米国では若年層の6%は新技術の導入で職を失った経験がある

2017/10/21 05:07

新しい技術の開発と普及で、人々はより生産性を高め、安全性を確保し、快適な就業環境の中で仕事ができるようになる。しかしそれは同時に、人が手掛けていた部分を機械に任せられることを意味し、そこで働く人の職を奪うことにもなる。新技術の導入で失職や賃金減を経験した人はどれほどいるのだろうか。アメリカ合衆国の事情を、同国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年10月4日に発表した、技術と人々の暮らしに関わる調査結果【Automation in Everyday Life】を元に確認していく。

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今調査の調査要綱は【技術の発展は自分の仕事にどのような影響を与えているのか、米国就業者の思いをグラフ化してみる】を参照のこと。

先行記事にある通り、ワープロやスマートフォン、電子メール、工業用ロボットなど多様な新技術の導入は、就業者の多くは仕事にプラスになると感じている。

↑ 各技術が自分の仕事に与えている影響(2017年5月、米国、18歳以上の就業者)(再録)
↑ 各技術が自分の仕事に与えている影響(2017年5月、米国、18歳以上の就業者)(再録)

他方、新しい技術は既存の技術に従事していた人、代替する仕事に就いていた人の立場を奪うことになる。例えば昨今大手デパートで見かけるようになったセルフレジは、レジ打ちの人の分の人件費削減と人材確保難の解消が主な導入理由だが、同時にレジ打ちの仕事の機会が減ることを意味する。

新技術の導入が雇用主の判断で行われた結果、失職をしてしまう人、仕事領域が減って賃金が減らされたり労働時間が削られてしまった経験を持つ人は、どれほどいるのだろうか。属性別に見たのが次のグラフ。回答対象者は現在就業している人限定では無いことに注意。

↑ 雇用主の判断による機械やロボット、プログラムの導入で仕事や立場を失い、次のような経験をしたことがあるか(2017年5月、米国、18歳以上)
↑ 雇用主の判断による機械やロボット、プログラムの導入で仕事や立場を失い、次のような経験をしたことがあるか(2017年5月、米国、18歳以上)

全体では2%の人が失職、5%の人が賃金減や労働時間減を経験している。技術進歩の際の対価として切り捨てるのか、それとも重大な損失と見るべきか、判断は難しい。

もっとも属性別に見ると、単純にコスト的なものとして割り切るのは問題である実情も見えてくる。年齢階層別に見ると25歳以上は現役層に限れば大よそ同じ値だが、18-24歳に限れば失職経験率は6%、賃金減や労働時間減経験率は11%にも及んでいる。その層は就業年数そのものもまだ少ないことから、その中で経験率が高いのならば、実態としては上の年齢層よりも厳しい現状がうかがえる。イメージ的には新技術に対応するのが難しい高齢層の方が、失職などの経験を多く持つような気がするが、実態としてはむしろ若年層の方が高い。

これは多分に、経験や技術のつたない、まだ組織内でそれなりに必要な立場についていない若年層の仕事の方が、新技術に置き換えられやすいことによるものだろう。まだ人がやらねばならない仕事は新技術の導入でもその座を奪われることはないが、上記のセルフレジの例のように、単純な仕事は新技術に差し替えられ、従事していた人の立場は失われることになる。

人種別では白人よりも黒人、ヒスパニックの方が、年収別では低年収者の方が、就業形態別ではフルタイムよりもパートタイムの方が、新技術によって就業上の立場を失った、一部奪われた率は高い。新技術は単純な作業の自動化・非人力化が主な方向性だが、それによりその立場に従事していた人が取って代わられる実情を、改めて認識できる結果ではある。


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