「ドイツのための選択肢」党。反EU主義を掲げ、移民問題にも反対している)支持者の肯定派が84%に達している。

例えば2016年6月にイギリスで実施された「イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票」が好例だが、間接民主主義制度を導入している国でも国全体の大きな指針となるような事案には、直接民主主義制度の一つである国民投票が用いられることが多い。また小規模な共同体では民主主義の原点でもある直接民主主義制度が採用されている場所も少なくない。

他方直接民主主義制度では意見集約に手間と時間がかかる、意見が極論化されやすくなったりまとまりがつかなくなりやすい、ポピュリズム化の傾向がある、メディアなどの扇動に惑わされやすいなどの欠点もある。意見集約の問題は昨今の新技術(インターネットなど)によってある程度解消は可能だが、他の問題は解決のハードルは高い。

あるいは現状のような、直接民主主義制度と間接民主主義制度を組み合わせたような状態が一番妥当性のある仕組みなのかもしれない。


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