コンピューターが採用人事を決める時代、来るか来ないか・望むか望まないか、米国の人達の考えをグラフ化してみる

2017/10/25 05:06

2017-1016企業において採用人事は非常に重要な業務。採用した新人は企業の構成員となり、将来を決定づける大きな要素となるからだ。それゆえに求職者の採用・不採用には多様な条件をもとに慎重な判断が必要となるが、昨今では採用判断にコンピューターのプログラムを用いる企業が見受けられるようになった。現状ではサポートの立ち位置に留まっているが、効率が上がったとの話も見聞きする。それでは振り分けられる側となる求職者側は、コンピューターのプログラムが採用判断を行うことにどのような思いを抱いているのだろうか。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年10月4日に発表した、技術と人々の暮らしに関わる調査結果【Automation in Everyday Life】を元に、同国における実情を確認していく。

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今調査の調査要綱は【技術の発展は自分の仕事にどのような影響を与えているのか、米国就業者の思いをグラフ化してみる】を参照のこと。

まずは「コンピューターのプログラムが求職者の採用判断」を人の関与なしに行う、つまり完全に人事判断をコンピューターのプログラムのみで実施する企業が登場する可能性について、それがありうるとの話を見聞きしたり自分で考えたことがあるかと、その実現性について聞いた結果。

↑ コンピューターのプログラムが人の関与なしに求職者の採用判断を行うことが将来あると見聞きしたり考えたことはあるか・実現すると思うか(2017年5月、米国、18歳以上)
↑ コンピューターのプログラムが人の関与なしに求職者の採用判断を行うことが将来あると見聞きしたり考えたことはあるか・実現すると思うか(2017年5月、米国、18歳以上)

サポートのレベルなら極論として履歴書の記載事項のデータの整理や抽出もコンピューターのプログラムによるものとなるので、すでにほとんどの企業が実施しているはずだが、人が関与せずに求職者の採用・不採用を決定してしまう仕組みを持つ企業の登場に関しては、懐疑的な考えを持つ人の方が多数に及ぶ。

しかしながら現実性の度合いでは、多数の企業が将来はそうなるだろうと考えている人は12%、そこそこの企業がその仕組みを用いるに違いないとの人は47%と、合わせて6割近くの人はそれなりに普及するだろうと考えている。機械化、自動化が推し進められているのは世の常のため、採用人事にも適用されても何ら不思議はないということか。

それでは仮に、そのような企業があった場合、求職したいと思うだろうか。報告書の限りでは特に補足はないものの、その企業のみ求職したい企業がなかったとの仮定ではなく、同等の労働条件が提示され、採用人事が完全なコンピューターのプログラムであるか否かで複数の企業の選択肢があった場合、いずれを選ぶのかと考えればよいだろう。また最初の設問では明記されていた「完全にコンピューターのプログラムのみの判断」との説明もないが、事実上人の関与なしに採用・不採用が決定されるとの解釈で問題はない。

↑ コンピューターのプログラムが求職者の採用判断を行うような仕事に求職したいか(求職したい人の割合)(2017年5月、米国、18歳以上)
↑ コンピューターのプログラムが求職者の採用判断を行うような仕事に求職したいか(求職したい人の割合)(2017年5月、米国、18歳以上)

全体では22%が求職したいと答えている。報告書の限りでは76%は求職したくない、2%はその他無回答。コンピュータのプログラムのみで採用が判断される企業は、あまり人気が無いようだ。

属性別では男性、若年層、高学歴ほど求職したいとの意見は増える。しかし最大でも18-29歳の37%で、過半数には及ばない。性別はともかく若年層と高学歴は、新技術への好奇心や自分がよく判断されるとの自負によるものだろう。

残念ながら属性別の具体的数字は非公開だが、求職したい・したくない人それぞれに、その理由を聞いた結果から、若年層や高学歴が比較的コンピュータのプログラムのみでの採用判断に寛容な理由が透けて見える。

↑ コンピューターのプログラムが求職者の採用判断を行うような仕事に求職したい/したくない主な理由(2017年5月、米国、18歳以上)
↑ コンピューターのプログラムが求職者の採用判断を行うような仕事に求職したい/したくない主な理由(2017年5月、米国、18歳以上)

求職したい人の理由のトップは「人よりも公平」。人による判断では見かけなど印象による好き嫌いといった、企業の採用に本来関係のない部分で、人事担当者の偏見が影響する可能性があるが、コンピューターのプログラムならばそれもないだろうという期待。技術に対する信頼が多分ににじみ出ている。次いで「自分は高評価される」「評価に合わせた姿勢を見せられる」が10%。つまり自分は数量的な評価に自信がある、評価判断の対策を練ることができるとするもの。

他方求職したくない人のトップは「プログラムが求職者の全てを掌握できるわけではない」で41%。要は数量化できる値だけでは、人の実力を見極めることはできないとするもの。次いで「非人間的過ぎる」が20%。これは介護ロボットの話でも挙がっていた指摘だが、機械任せにすることで自分がモノ扱いされた気分になり、どれほど公平な、合理的なものでも、否定的感情が生じてしまうとするものだ。

コンピューターのプログラムの判断で人事採用をするにしても、結局はその判断の材料となるデータは人が打ち込むものであり、変更のできない値(年齢や性別、資格や経験年数)以外は、入力者のさじ加減となる。また、その入力値を元に行われる振り分けの条件付けも、人が決定するもの。「コンピューターのプログラムのみで採用判断」も人による判断とさほど違いはないのが実情ではあるのだが。


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