技術の発展は自分の仕事にどのような影響を与えているのか、米国就業者の思い

2017/10/16 05:00

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技術の発展は人々の生活を大きく変えていく。より快適に、より安全に、より効率的に、より無駄なく、より高速に成果を生み出すために開発された技術や道具は、仕事の様相を一変させることも少なくない。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年10月4日に発表した、技術と人々の暮らしに関わる調査結果【Automation in Everyday Life】を元に、同国における就業者の思いを確認していく。


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今調査は調査専用の調査対象母集団(RDD方式で選択された固定電話・携帯電話の電話を有するアメリカ合衆国の18歳以上を対象に選択)を対象に2017年5月1日から15日にかけて実施されたもので、有効回答数は4135人、うち就業者は2510人。国勢調査の結果を元に性別、年齢、学歴、人種、支持政党、地域、就業中か否かなどの属性でウェイトバックが実施されている。

次に示すのはIT系を中心とした先進技術が、自分の仕事にどのような影響を与えているのか、大雑把にプラスかマイナスか、それとも影響は無いのかで答えてもらった結果。

↑ 各技術が自分の仕事に与えている影響(2017年5月、米国、18歳以上の就業者)
↑ 各技術が自分の仕事に与えている影響(2017年5月、米国、18歳以上の就業者)

実際には就業している職種や地位、さらには年齢などで大きな違いが生じているはずだが、全体としてはプラスに思われている、少なくとも足を引っ張るとの認識は少数派に留まっている。

挙げられた選択肢の中でも一番プラス評価が高いのはワープロや表計算ソフトで、70%もの人がプラスと判断。マイナスとの意見は5%でしかない。次いでスマートフォンが67%。スマートフォンの普及はここ数年のことであるのを考えると、いかにインパクトの大きい新技術であったことが分かる。電子メールやソーシャルメディア、スケジューラーなども高い評価を受けている。

工業用ロボットは27%がプラスでマイナスは14%。自分の職種に直接関わり合いが無い人が多いこともあり、影響なしが58%に達している。

それではこれらの新技術は、自分達の仕事にどのような影響を及ぼしているのか。いくつかの具体的な項目を挙げて、プラスかマイナスかを尋ねたのが次のグラフ。

↑ 新技術が自分の仕事に与えている影響(2017年5月、米国、18歳以上の就業者)
↑ 新技術が自分の仕事に与えている影響(2017年5月、米国、18歳以上の就業者)

昇進機会を得るのにはプラスとなるとの回答は46%、むしろマイナスとなったとの回答の13%を大きく上回っている。技術はあくまでも道具でしかなく、それを使いこなして自分のチャンスにつなげるか否かが重要。個々のやる気や特性によるところもあるが、昇進の機会につながる選択肢が増えるのは良いことには違いない。

仕事への活力にプラスの影響を与えるとの意見は53%で、マイナスの12%を大きく上回る。安全性が高まる、無駄なように思える作業をしなくて済む、苦手な工程を機械に任せられるなど、自分のリスクを減らし、より大きな成果を上げられるのだから、プラスと考える人が多いのも当然。

他方、仕事の厳しさにプラス、つまり一層仕事がきつくなると考えている人も4割近くいる。技術発展に関わる話でよく見聞きすることではあるが、技術が進んで人の生活は楽になるかもしれないが、仕事はより多くの成果を求められるため、結局高密度な作業を同じ時間だけ任されることになりかねず、かえってきつくなってしまう場合も多々ある。業種によって影響はまちまちのせいか、マイナス意見(仕事は厳しくなくなった)との意見も3割近くいる。

技術は大抵において常に進化を続け、環境もそれに伴い変化していく。技術は人を楽にするためのものではあるのだが、それが仕事をする人にとってすべての面でプラスとなるとは限らない(経営者にとってのプラスかもしれない)。難しい話ではあるが、常に問いかけをする必要はあるのだろう。


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