図書館や教科書の市場動向をグラフ化してみる(最新)

2017/10/29 05:09

2017-1021出版物に出会う機会は書店や通販経由による購入ルートに限らない。図書館や学校でもさまざまな出版物に巡り合うことができる。今回は日販による『出版物販売額の実態』最新版(2017年版)をもとに、それら図書館による調達市場や教科書の市場の実情を確認していくことにする。

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図書館市場は810億円


『出版物販売額の実態』では現時点で2014年度から直近年度となる2016年度までの3年度分の図書館市場や教科書市場の実情を取得可能。そこでまずは図書館の市場を精査する。なお私立図書館の購入額は計上されていないので、図書館の全体としての市場規模はもう少し大きなものとなる。

↑ 図書館市場規模(億円)
↑ 図書館市場規模(億円)

↑ 図書館市場規模(前年度比)
↑ 図書館市場規模(前年度比)

直近年度の図書館市場規模は810.3億円。そのうち小学校が100.1億円、中学校が74.1億円、高等学校が41.9億円、大学・短大・高専が大きめの343.1億円、そして公共図書館が251.1億円となっている。

前年度比ではすべての属性で減少。特に小学校が1割近い減少を示している。少子化の傾向があるとはいえ、それをはるかに上回る規模の下げ幅。情緒教育にも学校の図書館は大いに有益であるはずなのだが。

教科書市場は740億円


続いて教科書市場。こちらには高等学校までの教科書に加え、特別支援学校、そして教師用の教科書も合算している。

↑ 教科書市場規模(億円)
↑ 教科書市場規模(億円)

↑ 教科書市場規模(前年度比)
↑ 教科書市場規模(前年度比)

直近年度の教科書市場規模は740.2億円。そのうち小学校が245.1億円、中学校が180.0億円、高等学校が252.8億円、特殊支援学校0.8億円、そして教師用が61.5億円となっている。

経年変化では図書館同様に減少傾向にあるのだが、教師用の下げ幅が異様な形となっている。前年度比で実にマイナス67.8%。2014年度と比べると直近年度の2016年度は1/4程度の額にまで落ち込んでいる。

この動きに関して日販側に確認したところ、それぞれの年度に改定され更新が必要な教科書の種類によるものとのこと。例えば2014年度は小学校全般、2015年度は中学校全般、2016年度は高校の一部学年・教科が対象となっている。それぞれの市場規模は異なるため、結果として金額も変わり、たまたま今回の公開範囲だけに限れば、大きく減少しているように見えたまでの話。実際に市場規模が急激に減少したわけではない。今後経年でデータが蓄積されれば、見た目だけによる「急激な減少」の印象もなくなるはずだ。



一部では図書館の立ち位置こそが出版業界を圧迫しているとの意見もあるが、図書館の蔵書にしても教科書にしても、出版物を介して書に触れる大切な機会に違いない。特に教育機関で用いる出版物は、教育の大切な道具であり、支えとなるものに他ならない。出版物を敬愛する人を底上げするためにも、図書館や教科書市場へのリソース投入の拡大を、各方面には願いたいところではある。


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※各グラフで最新年度以外の数字が表記されていませんが、これは資料提供側の指示によるものです。何卒ご理解ください
(C)日販 営業推進室 書店サポートチーム「出版物販売額の実態 2017」

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