親と同居している人達の実情(最新)

2017/10/10 05:05

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2017-1004多くの人は子供時代を親の庇護下で暮らし、大学生、あるいは社会人となった時に自立をして親世帯から離れていく。一方で就業や金銭問題、親の介護など、様々な事情で大人になっても親と共に暮らしている人もいる。今回は国勢調査の最新版となる2015年分の統計公開値をもとに、親と同居する人の実情をいくつかの観点から確認していくことにする(【2015年国勢調査】)。


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親と同居している人は4275万人


冒頭で触れた通り、親と同居している人の理由は多種多様。子供時代は親に養ってもらうために、社会人になってからも就業先との距離や生活の楽さを求めて、親が子供との生活継続を懇願して、さらには就職が叶わずに独立ができるほどの稼ぎを得られないため、親と同居する場合は多々ある。さらに年老いた親を介護をするために同居している場合も考えられる。

2015年時点で親と同居している人は4275万1006人。本人の年齢階層別に仕切り分け、さらに男女別に細分化した結果が次のグラフ。同居している理由までは問われていない。

↑ 年齢階層別・親との同居数(万人)(2015年、国勢調査)
↑ 年齢階層別・親との同居数(万人)(2015年、国勢調査)

↑ 年齢階層別・親との同居数(万人)(2015年、国勢調査)(男女別)
↑ 年齢階層別・親との同居数(万人)(2015年、国勢調査)(男女別)

未成年者はほとんどが親と同居しているために数は多い。20歳を過ぎると大きく数を減らし、40代前半でやや増えるのを除けば、一様に減る傾向を示す。これは単に経済的に安定を得て自立をする人が増えるだけでなく、親が定年退職を迎えて人生の区切りをつける意味で子供の世帯から離れたり、親が亡くなるから。また同居をしていなくても、縁が切れたわけではないことに注意。昨今流行りの近居スタイルを取っている場合もあり得る。

男女別では未成年では子供の人口構成同様に男性の方が多い。20代前半になると女性の方が多くなるが、これは就業しても一人暮らしが防犯面などで難しいための結果だろう。しかし20代後半以降は再び男性の方が多くなる。【男女別単身世帯の分譲マンション比率】で説明の通り、女性の方が親元を離れ自前の住居を構える意思が強いのかもしれない。あるいは結婚して実家を出る人の割合が、男性よりも多いということか。

この傾向は単純な人数の動向だけでなく、その年齢階層における総人数比でも生じている。

↑ 年齢階層別・親との同居数(各属性の総人数比)(2015年、国勢調査)(男女別)
↑ 年齢階層別・親との同居数(各属性の総人数比)(2015年、国勢調査)(男女別)

未成年者はほぼ全員が親元で暮らしている(祖父母の世帯で暮らすなどの事情にある人もいるため、100%にはならない)。高校卒業あたりの年齢から比率は落ちていくが、女性の方が男性よりも値が高くなる現象は10代後半と20代前半で生じている。高校を卒業して、あるいは大学へ進学しての一人暮らしは、男性と比べて女性はハードルが高いのだろう。

他方、60代前半でも男性で17%、女性でも13%が親と同居しているとの実情に、驚きを覚える人もいるかもしれない。この場合の親の年齢は75歳以上になっているはずで、多分に介護のための同居と考えられる。

未婚か、既婚か


上記は単純に同居しているか否かの人数動向だが、当事者が既婚か否かでも大きく状況は変わってくる。次に示すのは親と同居している人が未婚か否かに仕切り分けした上での動向。グラフの項目には単純に「既婚」としているが、実際には単純に配偶者がいる状態以外に、離婚した人、死別した人、さらには配偶関係が不明な人も含まれている。離婚・死別の場合は色々と想像がめぐるところもあるが、今回はそこまで深く精査する必要は無いので、すべて未婚以外として「既婚」にまとめている。

↑ 年齢階層別・親との同居数(万人)(未既婚別)(2015年、国勢調査)(男性)
↑ 年齢階層別・親との同居数(万人)(未既婚別)(2015年、国勢調査)(男性)

↑ 年齢階層別・親との同居数(万人)(未既婚別)(2015年、国勢調査)(女性)
↑ 年齢階層別・親との同居数(万人)(未既婚別)(2015年、国勢調査)(女性)

法的に結婚が不可能な年齢では既婚者がゼロなのは当然だが、男性では20代前半、女性では10代後半から既婚の同居者が確認できるようになる。その後、死別や離別も合わせ既婚者は女性の方が大よそ多く、50代後半でほぼ同数となり、60代以降は男性の方が多くなる。男性において40代前半で同居者数が増えているのは、多分に未婚者が多いことによる結果であることが分かる。

上記でも触れているが、同居者が年相応の状態で親と同居している場合、親の介護が理由である可能性は高い。多分に夫婦で介護に当たっていることが想像できよう。



国勢調査の同項目では、同居している人の就業状態による仕切り分けも行われている。具体的には就業者か非就業者かであるが、非就業者には完全失業者と非労働力人口が該当し、その区別はされていない。そのため、今回は精査を見送っている。

ちなみに親が高齢であることが容易に想像できる、当事者が60歳以上で有配偶者の、親との同居者は約166万人となっている。介護する側とされる側の双方が高齢者という、いわゆる老々介護世帯が今後さらに大きな問題となってくるだろう。


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