自己防衛、狩猟、コレクション…銃を持つ理由は? 米国事情を確認する

2017/10/11 05:09

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2017-1007日本とは異なり銃の所有が一般人にも許可されているアメリカ合衆国。しかしその威力から多くの事件が起き、所有に関して賛否両論が生じている。現状で銃を所有している人は、いかなる目的でその銃を手にしているのか。その実情を同国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年6月22日に発表した調査結果【America’s Complex Relationship With Guns】から確認していく。


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今調査の調査要綱などは先行記事【米国成人の3割は銃を所有している】を参照のこと。

その記事にある通り、今調査対象母集団では3割の人が自ら銃(拳銃、ライフル銃、ショットガン合わせて)を所有している。

↑ 自分の世帯に銃保有者がいるか(2017年3-4月、米国)(18歳以上)(再録)
↑ 自分の世帯に銃保有者がいるか(2017年3-4月、米国)(18歳以上)(再録)

では銃を所有している人は、どのような理由でその銃を持っているのだろうか。理由を答えてもらった結果が次のグラフ。もっとも多かったのは自己防衛の目的によるもので、2/3が回答している。

↑ 銃を所有している主な理由(複数回答)(2017年3-4月、米国)(18歳以上)
↑ 銃を所有している主な理由(複数回答)(2017年3-4月、米国)(18歳以上)

銃を持っていれば他の銃の弾を避けられる、弾き返せるわけではないが、敵性対象物に反撃力を誇示し、さらにそれを行使することもできる。交渉・駆け引きの猶予が無い相手には、先手必勝の行動を成すこともできよう。

次いで多い回答は狩猟で38%、さらに射撃競技用として所有しているとの意見も30%。銃のコレクションをしているから持っているとの人や、仕事用としての銃所有の人も1割前後いる。

これを回答者の居住地域別に仕切り分けしたのが次のグラフ。

↑ 銃を所有している主な理由(複数回答)(2017年3-4月、米国)(18歳以上)(居住地域別)
↑ 銃を所有している主な理由(複数回答)(2017年3-4月、米国)(18歳以上)(居住地域別)

都市部では自己防衛が71%、近郊でも71%で変わらないが、地方になると62%と値は落ちる。一方で狩猟目的は都市部で27%でしかないものの、地方では48%と半数近くに達する。仕事用として持っている人が都市部で12%もの高値を示しているのと合わせ、居住地域の特性が現れた形となっている。

さて、銃は基本的に弾を込めて撃つことでその威力を発揮するが、間違って発射してしまうリスクを考慮し、弾を込めずに銃本体のみをしまうのが安全であると知られている。他方、いざという時にすぐに銃を使えるように、弾を込めたままで銃を保管しておく、置いておく考え方もある。

銃をどのように使っているのか、銃に対する姿勢によるところが大きいが、自宅にいる時は常に銃に弾を込めた状態で置いているのか否かを聞いたところ、全体では38%もの人が常に置いていると回答する結果となった。

↑ 自宅にいるときは弾を込めた状態の銃をすぐ手に取れるような場所に置いているか(銃所有者限定)(2017年3〜4月、米国)(18歳以上)
↑ 自宅にいるときは弾を込めた状態の銃をすぐ手に取れるような場所に置いているか(銃所有者限定)(2017年3〜4月、米国)(18歳以上)

邦画のアクションものでは寝室の枕の下や作業机の一番上の引き出しに、すぐに撃てる状態の拳銃を忍ばせているといった描写を目にするが、それが稀なケースでは無いことが分かる。

男女別では男性の方が「常に」の値は高いが、「まったく無い」を除いた頻度を問わずに置いている割合は男女でさほど変わりはない。銃を所有している人の2/3が自己防衛目的であることを考えると、当然の結果なのかもしれない。


■関連記事:
【銃所有上のさまざまな規制、アメリカの人達の同意率を属性別で見てみると】
【銃所有の規制と権利主張、そのはざまでゆれるアメリカの心境】
【銃所有権利は守るべきか規制強化をすべきか、そして犯罪被害防止に役立つかリスクを上乗せするか…アメリカの人達の考えの内情】


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